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2010/08/28

パンパシフィック選手権(3)北島選手の復活から見えるもの

文・折山淑美

■北島康介選手2冠、「自信になった」

08年北京オリンピック以来2年ぶりのビッグ大会となったパンパシフィック選手権大会。北島康介選手は周囲の誰をもアッと驚かせるような見事な復活劇を演じた。 大会2日目の100m平泳ぎでは、予選からいきなり自己セカンドベストで、かつ今季世界ランキング1位となる5904で泳いだのだ。決勝は力みが出て5935とタイムを落としたが、2位に083差を付ける圧勝だった。

Kitajimaaflo_owda437011_2100m平泳ぎ決勝で快進撃を見せた北島選手(ロイター/アフロ)

北島選手はこう言う。「予選は本当に決まり過ぎですね。(11月の広州)アジア大会の代表もかかっていて予選が勝負みたいなところがあったから、けっこうガッチリ決めていったんです。こういうレースができるというのも前向きに考えていいことだと思うし…。決勝はタイムを落としたけど、レベルの高い59秒台前半だったから、これから新しいものを発見できそうな泳ぎだと思いますね」

日本チームの平井伯昌ヘッドコーチも、「予選は力が抜けていてすごく良かったので、正直おどろきました。でも決勝はウォーミングアップの時から少し力が入っているような気がしたんで。でも2本とも内容が良かったから、それは彼が本当に充実している証拠ですね」と評価する。

なか1日置いた200mでもその勢いは止まらなかった。「練習を見てもらっているデーブ・サロコーチ(南カリフォルニア大)から、予選は150mまで抑えてラスト50mを上げていけと言われたけど、日本のレベルは高いからそんなこともやっていられない」と考えた北島選手は、100mまで世界記録を上回るラップで突っ込み、今季世界ランキング4位になる20923で泳いで決勝へ進んだ。

優勝は確実だろうと予想された決勝になっても、彼の攻めの心は変わらなかった。100mまでは予選より少し抑え気味の入りだったが、150mまで世界記録のラップに肉薄。20836の今季最高をマークして2冠獲得を果たした。「最後は泳ぎも浮いてしまったけど、高いレベルで200mも泳げたというのはすごい自信になりますね。この大会の200mは前半から突っ込んでどこまで持って、最後の25mをどういう泳ぎをできるかという、本来の自分が持っているものを確かめるという目的が大きかったから。その意味では自分のすべてを出せたと思うし、十分すぎるくらいの結果でしたね」

そんな見事な復活劇を演じたにもかかわらず、今後しばらくは、勝負だけを考えて水泳をするのではなく、伸び伸びとした環境で楽しみを感じながら水泳を続けたいという北島選手。まだロンドンまでは見えていないというが、大きく前進したということはそこへ近づいていることだ。今やっと、2種目3連覇への歩みの第一歩を踏み出した。

■求められるポスト北島

その北島選手が主力になった大会最終種目の男子4×100mメドレーリレーでは、第1泳の古賀淳也選手が、100mの世界記録保持者であるアーロン・ピアソル選手(アメリカ)に先着するという快挙を演じた。「メドレーといえど、ピアソルに競り勝ったと言うのはすごい自信になりますね。1回でも勝ったことは財産になるし、これから相手も警戒してくると思うので」と古賀選手は話す。

その快泳を引き継いだ第2泳の北島選手がさらに差を広げた日本チームは、次のバタフライでアメリカのマイケル・フェルプス選手に逆転されたが、オーストリアを大きく引き離して銀メダルを獲得した。世界を見ればヨーロッパ選手権を制したフランスが上位にいるが、記録的には世界3番手の位置を確保。昨年の世界選手権で途絶えてしまったメダル獲得の可能性を、もう一度引き戻す結果になった。

一方の女子も、寺川綾選手(背泳ぎ)と鈴木聡美選手(平泳ぎ)の頑張りがきいて銅メダル獲得を果たした。女子も、このレースでは実力ナンバー1のロシアがいることを考えれば、実質世界4位という位置につけた。

しかしこのパンパシフィック選手権全体を振り返れば、オリンピック種目での金メダルは平泳ぎの北島の2個のみ。チームはまだ、北島選手頼りという状況から脱却できないでいる。来年からのオリンピックロードに向けて、ポスト北島を担うべき選手たちに意識向上が求められることが明確になった大会だった。

Kitajimaaflo_lkga884709_2平泳ぎ200mで金メダルを手にした北島選手(AP/アフロ)

Kitajimaaflo_owda437414 平泳ぎ200m決勝でゴールし自信をみせた北島選手(ロイター/アフロ)

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