コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

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2005年ユニバーシアード競技大会より (写真提供:フォート・キシモト)


吉田選手にインタビューしていて驚くのは、自分を客観視できる冷静さだ。この性格を裏づけるような話がある。
「以前、仲のよい先輩と交換日記をしていました。それを何日かして読むと“ここがダメだったんだ”などと思い返し、勉強になります。今でも時々、今日のレスリングはうまくいったとか、監督に怒られたことなどを書くようにしています」

オリンピックという大舞台で金メダルという輝かしい記録を残すとどうしても我々の想像を超えたプレッシャーがかかってくる。中にはオリンピック後の大会で、思うような成績を残せない選手もいる。しかし、吉田選手は世界選手権3連覇。しかも先に述べた「93」という連勝記録も伸ばし続けている。その精神的な強さはどこから来ているのか、プレッシャーを感じることはあるのか?と質問をぶつけてみると意外な答えが返ってきた。
「プレッシャーはあります。規模が小さくても大きくても試合は試合。無敗と期待されている分、いつ負けるのかという不安も自分の中にありますし・・・・・・。
もし負けてしまったらオリンピックで金メダルを取り、目標達成して気が緩んだと思われても仕方がないですよね。でも自分はアテネオリンピック前から、アテネと次の北京オリンピックで2連覇すると言っていますから、負けるわけにはいかないのです。アテネオリンピックで優勝したことで変わったのは自信がついたことと、精神的にも強くなったことですね」
と吉田選手は強く語った。

アテネオリンピック後、国際レスリング連盟は大幅なルール改正を行った。競技時間が今までの3分2ピリオド制から2分3ピリオド制に変更となり、テニスのように2セットを先取するかで勝ちが決まる。
このルール改正について、吉田選手は次のように話す。
「自分なりにルールに合わせながら練習しています。1ピリオド終わると次のピリオドは0−0で始まりますし、各セット2分しかないのでたくさんのポイントは取れません。1点差の気持ちで勝ちに行きます」

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2005年ユニバーシアード競技大会より (写真提供:フォート・キシモト)

ルール改正も大きな課題だが、チャンピオンになったからこそ覚悟しなくてはならないこともある。
「これからどんな大会でも優勝じゃなきゃダメ。他の競技でも金メダリストが研究され、世界選手権で負けているのを見ると怖くなります。自分は研究されているので、いろんな技術を取り入れて努力しています。北京オリンピックまで3年余りありますが、そこでオリンピック2連覇するのが夢。そしてそれまで勝ち続けて北京まで無敗で行きたいです。おそらくこのまま勝ち続ければ130連勝ぐらいになると思いますが、有言実行で行きたいと思います」
吉田選手の挑戦は続く。

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吉田沙保里(よしださおり)

1982年10月5日三重県一志町生まれ、23歳。156cm、56kg 中京女子大学卒業、綜合警備保障所属。1998年世界カデット選手権53kg級優勝、1999年カデット選手権56kg級優勝、2000年〜2001年世界ジュニア選手権58kg級優勝。2002年、2003年世界女子選手権55kg級優勝。2004年アテネオリンピック55kg級優勝。2005年アジア選手権55kg級優勝、第23回ユニバーシアード競技大会(2005/イズミル)55kg級優勝。2005年世界レスリング選手権55kg級優勝


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