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アスリートメッセージ

水泳・競泳 古賀淳也



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2010年の日本選手権100mは、これまでにないプレッシャーがかかった
写真提供:フォート・キシモト

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2010年の日本選手権100m、冷静なペース配分で優勝
写真提供:アフロスポーツ

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今はフォームの組立直しに取組んでいるという

今年4月の日本選手権、古賀は世界選手権で自分のものにした自信をいかんなく発揮した。大学を卒業しても所属が決まっていなかった彼は、水泳を続けるためにと自らに優勝を義務づけて臨んだ大会だった。順位への明確な欲を持って臨む試合は初めてで、決勝はこれまでに無いプレッシャーのかかるレースになった。だが、隣を泳ぐ入江の動きを冷静に見てペース配分し、0秒12先着して優勝したのだ。記録は53秒49だった。

「タイムをみれば日本記録より1秒以上遅くて周りの人たちは納得できないかもしれないけど、レース自体はあとで見直しても手に汗を握る本当にレースらしいレースだったと思いますね。6月のジャパンオープンでも同じような展開で勝ったけど、あのふたつの試合はすごく意味のある勝利だったと思います。本当は無心で泳ぐのが一番いいけど、欲というのがタイムにどう影響するかもわかったし。大事な時に無心で泳ぐための、貴重な経験が出来たんだと思います」

フォームを組み立て直し、
ピアソルとの対決へ

こう話す古賀は、ジャパンオープン後に2週間練習を休んだことで、自分の泳ぎを崩してしまったという。だが彼は逆に、それをチャンスだと考えている。これまでずっと速く泳ぐためにと、いろんな選手の泳ぎの真似をして改良し続けてきた。だがそれがバラバラになったということは、再び自分の泳ぎを組立直す時がきたということだと。

「バラバラになった技術の中にも、これまで新しく取り入れてきた泳ぎのかけらは入っていると思うんです。だからまずは自分の泳ぎのベースを確認して、必要なかけらをその中に入れていけばいいと思うんです」

ジャパンオープンで現在彼を指導する鈴木コーチは、両手の水のキャッチとフィニッシュを意識して動くことで4つの推進力を持たせる“四輪駆動”の泳ぎを口にしていた。だが古賀はそれだけでは飽き足らないという。それに足や腰の動きがつけば8輪駆動になり、手首や肘の使い方を考えれば10輪にも12輪にもなると。まるで職人のように、自分の泳ぎを追求しようとしている。

「最終的にはひとつの泳ぎが大きく円になるというか、大きく大きく回るようなイメージの泳ぎが一番いいと思うんです。まずは8月のパンパシフィックまでにそれを組み立てて、ピアソルと一緒に泳ぎたいですね。最終的な勝負はロンドンオリンピックなので、今回は勝ち負けよりも、一緒に泳いで今の自分の力がどれくらいかを確認したいんです。そこで分かったことを修正して臨めるのが11月のアジア大会なので、そこでは世界記録までを視野にして、記録を目標に泳ぐつもりなんです」

大学4年だった昨年になって大きく羽ばたき始めた古賀。世界チャンピオンという実績を踏み台にして、オリンピックの金メダル獲得という大きな欲を、しっかりと自分の中で消化し始めている。


インタビュー風景
古賀選手からのビデオメッセージ!!
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「アジア大会では世界新を目指す」と古賀選手
古賀淳也(こが じゅんや)/水泳・競泳

1987年7月19日生まれ。埼玉県出身。埼玉スウィンスイミングスクール所属。5歳から水泳を始める。2006年アジア大会50m背泳ぎで優勝、同年の世界選手権でも7位と頭角を現したが、08年北京オリンピックの代表を逃す。新境地開拓のため、空手で精神面を鍛えるとその甲斐あってか、2009年世界選手権100m背泳ぎで、日本新記録をマークして優勝、50m背泳ぎも銀メダルを獲得した。200mを得意種目とする入江陵介とともに、日本水泳の背泳ぎ界をけん引する存在に。2010年も快進撃は続き、日本選手権の100m、50m背泳ぎともに優勝。パンパシフィック選手権、アジア競技大会、そして2012年ロンドンオリンピックでのメダルを目指す。



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