コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

スケート・スピードスケート 岡崎朋美



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「バンクーバーでは悔いが残らない滑りをしたい」と話す岡崎選手


バンクーバーシーズンへ向けた昨年の夏、岡崎はこれまで以上のハードなトレーニングをしたという。年齢が高くなればなるほど、これまで以上のことをやらなければ筋力も退化してしまうと意識したからだ。その試みも、また新たな面白さを彼女に感じさせた。

「20代の頃は何も考えないで良かったけど、今は体に関しての自己管理はものすごく必要ですね。『関節が動きにくくなったかな?』と思ってそれなりのケアをキチンとすれば、ちゃんと動くようになったりするんですよ。不思議なものだなって感心したけど、いろいろな事を考えるようになりましたね。ただ、せっかく夏場にやったものを滑りでしっかり出すためには、テクニックも必要になってくるので。年齢がいけばいくほどテクニックでカバーしていかなければいけないから、その辺は『本当に難しいな』と思いながら取り組んでいるんです。今の若い選手を見ていても、小平奈緒ちゃんは縦のエッジの使い方やカーブが上手いから、教えてもらいたいくらいですよね」


若手の台頭を喜びながらも、オリンピックでは誰にも負けない経験の多さで勝利を目指す
写真提供:アフロスポーツ

いまだに進化を求める岡崎は、自分の限界に挑戦し続けられることに、最大の魅力を感じているのだろう。そのためには貪欲に、何事でも取り込もうとしている。

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バンクーバー冬季大会では旗手を務める 写真
提供:フォート・キシモト<


だが、競技経験を積み重ねてきた者としての意地もある。若手はドンドン勢いで来てもらわなければいけないと言いながらも、「オリンピックの当日は目に見えない何かがあるから、それに打ち勝つ精神力はものすごく大事だと思う」と。まだオリンピックという大舞台では、負けてはいられないという思いも強いのだ。

「本当はトリノで2個目のメダルを狙ったんですけどね(笑)。今回はジェニー・ウルフ(ドイツ)や王北星(中国)が強くて大変かもしれないけど、やっぱり思い切りチャレンジするという、負けない気持ちを持たなければ戦えないと思います。そんなにすぐには『ヨシッ、勝つ!』という気持ちにはなれないかもしれないけど、これから新しいエッジを慣らしていって気持ちを高め、レースの当日は本当に悔いが残らないように、そこで死んでもいいというくらいの気持ちでいきたいですね」

長野冬季大会の頃は、最も身近なライバルだった島崎京子には「絶対に勝つ!」という気持ちが強かった。それがいつの間にか、メダルへとつながっていたのだ。それと同じように選手たちには、一緒に出る日本選手には絶対勝つという気持ちがまずは必要ではないかという。そしてその上で、世界のライバルたちをひとつずつ喰っていこうという意識を持つ事が、チームジャパンとして一丸となって戦える道ではないかと。

38歳まで戦い続け、今もなお、更なる進化と強い気持ちで戦いの場に立とうとする岡崎。

「今の若い選手たちはたまにネガティブになる事があるけど、そういう時こそ明るさが大事だと思うんです。それに競技は辞めようと思えばいつでも辞められるけど、年を重ねるにつれて自分の体の変化もわかってくるし、『もっとこうしたい』っていうのがいろいろ出てくるんです。もっともっと面白くなる前に辞めてしまう人が多いと思うけど、そこをもうちょっと頑張って競技を続けてくれたら新しい世界が開けてくるんですね。『諦めない強さ』というのは、勝負の瞬間だけでなく日常でも大切なものだと思いますね」

こう言う岡崎は、前回のトリノ冬季大会の日本代表選手団主将に続き、バンクーバー冬季大会では旗手という大役を務める。

「前回に続いて連続でというのは、本当にうれしい事ですね。でもその分『もっとしっかりしなきゃ』っていうのもあるし。その大役を楽しめるようにするためにも、満足する結果を出したいですね」

岡崎朋美、38歳の決意だ。

インタビュー風景
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岡崎朋美(おかざき ともみ)/スケート・スピードスケート

1971年9月7日生まれ。北海道出身。富士急行(株)所属。 1994年リレハンメル、1998年長野、2002年ソルトレークシティー、2006年トリノ冬季大会に続き、バンクーバーで5回連続のオリンピック出場を果たす。長野では女子500mで銅メダルを獲得。その後、ソルトレークシティーで6位、日本代表選手団主将を務めたトリノでは4位に入り、3大会連続入賞を達成している。バンクーバーでは旗手を務め、岡部孝信主将とともにチームジャパンを牽引する。



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