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TEAM JAPAN DIARY

バンクーバー 〜あの感動を再び!

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2010/02/19

オリンピックグッズに1時間半の大行列! 裏の手は!?

オリンピック開催中のバンクーバー市街は、連日多くの観光客で大賑わい。先日のダイアリーでも書きましたが、一番の行列となっているのは、老舗デパート「ザ・ベイ」の一階にある「オリンピックストア」です。開会式前の時期ですら入店するのに30分待ちだったこのストアは、大会 7日目となった18日、入店に1時間半待ち、レジが30分待ちという大盛況振りを見せていました。バンクーバーのダウンタウンは好景気に沸いています!

Koushikiオリンピックストアで販売する公式グッズ

このオリンピックストアは、バンクーバー冬季オリンピックのオフィシャルグッズショップとしては、市内でも一番大きい店舗。グッズ自体は、町中のあちこちの店で売っているのですが、品揃えの豊富さを求めて、忍耐強く待つ人が多いようです。

そこで、今回は「2時間も待つなんて無理だわ!」という応援客の方々に朗報(私も待てなかった一人)! この「ザ・ベイ」の5階には、公式ウエアショップが開店しているのです。カナダをはじめ、アメリカ、イタリア、中国、フィンランド、イギリスなどのバンクーバーオリンピック公式ウエアやグッズを販売。さらには2014年のソチオリンピックグッズもいちはやく発売しています。

この公式ウエアショップで見逃せないのが、赤いミトンです。外側にオリンピックシンボル、内側はメープルリーフがあしらわれ、太目の毛糸で編まれた温かみのあるデザイン。聖火ランナーがつけていたことから、バンクーバーでは老若男女問わず大人気で、すでに1階のオリンピックストアを始め各地のショップで売り切れ。10ドルとお手ごろ価格で、売り上げの一部は選手の強化費にあてられるとか。すでに入手困難なレアグッズですが、この5階のショップでは入荷次第、随時販売しているそうです。この日も、手袋が棚に並べられると、お客さんが殺到。ものの10分で売り切れていました!

Miton

Miton1_2ミトンは大人気   

さらに! 胸が躍るのは、歴代オリンピック公式ウエアショップです。2002年ソルトレークシティー、1992年アルベールビル、1988年カルガリー、1980年レークプラシッドなどのTシャツやジャージが所狭しと並び、時間旅行気分。もちろん長野オリンピックのジャージやTシャツもあります。店の中を散策すると、札幌オリンピックの白いジャージを発見! こちらは生まれて初めて目にしました。どれも50ドル〜200ドル以内の普通の価格ですから、オリンピック好きの方は必見です。

Sochi ソチオリンピックのショップも開店

Sapporo札幌オリンピックのジャージ!

オリンピックグッズを手にすると、その大会で活躍した多くの選手の笑顔と汗が眼に浮かんできます。バンクーバー市内では、この感動的な大会の記念を手にしようと、オリンピックグッズを求める買い物客がまだまだ長い列を作りそうです。 (JOC広報チーム)

Shop1公式ウエアショップ

2010/02/18

4年後にリベンジを〜クロスカントリー 男女スプリント

文:折山淑美

数日前の雨が嘘のように晴れ渡ったウィスラー・オリンピック・パーク。放射冷却で冷え込んだ朝の空気も昼を過ぎると一気に温かくなり、コース上の雪も緩んでくる。

午前10時半過ぎから始まったクロスカントリー男女スプリントの予選。固い雪の条件で日本勢は、危な気ない滑りで午後の準々決勝へ駒を進めた。

「前半の入りが遅れたので、午後はそこを修正しようと思います。後半はトップとも変わらないペースでいけたから、前半さえ遅れなければ何とかなると思います」と、言う夏見円は22位通過。「1.6㎞の長丁場だから。徐々に上げていけばいいかなと思った」と言う恩田祐一は、競技場へ入ってからの400mで前との差を詰め、11位通過を果たした。「いい位置につけておけば、後々になってそれが活きてくることがあるから全力でいった」という気持ちで取った順位だった。

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ソルトレークシティー、トリノに続き、3回目の出場を果たした夏見選手(写真提供:アフロスポーツ)

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2010/02/18

世界にたった一つのメダル!

日本勢最初のメダルが舞い込んできたのは、競技4日目となる15日、スピード男子500mでした! 長島圭一郎選手の銀メダルと加藤条治選手の銅メダルと、1競技で2つも獲得! メダル獲得数は17日現在、参加82カ国のうち12位です。

Olym1_2 オリンピックメダル(提供:アフロスポーツ)

この念願のメダルですが、実は今回のバンクーバー冬季オリンピックとパラリンピックでは、史上初、すべてのメダルが違うデザインなのです! 

Para パラリンピックメダル(提供:アフロスポーツ)

オリンピックのメダルは直径約10cm、厚さ約6mmの円状、パラリンピックは幅9.5cm、厚さ約6mmの四角形で、それぞれ波打ったデザイン。重さは500576gで、今までで一番重いメダルです。首にかけるリボンは青色で、大会のモットー「With Glowing Hearts」の文字が刻まれています。

Gold 波打ったデザイン(提供:アフロスポーツ)

そして一番素敵なところは、表側の絵柄です! オリンピックメダルはシャチ、パラリンピックメダルはカラスをモチーフにした大きな先住民アートの原画から、絵柄を切り取ってそれぞれのメダルに配置。世界でたったひとつのメダルになるのです。オリンピックは615個、パラリンピックは399個の全メダルをつなぎ合わせると、一枚の原画になるというイキなデザインですね!

Danshi 男子500mの表彰式(提供:アフロスポーツ) 

長島選手と加藤選手の首に掛けられたメダルには、どんな絵柄が描かれていたのでしょうか!? 2人のメダルのデザインは、このチームジャパンダイアリーでお知らせしますので、お楽しみに! (JOC広報チーム)

2010/02/18

新種目フリースタイル・スキークロスのチームが会見

今大会の新種目として注目されるフリースタイル・スキークロスのチームがバンクーバー入りし、17日に会見を開きました。男子は滝澤宏臣選手、女子は福島のり子選手、それぞれ1名が日本から出場します。

Dsc01643 意欲を語るスキークロスチーム

スキークロスは、4〜6人の選手が同時にスタートし、カーブやジャンプ台などをクリアーしながら最初にゴールした選手が勝ちという、雪上の障害物競走。抜きつ抜かれつの駆け引きが見所です。ワールドカップでは0203シーズンから正式種目になり、初代チャンピオンはなんと滝澤選手! 今大会では、スノーボードクロスと同じコースを使い、4人ずつ滑ります。

2人は、バンクーバーから飛行機で1時間ほどのレッドマウンテンで、直前合宿を行っての選手村入り。滝澤選手は「飛び出し方を重点的にやりました。後半に抜ける場面が少ないので、スタートでなるべく前に出たいです」、福島選手も「スタートの精度を上げる練習と、自分のスピード領域を上げるためのトレーニングを徹底的にこなしてきました」といい、2人とも内容の濃い練習をこなしてきた様子です。

滝澤選手は「オリンピック種目になる前からやっていて、メダルも取ってきました。一番上を目指す強い気持ちで臨みたいです」、福島選手は「スキークロスがオリンピック種目に決まった日から、この日を楽しみにしていました。最高のパフォーマンスを目指します」とそれぞれ意欲を語りました。

Dsc01650_2力強くガッツポーズ! 

初代チャンピオンの座に向けて、滝澤選手と福島選手の精一杯の滑りから目が離せません! 男子スキークロスは21日(日本時間22日)、女子スキークロスは23日(日本時間24日)に行われます。 (JOC広報チーム)

2010/02/17

髙橋3位、織田4位、小塚8位、フィギュアスケート男子が好発進

フィギュアスケート男子ショートプログラムが16日行われ、髙橋大輔選手は観客をひきつける演技で1位とわずか0.6点差の90.253位と好発進。織田信成選手もノーミスの演技で84.854位、小塚崇彦選手は小さなジャンプミスがあったもののスケーティング力を評価され79.598位につけました。メダル圏内に日本選手がひしめきあう、最高の滑り出しです!

Takahashi1好発進の髙橋選手(提供:アフロスポーツ)

トリノオリンピックで8位と、雪辱を誓ってから4年。髙橋選手は、落ち着いたいい表情で氷に降り立ちました。スタジアムの360度から沸き返る「大ちゃん」コール。多くの日本のファンが見守っているのが分かります。曲はタンゴの「eye」。アコーディオンの切ないメロディに乗せて、髙橋選手の滑らかなスケーティングが映えます。

髙橋選手は右ひざ靭帯断裂のために08-09シーズンを欠場し、リハビリに専念。099月に実戦復帰したものの、自己ベストには及ばない苦しい試合が続きました。この日は、冒頭の3回転+3回転の連続ジャンプを確実に決めると、怪我の原因ともなったトリプルアクセル(3回転半)を見事に成功。続く3回転も決め、すべてのジャンプをクリアすると波に乗ります。見せ場の2つのステップでは、曲のリズムからわざと遅れる“溜め”でアコーディオンの情感を表現するなど、緩急のあるスケーティングが冴えわたり、スケート力の評価は8.3と全体の2位。自己最高の90.25に、笑顔を見せました。

Takahashi2ガッツポーズを決める髙橋選手(提供:アフロスポーツ)

続く織田選手も、最高の演技です。織田選手の魅力はなんと言ってもジャンプの着氷のやわらかさ。この日も、なめらかに流れるような着氷をすべてのジャンプで決めると、歓声が沸き起こります。シーズン前半には表現面の点が伸びず、得点を見て泣いたこともあった織田選手でしたが、「死の舞踏」の暗く激しい曲に合わせた重みのある演技で、トップスケーターにふさわしい滑りを見せました。ジャンプとスピンに高い評価を得て4位発進。十分にメダルを狙える好位置です。

Oda 力強い演技の織田選手(提供:アフロスポーツ)

小塚選手は、トリプルアクセルの着氷がわずかに乱れましたが、全体的に流れとスピードのある素晴らしい演技。1歩がよく伸びるスケーティング力や、エッジを深く倒して左右に乗るエッジワークでは、他の選手を寄せ付けない巧みさが光ります。大きな緊張感の中、力を出し切りガッツポーズ。ジャンプミスで約23点を失ったものの、79.59の高得点で、メダルの可能性を残しました。

Kozukaスケーティングが冴える小塚選手(提供:アフロスポーツ)

一方、外国勢の滑りも素晴らしいものでした。トリノオリンピックの王者エフゲニー・プルシェンコ(ロシア)は、冒頭で4回転+3回転のジャンプを決め首位発進。しかし演技面の評価は5位と、トリノオリンピックのような絶対王者といった位置づけではありません。同じくトリノオリンピック銀メダルのステファン・ランビエル(スイス)は、スピード感のある演技と得意の高速スピンで、この日一番のスタンディグオベーションを受けました。4回転ジャンプの着氷がわずかに乱れましたが、表現面ではトップの評価で、織田に次いで5位につけました。

また昨季の世界王者、エバン・ライサチェック(アメリカ)は、力強さと正確さで群を抜く男らしい滑りで、自己最高の90.30をマーク。非の打ち所の無い演技で、2位につけました。同じくアメリカのジョニー・ウィアーもノーミスの演技で6位。また地元カナダの声援を一身に受けるパトリック・チャンは、トリプルアクセルでミスがあったものの、素晴らしいエッジワークとスケーティングで7位発進となりました。

1位から3位の髙橋選手まで0.60点差にひしめく大接戦。8位の小塚選手も約10点差ですが、フリースケーティングは、何が起こるかわかりません。日本男子初、いや、アジア男子初のメダルへの期待で胸がいっぱいです! 決戦の男子フリースケーティングは18日(日本時間19日)。運命の瞬間はもうすぐです。(JOC広報チーム)

2010/02/17

原田が2日目につながる滑り、女子リュージュ

ウィスラーのスライディングセンターで行われたリュージュ女子1人乗り初日は、日本にとってちょっと悔しい結果となりました。原田窓香選手は1本目26位、2本目16位で、一日目を終えて23位。安田文選手は、1本目を終えた時点で、スピードを出すために装着できる重りの規定超過で失格となりました。

Harada1_22本目で挽回した原田選手(提供:アフロスポーツ)

ウィスラーの村から、ゴンドラに乗って山を登ったところにウィスラースライディングセンターはあります。ここウィスラーでは人気競技のひとつ。1万人超のチケットは完売し、多くの観戦客がゴンドラに揺られて山を登りました。

Gondoraゴンドラに乗って試合会場へ

リュージュのコースは、12日の公式練習中に男子選手が事故死したことから、男子のスタートラインは女子の位置に、女子はジュニア用の位置に下げてのスタート。女子のコースの長さは1198mから953mに縮められ、時速140km台の高速コースの予定が、130km前半のコースになりました。

原田選手は、1本目、スタートでのコース取りでミスがあり、4260826位とタイムが伸びません。もちろん26位といってもトップと0.880秒差ですから、いかにこの競技が僅差の戦いになるかを示します。2本目は、順調なスタートを決め、4211216位と健闘。コースのライン取りをつかめた様子で、2日目につながる滑りとなりました。

Harada2原田選手(提供:アフロスポーツ)

一方、安田選手は、1本目のゴール直前でヘルメットのカバーが外れるアクシデント。バランスを崩してゴールしましたが、怪我はなかったとのこと。また安田選手は、1本目の計測後、装着できる重りが13.1kgまでのところ、13.3kgだったため失格となりました。

Yasuda安田選手(提供:アフロスポーツ)

リュージュの魅力は、なんといってもコースが近いこと。スタートからゴールまで、すべてのコース沿道が観客席ですから、ファンのみなさんも思い思いの場所を陣取り、選手の活躍を目の前で見ることができます。コースにかぶりつきで待っていると、山の上のほうから、時速130km台で滑り降りてくる「ゴーッ」という音が聞こえ、猛スピードで目の前を通過。そのスピードとパワーに圧倒され、選手が過ぎ去ったあとに、遅れて「オオーッ」と歓声が上がります。

日本では馴染みの薄い競技ですが、そのコースの近さとスピード感はほかの競技にない魅力。原田選手の2日目の活躍、そして同コースで行われるスケルトンとボブスレーの選手へ、エールを送りながらウィスラースライディングセンターを後にしました。(JOC広報チーム)

2010/02/16

次につながるいいレース〜クロスカントリー 女子10km 決勝

文:松原孝臣

スキー・クロスカントリーの最初の種目、女子10kmの決勝が15日、行なわれた。場所はウィスラー・オリンピック・パーク。バンクーバー市内からはバスで3時間半ほど北に進んだ町である。

日本は石田正子、夏見円の主軸2人が欠場。

「それぞれの得意種目に向けて万全を期すため」(佐藤志郎監督)と、両選手を温存する格好となった。

雪不足を象徴するように、ウィスラーも例年からすれば信じられないほど雪の少なさが目立ち、茶色い山肌が見えている場所も少なくない。気温もマイナス2度程度と、雪山としては過ごしやすい気温の中、数千人の観客が拍手、歓声、思い思いに声援を送る中、午前10時を少しまわる頃、競技は始まった。

最初の走者、オルゲ(スペイン)がスタート。以降、30秒間隔で選手たちがスタートしていく。

日本からは、ソルトレークシティー、トリノに続き、3度目のオリンピックとなる29歳の福田修子と、今大会のスキー勢最年少の18歳、柏原理子が出場。

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4×5kmリレーに向けて、前向きなレースを展開した福田選手(写真提供:共同通信)

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2010/02/16

スピードスケート会場近くに巨大「イヌシュク」誕生

スピードスケートの会場となっている「リッチモンドオーバル」の入り口近くに、コンテナで作られた巨大なシンボル像「イヌシュク」が誕生! 大会ムードを盛り上げています。

Inusuku2_2巨大イヌシュク

イヌシュクは、カナダ極北に住んでいる先住民イヌイットが、石や岩を人間が両腕を伸ばした形のように積み重ねたオブジェ。様々な説がありますが、もとは雪で道に迷わないようにと作られた道しるべだったとか。その後は、山に訪れる人々への歓迎や友情といった意味を持つようになったそうです。ウィスラーの山の頂上にある巨大な石造は、観光名所のひとつ。バンクーバーオリンピックのロゴマークにもなっているので、見覚えのある方もいるのではないでしょうか?

Rogo_2大会ロゴ

Sekizou ウィスラーの石像

今回登場したのは、コンテナ製のイヌシュク。リッチモンド市が町のPRのために作成したそうです。バンクーバーの隣町であるリッチモンド市は、バンクーバーの港や空港と、ブリティッシュコロンビア州の各地とをつなぐ輸送業で栄えた町。そこで、貨物の輸送に使われる巨大コンテナ9個を積み上げ、高さおよそ15mの巨大イヌシュクを作りました。イヌシュクの片手は会場となるリッチモンドオーバルを、もう片方の手はリッチモンド市庁舎を指して、会場と町を見守ってくれているのだとか。

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巨大イヌシュクを道しるべに会場に到着した観客たちは、イヌシュクに歓迎されながら会場に入る長い行列へと並んでいました! (JOC広報チーム)

2010/02/16

遠藤尚が日本男子初の7位入賞〜フリースタイル 男子モーグル 決勝

文:松原孝臣

すさまじい戦いだった。

悪天候のもとで行なわれた前日のスキー・フリースタイル 女子モーグルとは打って変わって、14日の男子モーグルは晴天に恵まれた。選手たちが「滑りやすく感じる」というようにコースコンディションも良好。そのため、ミス一つ許されないハイレベルな争いが、決勝で繰り広げられた。

日本勢は、尾﨑快が「第2エアのランディングが……」と自ら認めるように、着地後に乱れ残念ながら予選で敗退したが、4度目の出場となる附田雄剛が予選11位、ともに初出場の西伸幸が15位、遠藤尚が8位で決勝進出を果たす。

迎えた決勝は、順位が下位の選手からスタートする。1番目のロンカイネンが、23.50をいきなりマーク。決勝進出者の中では最下位の選手が好得点を出した以上、続く選手たちにはプレッシャーがかかる。

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尾﨑選手は、第2エアの着地が乱れて無念の予選敗退(写真提供:フォート・キシモト)

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2010/02/16

7位入賞で複合の魅力を伝えた小林範仁 〜ノルディック複合 個人ノーマルヒル 決勝

文:折山淑美

「まさか!」
と思うような一瞬だった。2月14日のノルディック複合 個人ノーマルヒル、後半の距離10kmも残り1.4kmほどになったところだ。長い下り坂を降り切った右へ曲がるカーブ。8人で形成するトップ集団の7番手につけていた小林範仁が、内側を突いてスーッと前に出ると、そのまま他の選手を離し出した。平地を過ぎて小さな登り坂にかかるとその差が4m、5mと広がる。

会場のゴール近くにあるミックスゾーンにあるテレビモニターの前に集まった記者の間では「もしかして金もあるんじゃないか!」という声が沸き上がった。銅メダルくらいの可能性はあるとは見ていたが、金メダルまでは想像していなかったからだ。

飛び出した小林を、スピレーン(アメリカ)が単独で追う。そのまま先頭を走り続ける小林は9.2km地点のチェックポイントをトップで通過した。だがその直後にスピレーンに抜かれてしまった。

「本当にスキーが滑っていたから……。あそこで行かなくても良かっただろうけど、僕のハートが行かせてしまったんです。『目立つチャンスだ!』って」

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7位に入賞した小林選手(写真提供:アフロスポーツ)

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