コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

水泳・競泳 入江陵介



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重圧があっても期待を背負いたいと語る

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練習は苦痛な時はあるけれど、結果が出たときの嬉しさはその辛さをかき消すという

期待はプレッシャーから喜びへ
日本代表としての自覚

06年のパンパシフィック選手権で世界選手権代表を逃したこと。北京オリンピックでメダルに手が届かなかったこと。こうした壁にぶつかり、ときに苦しみ、その都度成長を遂げ、日本の中心選手に成長した。「今振り返れば、うまくいっていたら、その先に進めなかったかもしれないし、若いうちにそういう経験をできたのはよかったと思います」

挫折から立ち上がることのできた原動力を自身ではこう見ている。「やっぱり負けたままで終われない、弱いままの自分で終わらせたくないという気持があったんです」。そしてこんなことも言った。「ちっちゃいときから負けず嫌いですね。水泳だけじゃなくて勉強とかでもやるからには1番になりたいと思っていて、完璧主義。テスト前でも完璧に覚えないと気がすまない。そういう性格が競技に結びついているのでは」

日本代表であることの重み、オリンピアンであることの自覚も年々強くなっている。それは、こんな言葉からも伺える。

「16歳のときに初めて選ばれたときは、代表というもの自体わかっていなかった。自分がなるようなもんじゃないと思っていたし。はじめは入れただけで満足だったのが、しっかり決勝残って、決勝の舞台でいいタイムを出して、メダルを獲ろうという意識が強くなりました。北島康介さんを見ていてすごいなと思って、自分もそうなりたいなという気持ちが強くなってきて、それが常に結果を残したいと考えるようになっているんじゃないかと思います」

「北京オリンピックのとき、すでにオリンピックを経験している選手はどこか落ち着いていたりしていて、オリンピック選手は違うなと思う自分がいました。自分も、オリンピック選手は違うなと思われる選手になりたい」

ときに期待される重圧に苦しむこともあった。だが入江は言う。「結果を残しても応援されていなかったら辛いと思います。結果が良いときでも悪いときでも、期待される選手になりたいと思っていたので、そういう選手になれた、そういう位置に来れたのはすごく幸せなことです」

ふと、北京オリンピックの代表選考会で敗れ、水泳から離れていたらどうなっていたか、想像したことはあるのか、聞いてみたくなった。「想像できないですかね。きっと普通のことしている気はしますが。すごく大変なことや辛いこともあるけれど、楽しいこともあるので、やっていてよかったなと思います。合宿で友達とワイワイご飯食べたりゲームしたり、代表に選ばれていろいろな国に行けたりするのは、やはり楽しいです。正直、練習や試合は苦痛です。でも終わったときの開放感、結果が出たときのうれしさというのは辛いものをかき消せるくらいのものです」

今、背泳ぎでは、2歳上の古賀淳也がライバルとして存在する。今年の日本選手権でも、100mで古賀が1位、入江が2位、200mでは入江が1位、古賀が2位と拮抗する。「僕より2つ歳上ですから、古賀選手は僕に負けたくないと思っているんじゃないでしょうか。ふだんは仲いいけれど、成績では張り合っているし、僕も負けたくないですね。競っているということで向上心が出て、負けたくないので練習にも力が入ります」

見据えるのは、ロンドンオリンピックである。大きな舞台で勝つのにいちばん大切なことを、入江はこう考えている。「自信と笑顔。楽しいときに結果が出ていたりするので、楽しむことも大事じゃないかなと思いますね。ロンドンへ向けてメダルも期待されると思いますが、期待されつつ、自分でもメダルを獲りたいという気持ちを持ちながら、オリンピックの雰囲気を楽しんで、自分のレースを楽しみたいですね」。周囲から大きな期待を集める存在であることを自覚し、その立場の重みを知る入江陵介は、自身の借りを返すために、2年後のオリンピックを目指している。


インタビュー風景
入江選手からのビデオメッセージ!!
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大舞台で勝つのに大切なことは、笑顔と自信だと語る
入江 陵介(いりえ りょうすけ)/水泳・競泳

1990年1月24日生まれ。大阪府出身。イトマンスイミングスクール所属。 0歳のベビースイミングスクールから水泳を始める。2005年に背泳ぎ100mと200mで中学記録を樹立、同年の高校総体(インターハイ)では高校1年生ながら背泳ぎ200mで優勝した。2006年の日本選手権で200m背泳ぎの高校新記録(1分59秒32)で優勝して逸材として注目されると、2007年は200mで3度、100mで2度高校新を塗り替え、2008年には200mで悲願の日本新を記録。2008年北京オリンピックでは、周囲のメダルへの期待と、出場を喜ぶ自分との間で葛藤し、4位となった。2009年5月の日豪対抗では、200mで世界記録より1秒以上速い1分51秒86を記録するが、水着が規定を満たさなかったとして世界新に公認されず時の人に。7月には世界選手権200mで銀メダルを獲得して実力を示し、2012年ロンドンオリンピックのメダルに向かって躍進している。



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