コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

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世界と比較した時、日本人の良さは繊細さ。全力で、なおかつ丁寧に、きれいに。

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練習風景。トランポリンの上で笑顔になる。

北京代表内定を決めた2007年の世界選手権、上山は3位という結果にも満足していると言う。演技の難易度は世界のトップの平均が16点前後であるにもかかわらず、上山は決勝進出者中、最も低い15・5点。それでも3位(トータル40.50点)となったのは大きな自信になった。

「世界と比較した日本人の良さというのは繊細さだと思うんです。ソツなくじゃなくて、全力で、なおかつ丁寧に、きれいに・・・・・・。トランポリンはそういう日本人の特性を活かせる競技だと思うんです。それに10種類の技を単発でやるのではなく、10回連続でやるという形態というのも、日本人の食い込む余地があると思うんです」

高校時代に、コーチだった亡き父と話して「これができたらいいな」と目標にしたのが、2000年シドニーオリンピック王者・モスカレンコ(ロシア)の表現力を兼ね備えた演技だった。彼の演技構成の難易度は16・2点。それが現時点での彼の身体能力でできる限界の数字だとも考えている。

「16・2点の演技は国内や海外の試合でも何度かやってるけど、それはコンディションがベストの時だけだし。まだ完成度が高くなくて余裕を持って出来ていないんです。だからそこさえ詰めれば、本当に理想にしている演技ができることになるんです」

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インタビュー風景。「トランポリンのことをもっと広く伝えたい」

はじめて経験するオリンピックの舞台。上山はプレッシャーばかりを抱え込んだ辛い大会にはしたくないという。出来れば予選は今、ベースにしている確実な演技で臨んで突破し、決勝では理想としている高い難易度の演技構成で勝負してオリンピックという場を思い切り楽しんで満足してきたいと。これまでの経験で培ってきた、大会へ向けての調整力へも自信を持っている。

「ただ僕は、北京で本当に満足いく理想の演技が出来たとしても、競技は続けると思います。もう一段上の基礎体力をつけて、もっと高いレベルの演技をしてみたいという気持もありますしね。それに、今まではトランポリンはマイナー競技で、大学を卒業したら第一線から退かざるを得ない状況だったけど、競技を続けられる新しい可能性を僕らが切り開いていかなければいけない。今、いろいろやっているのも、その役割を果たしている途中だと思うんですね」

トランポリンの演技時間は約20秒間だ。だが選手はその瞬間、通常の時間の流れとはまったく違う、濃密な時間の流れの中にその身を置き、陸上では味わえない感覚の中で舞っている。そんな競技の面白さをひとりでも多くの人たちに知ってもらって認知されること。それも彼にとっては大きな目標であり、世界一になった者だからこそ負わなければいけない務めでもあるのだろう。

(2008.2.14)

インタビュー風景
上山選手からのビデオメッセージ「トランポリンの面白さは・・・」を見る

 

上山容弘(うえやまやすひろ)

2000年、大阪府立日根野高校在学時、第37回全日本選手権大会シンクロナイズド競技で初優勝。2002年、第39回全日本選手権大会の個人種目初優勝。
2005〜2006年ワールドカップシリーズ大会 個人 第1戦優勝、第5戦〜第8戦 4連続優勝。同大会 シンクロ第1戦、第4戦、第8戦 優勝。同シリーズファイナルで個人優勝(シンクロ 2位)。同年、第43回全日本選手権大会 個人 優勝(2連覇)
2007年、世界選手権個人3位獲得、これにより、北京オリンピック代表選手に内定。
好きな言葉は「鈍感力」。



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