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バンクーバー2010


スケート・ショートトラック SHORTTRACK

見どころ

監督 柏原幹史

1周111.12メートルの楕円形のトラックを滑り、スタート、フィニッシュのほかはラインがなく、カーブはそれぞれ7個のブロックで表す。カーブ部分の氷が削られて荒れるため、少しずつコースをずらして行われ、個人種目は男女ともに500メートル、1000メートル、1500メートルで行われる。

原則として4人で同時にスタートし、各組上位が次のラウンドに進出する。タイムで争われるスピードスケートと違い、着順を優先するために「氷上の競輪」と呼ばれ、レース展開を読む力なども必要になる。4人のリレーは最後の2周を1人が滑る以外は中継が自由。次の選手を押す形で行われ、男子の5000メートルは45周、女子の3000メートルは27周で争う。

1980年代の日本は男女ともに世界選手権総合王者を輩出したが、1992年アルベールビルオリンピックで正式競技入りしてからのメダル獲得は同オリンピック男子リレーの銅メダル、1998年長野オリンピック男子500メートルの西谷岳文の金メダル、植松仁の銅メダルの計3個。近年は日本が以前指導した中国や韓国が強い。

オリンピックでメダルなしが12年も続いている低迷を打開するため、韓国人の金善台コーチの指導で徹底強化してきた日本代表は女子リレーのメダル獲得、個人種目の8位入賞に挑戦する。日本スケート連盟は昨季初めて海外のコーチを招き、オリンピックを迎える今季は4月からの合宿、遠征などを合わせると代表で300日前後も練習。強豪国と比べるとコーナーでのスピードがやや落ちる弱点を克服するため、リンク事情で不足する滑り込みを補ってきた。

昨季世界選手権3位の男子リレーでオリンピック出場を逃したことは痛かったが、女子リレーはワールドカップ(W杯)2位などと好調で女子初のメダルの好機。中国、韓国、カナダ、米国の4強と争える位置にいる。

第1走者はスタートダッシュが武器の伊藤亜由子(トヨタ自動車)や酒井裕唯(早稲田大学)が務める作戦で、アンカーとなる第2走者に全日本距離別選手権三冠王で全日本選手権総合優勝の桜井美馬(早稲田大学)を置く布陣。オリンピック3大会代表で経験と安定感のある小澤美夏(サンコー)と今季頭角を現した貞包紘子(サテライト)の2人を第3、第4の走者に回すメンバーは年末年始返上の代表合宿で男子相手にスピードのアップなどを図ってきた。

世代交代した男子3人、女子5人の日本代表は6人が初出場のフレッシュな顔触れになる。男子は5大会連続のオリンピック出場を逃して第一線を退いた寺尾悟(トヨタ自動車)が後継者に指名した藤本貴大(セルモ)の500メートルやトヨタ自動車入社後に急成長した高御堂雄三の1500メートル、女子は桜井の1500メートルも期待の種目だ。

男子はエースの藤本が個人種目の3種目すべてに出場し、藤本と山梨学院大時代に同期の吉沢純平(とらふぐ亭)は500メートルと1500メートルにエントリー。高御堂が全日本で勝った1000メートルと1500メートルの2種目出場となった。藤本は2006年トリノオリンピックのリレーで転倒して失格した悔しさを晴らすリベンジの舞台だ。得意の500メートルは06年のワールドカップ(W杯)全州大会で2位の自己最高がある。高御堂は1500メートルの安定感が光っており、08年W杯長野大会で自己最高4位、昨季世界選手権6位、今季もW杯北京大会6位と決勝で争える実力を備えている。

女子は最年少20歳の桜井が全4種目に出場し、あこがれの神野由佳の前回成績を上回ることができるか。兄妹代表を狙った兄の雄馬(国士舘大学)が代表入りを小差で逃したため、その思いもぶつける。酒井は500メートル、伊藤は1000メートル、今季で現役最後の貞包が1500メートルに出場。女子最年長24歳の小沢は1000メートルと1500メートルと得意の2種目に勝負をかける。小澤の兄、竜一はスピードスケートの名門チーム、日本電産サンキョーでコーチを務め、姉の幸は世界選手権代表になったことがあるスケート一家だ。

男子の金メダル争いは昨季の世界選手権で総合優勝を果たした李昊錫ら韓国勢やオリンピック3大会連続金メダルに挑戦する日系2世のアポロ・アントン・オーノ(米国)地元期待のシャール・アメリン(カナダ)ら混戦模様。女子は500メートルでスタートからの逃げ切りが武器の王濛(中国)が2連覇を狙う。

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