コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

アスリートメッセージ スキー・フリースタイル 上村愛子

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長野冬季オリンピック出場時は、高校3年生。
(写真提供:フォート・キシモト)
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バンクーバーでは「圧倒的な滑りで勝ちたい」と語る上村選手
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上村選手の愛する、白馬村の雪景色
(写真提供:フォート・キシモト)

選手として充実の日々を過ごす上村にとって、世界選手権の結果で内定したバンクーバーは、自身、4度目のオリンピックになる。
「出ている本人が言うのも変ですけど、すごい楽しかった! もうお祭りでした」という1998年の長野では高校生にして7位入賞を果たす。
結果を出すことを目標に出場し、周囲からの期待と注目の大きさもあって、「ちょっと苦しかった」という2002年のソルトレークシティーでは6位入賞。
女子では初めての取り組みとなった3Dのエア「コークスクリュー720」を武器に挑んだ2006年のトリノでは5位入賞だった。

「2002年のソルトレークが終わり、ドミニク(・ゴーチェ)さんがコーチになったのですが、彼は日本チームを分析して、『日本はターンのレベルは高い。足を引っ張っているのはエアだ。エアをやれば総合的にも上がる』と、エアに重点を置いてトレーニングをしたんですね。
でもその分、ターンの練習は減っていたと思います。実際、トリノでもターンの点数が悪くて、ターンが足りないなあと考えさせられた大会でした」


トリノ冬季オリンピックでは3Dのエア
「コークスクリュー720」を武器に6位入賞を果たす
(写真提供:アフロスポーツ)

課題だったターンは、ラハテラとの出会いによって強みに変わった。
来年2月のバンクーバー冬季オリンピック開催まで、残る時間を上村は今、このように考えている。
「体調面では満点で臨みたいですね。だから、体のバランスとか筋肉とか、滑り終わったあとの疲労のリカバリーの速さとか、そういうのが全部かみあった状態にできるようにコツコツと今からやっていこうと思っています。ジャンプアップはできないから、しっかり、今までと変わらない気持ちで取り組みたいですね」
開催国のカナダには、ジェニファー・ハイルを始め強豪選手がそろう。

これまでの3度のオリンピックで、7位、6位、5位と階段を一歩ずつ上がるように結果を残してきた。バンクーバーで達成したいことは、と尋ねると、こう答えた。
「世界選手権のときのような、点数に差のある強い滑りをしたいと思います。僅差だと勝てる自信なんてないですね。なぜかといえば、今度は敵地に行くことになりますから。世界選手権はホームだったのでコースのこともわかっているし、みんなが応援してくれるからそれがすごく励みになったんです。でも今度はそのアドバンテージが他の選手にあるわけです。ジャッジの人も、観戦に来ている人も、カナダの人が多いんだろうなとは思うんですけど、みんなが『あぁっ!』と思ってくれるような、『愛子いい滑りしたな』と思ってくれるような滑りをしたいですね。
圧倒的な滑りをしたら絶対に勝つじゃないですか。だからそこにもっていきたい。それが理想ですね」

そしてこんな言葉も口にした。
「バンクーバーも楽しい大会にしたいですね。地元開催でお祭りのようにひたすら楽しかった長野とは違い、自分の納得のいく、圧倒的な滑りで勝つという意味で」

ここまで競技にまつわる話を聞いてきたが、上村愛子は長く世界で戦ってきたモーグル界の第一人者であると同時に、以前「ずっと雪の上にいたい」と語っていたことがあるように、一人のスキーヤーであり、雪のある風景を愛する人でもある。
だから、この数年関心の高まっている地球温暖化によるとされている雪不足への問題意識も強い。 猪苗代の世界選手権でも気になることがあった。例年からすれば考えられない雪不足である。そのため、人工降雪機を用い、さらに雪の積もる山からトラックで会場に運び込むなど懸命の努力の結果、無事開催にこぎつけることができた。

「猪苗代、本当に雪がなかったですね。雪が少なくなっていると感じるのは、いちばん身近なところでは地元の白馬村です。雪の降る時期が遅いんですね。降っている期間も短い。感じるのは、冬に雪かきをする回数がやたらと少なくなったこと。スキー仲間やボード仲間とも、『雪少ないね』『どこまで残ってる?』とか、『パークで遊ぶにしても状態悪いから練習できないね』とかそんな話ばかりです。
でも、スキーや雪の枠で話をすることは、実はけっこう難しいんです。雪が少なくなることで楽になると考える人もいるかもしれない。新しく白馬に移り住む人の中には、雪かきしなくて済むから楽だと思っている人もたくさんいると思うんですよ。
それでも雪風景が好きな人はたくさんいるじゃないですか。冬にそれがなくなっちゃうと悲しいと思うんですよね。だから自分は、新雪が積もってその上をキツネが歩いたあとが綺麗だよねとか、年に何回かはそういう風景が見られる将来であってほしいなというところで環境問題について話しています」
その言葉には、切実な願いがこめられていた。

(2009.6.26掲載)

インタビュー風景
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上村愛子(うえむら あいこ)/スキー・フリースタイル

1979年12月9日生まれ。兵庫県出身。北野建設スキークラブ所属。
1998年長野冬季大会に18歳で出場し、7位入賞。2002年ソルトレークシティー冬季大会では6位になり、翌年のワールドカップ(レークプラッシッド大会)で初優勝を果たす。2006年トリノ冬季大会で5位に入賞。20008年ワールドカップでは日本選手最高となる5連勝を達成し、総合優勝を決めた。2009年世界選手権猪苗代大会ではモーグル、デュアルモーグルで2冠達成。2010年バンクーバー冬季大会での活躍が期待される。
トリノ冬季オリンピックのプロフィールページ



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