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第28回オリンピック競技大会(2004/アテネ)

スペシャルコラム

アテネオリンピック・第10日・女子マラソンを観て

沢松奈生子さん

自分を信じること・・・・・・。これが戦う選手にとってどれほど大きなものかを改めて見せつけられているのが今回のアテネオリンピックだと思う。
世界最高峰のアスリート達が集結したオリンピックの舞台でも、こんなに基本的なことがメダルの色を左右しているとは誰も考えないかもしれないが、勝敗の差が紙一重になればなるほど、最後の土壇場でモノをいうのはこういった精神的なものなのだということは、私自身も2度のオリンピックを経験して学んで来た事だ。
世界中から選りすぐりの選手が集まって頂点を競うという場には、当たり前の話だが、運動神経に優れ、それぞれの競技に適した身体を造り上げ、そして経験も豊富な選手が揃っている。そんなトップアスリート達が「もうこれ以上は努力出来ない!」くらいのトレーニングに明け暮れて金メダルを目指しているということは、とりもなおさず一般のレベルとは比べものにならないほど「差が無い」ということだ。
では紙一重よりもさらに薄い(小さい)差の中で、今大会、金メダルに輝く日本人選手が続出しているのは一体なぜだろうか?
これまでは「内弁慶」「ハングリーさがない」などと揶揄されてきた我々日本人アスリートだったが、アテネでは競り合った試合をほとんど制しているのが、メダルラッシュの第一の理由だと思う。そしてその要因は「自分を信じること」なのである。
ここ一番で例えほんの少しでも勝利に対して疑いを持ったら、その時点で負けが確定することを、これまでのオリンピックや世界選手権の経験から、出場選手達は骨身に沁みていたのではないだろうか。特に柔道や競泳では競った場面で自分の勝利を疑わない姿勢が勝利に結びついた場面をよく目にすることができた。この結果が後半戦に出場する選手にも大きな影響をもたらすだろうことは容易に想像できる。
昨日行なわれた女子マラソンでも、野口みずき選手が猛暑と過酷なコース条件の中で最後まで自分の力を信じて金メダルを手中にした。25キロ地点からスパートをかけて、一人旅になった辺りの彼女の胸中はどれほど苦しかったであろうか。想像でしかないが、自分自身との激しい戦いであったと思う。暑い。しんどい。そんな中で日本選手団にある勢いという大きな波が彼女を包み、「絶対に勝てる!」という気持ちを持ち続けることが彼女の走りを後押ししたのではないだろうか。東京オリンピックで獲得した金メダル16個まであと3つ。
今の日本代表選手団の勢いなら奇跡を当たり前のように起こしてしまうかもしれない。

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