大会

第30回オリンピック競技大会(2012/ロンドン)

水泳・競泳

見どころ

 もっとも注目が集まるのが男子平泳ぎで3大会連続2冠の偉業に挑む北島康介だ。北京オリンピック後に約1年間の休養後、米国を新たな練習拠点として再出発したベテランは、4月の日本選手権の100メートルでは前半から果敢に突っ込むレースを見せ、自身が北京オリンピックで金メダルを獲得した際のタイムを0秒01を上回る58秒90の日本新記録をマーク。200メートルも10年の高速水着禁止後では世界最速となる2分8秒00で2冠に輝いた。

 昨夏の世界選手権は100メートルで1分0秒03の4位、立て直した200メートルでも2分8秒63で2位と不本意な成績だったが、オリンピックに向けたオフシーズンの充実した泳ぎ込みが成果となって現れた。競泳男子個人種目では前人未到の3連覇に視界が開け「4年前とは練習環境も違うし、オリンピックへ取り組み方も違う。質の高いトレーニングは出来ている。オリンピックではいい記録を狙って、少しでも進化した姿を見せたい」と意気込んだ。北島とともに2種目で初めてオリンピック代表入りした立石諒(NECグリーン)も表彰台を狙えるだけのタイムを出している。あとは大舞台でいかに力を発揮できるかが勝負だ。

 初の金メダル獲得に強い意欲をのぞかせるのが男子200メートルバタフライで北京オリンピック銅メダルの松田丈志だ。北京オリンピック8冠で〝水の怪物〟の異名を取るマイケル・フェルプス(米国)に挑んだ昨年の世界選手権では、150メートルの通過でトップに立つなど競り合いを演じたが、最後の50メートルで地力の差が出て2位。この悔しさをバネにしてフェルプスとの差が大きかったスタートやターン後のドルフィンキックを集中強化し、昨秋には世界選手権5冠のロクテ(米国)の下に武者修行に出掛けた。「世界を驚かす泳ぎをする」とオリンピックでの逆転金メダルに燃える。

 男子背泳ぎで、1988年ソウルオリンピック100メートルを制した鈴木大地氏以来のオリンピック金メダル獲得への期待が高まるのが入江陵介(イトマン東進)。初出場だった北京オリンピックは得意とする200メートルのみの出場だったが、課題だったスピードが向上して100メートルでも力をつけ、昨夏の世界選手権は200メートルで2位、100メートルで3位となった。軸のぶれない美しい泳ぎが最大の特徴。4月の日本選手権では苦手としていたスタートやターン後のバサロキックの改良に一定の手応えを得て、5月のジャパンオープンの200メートルでは以前は消極的だった前半から飛ばすレースを見せるなど、「殻を破りたい」と強い決意をにじませる。

 女子は、200メートルバタフライで星奈津美(スウィン大教)が日本選手権で2分4秒69と昨夏の世界選手権の焦劉洋(中国)の優勝タイム2分5秒55を大きく上回る快記録をマークし、一躍金メダル候補に名乗りを挙げた。世界選手権では0秒01差でメダルを逃して4位。苦手の腕のかきを強化し、スムーズなターンを習得、さらに抵抗の少ないフラットな泳ぎに変えたことでタイム向上につなげた。

 2004年アテネオリンピック以来2大会ぶりの出場となる女子背泳ぎの寺川綾(ミズノ)も成長を続け、メダルを狙える位置にいる。08年冬から北京オリンピックまで北島を教えた平井伯昌コーチの指導を受けて再生。昨夏の世界選手権ではこの種目では5位とメダルを逃したが、50メートルでは銀メダルに輝いた。調整をせずに臨んだ5月のジャパンオープンで100メートルで59秒08の日本新記録を出すと、200メートルでも2分7秒台の自己新、50メートルでも27秒71の日本新をマークと勢いに乗り、オリンピックでは混戦模様の100メートルで勝負をかける。

 競泳初日に予選、決勝がある男子400メートル個人メドレーも楽しみな種目だ。昨年の世界選手権で堀畑裕也(日体大)がオリンピック、世界選手権を通じて男子個人メドレー初の表彰台となる銅メダルを獲得。日本選手権では伸び盛りの高校3年生、萩野公介が4分10秒26の日本新記録をたたき出してその堀畑を破り、2人で代表入りした。チームを勢いづけるレースを期待したい。女子200メートル平泳ぎも有望だ。日本選手権優勝の鈴木聡美(山梨学院大)が出した2分22秒99は、昨夏の世界選手権3位のタイムを上回っている。選手権2位の15歳の渡部香生子は、萩野とともに伸びしろが大きさが魅力だ。

 リレーは男女の400メートルメドレーリレーに期待が持てる。2大会連続でメダルを獲得してきた男子は日本選手権の自由形勢の不振が誤算だが、背泳ぎ、平泳ぎの前半2種目のリードで表彰台を狙う。女子は2000年シドニーオリンピック以来のメダルのチャンスがある。弱点だった自由形で、上田春佳(キッコーマン)が日本選手権の100メートルで54秒00の日本新記録を出し、自由形短距離では突破が難しかった派遣標準記録も切るなど着実に力をつけている。

 海外勢では北京オリンピックで1大会の個人史上最多の8個のメダルを獲得したスター選手、マイケル・フェルプス(米国)に最大の注目が集まる。昨年の世界選手権で5冠のライアン・ロクテ(米国)は勢いではフェルプスをしのぐものがある。アジア勢は、いずれも母国のヒーローである男子400メートル自由形の世界選手権覇者の朴泰桓(韓国)、同1500メートル自由形の世界記録保持者、孫楊(中国)に注目。女子は16歳で出た世界選手権で5冠とブレークした万能選手のメリッサ・フランクリン(米国)が楽しみ。女子自由形の世界選手権2冠で、モデルも務めることで知られるフェデリカ・ペレグリニ(イタリア)や、米南カリフォルニア大の北島のチームメートで、女子平泳ぎの世界選手権2種目制覇のレベッカ・ソニ(米国)も安定した力を持つ。


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