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TEAM JAPAN DIARY

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2010/10/21

子供たちにオリンピックの感動を伝えよう! 「JOCオリンピック教室」研修会を開催

JOCゴールドプラン委員会は10月15日、「JOCオリンピック教室」の開催に向け、講師となるオリンピアンたちの研修会を行いました。「JOCオリンピック教室」は、オリンピムズの理念やオリンピックの価値を子供たちに伝えていく新しい事業で、来年度からの本格的な運営を計画しています。今年度は都内の小学校でパイロットケースとなる教室を開催予定で、今回はそのモデル授業を作るための最初の研修会となりました。

研修会に参加したのは、アスリート専門委員会の委員とパラリンピアンを中心としたトップアスリート26名。福田富昭JOC副会長は「本日はみなさんとコミュニケーションを図ってスポーツ界がひとつの姿勢を持ち、オリンピック・ムーブメントについて考えていきたい。またオリンピックの日本誘致に向け、オピニオンリーダーになっていただくための勉強会としての効果も期待しています」とあいさつ。瀬古利彦オリンピック・ムーブメント戦略ワーキンググループチーフは「我々はオリンピックに感謝しなければならない。年に数回はボランティア精神で、感動を勇気を与える活動をしていきたいと思います」と意欲を見せました。

Aflo1090_101015__0302アスリートたちが積極的にディスカッションし、モデル授業を作った

Aflo1090_101015__0004 Aflo1090_101015__0013 あいさつした福田副会長(左)、瀬古チーフ 

 

■「夢先生」「ユースオリンピック」から学ぶ

最初の講義では、日本サッカー協会が2007年から手掛けているプロジェクト「夢先生」について学びました。「夢先生」は、小学校5年生のクラスをサッカー選手らが訪問し、夢を持つことの大切さを伝えるプロジェクト。3年間で2000校以上を訪問した実績がありカリキュラムが体系化されているため、参考として紹介されました。JFAこころのプロジェクト推進室の手嶋秀人室長は「先生となった選手は、苦しかった時期をどう乗り越えたかを伝えます。綿密な準備と事後分析を繰り返し、現在の形が出来ました。国際サッカー連盟からも高い評価を受けています」と報告しました。

続いて、嵯峨寿JOA(日本オリンピック・アカデミー)理事の司会のもと、オリンピック教室ならではのセールスポイントを考える時間となりました。まずオリンピックならではの体験として、各選手が「国としての意識が強い試合」「選手村がある」「緊張感が違う」「試合だけでなく世界が集まる大きなお祭り」などの意見を列挙。また今年行われた第1回ユースオリンピックで、国際親善や文化交流などを目的に行われた文化教育プログラムについても紹介され、福井烈・ユースオリンピック総監督は「スポーツの持つ教育的価値を再認識し、オリンピック精神の原点回帰を図った大会でした」と報告しました。結果として、「自分のオリンピック経験を、オリンピズムに関連させるにはどうすればいいのか」という課題が浮き彫りになり、次の授業へとつなぎました。

Aflo1090_101015__0021 Aflo1090_101015__0047講義する手嶋室長と嵯峨理事

 

■オリンピック・ムーブメントとは何かを考える

続いて、オリンピズムとは何か、オリンピック・ムーブメントとは何かといった概念について、來田享子JOA理事が講義。オリンピック憲章を紹介したのち、「なぜ勝ちたいのか、自分の中で突き詰めることがオリンピズムになる。何を大切に生きるのか、オリンピアンの口から出てくる言葉が大きな力になり、社会のモデルになっていきます」と來田理事。アスリートの体験をオリンピズムに繋げるためのヒントを提供しました。

続いて、それぞれの経験をオリンピズムに繋げる具体的な作業に取り組みました。まずノートに体験を書きとめた後、グループディスカッションを通して、その言葉をオリンピズムへと落としていきます。約30分間のディスカッション後、パラリンピアンの佐藤真海さんの班は、早くも体験談をキーワードに整理して発表。「フェアプレー」「世界的視野への広がり(環境対策や難民支援)」「国境を越えた友情」「限界への挑戦」「メンタルの強化」といったキーワードと体験談を紹介し、佐藤さんは「みんなのエピソードはすべてがオリンピズム。その体験談を誰もが使いやすいように整理したものが、オリンピック教室で語るための素材になると思います」とまとめました。

Aflo1090_101015__0137 佐藤さんはモデル授業の概念図を作成し発表

 

■実際に授業を作ってみる

続いて、学習指導要領にもとづいた授業作りについて、東京都教育庁指導部の鯨岡廣隆さんが指導。45分の授業でメッセージを伝えるためには、初対面の子供の緊張をほぐすためのアイスブレーキングに10分、体験談を語るのに30分、まとめに5分といった時間配分を提案。「難しい話をしなくても、みなさんが発する一言一言がオリンピック・ムーブメントを体言しています。ニコニコしながら子供たちの前に立ってほしいです」と話しました。

最後は、モデル授業を作るためのグループワークです。それぞれの体験談を素材に、1時間以上の熱い議論が交わされました。5つの班の発表は、以下のとおり。

(1)夢を持つためのきっかけを与える授業。
そもそもなぜオリンピックを目指したのか、夢を持つまでの過程を話す。20歳を超えてからオリンピックを目指した人、自分では分からなくても友達から指摘されて夢に気付いた人など、色々な「夢を持つまでの過程」を披露することで、夢を持てずにいる子供たちが夢を持つためのきっかけを提供する。

(2)オリンピックならではの一体感をクラス全員で共有する授業。
「オリンピックって何」という結論をアスリートが話すのではなくクラス全員で考え、そのフォローとして友好親善、平和などのオリンピズムを紹介する。全員参加型でテーマも理解しやすくするために、Q&A方式や、キーワードが書かれたカードを選んで話すなど工夫。最後に、「このクラスにとってのオリンピズム」を作り一体感を醸成する。

(3)オリンピックに関わるチャンスを伝え、日本開催への夢を持たせる授業。
自分達の体験談を、子供の頃から振り返り、夢までの苦しい過程、出会い、協力、夢の実現といったストーリーを語る。そしてオリンピックでの一番の感動や印象は、開催国の人々の笑顔だったことを話し、オリンピックにぜひ関わって欲しいという想いを伝える。アスリートとして、観戦客として、ボランティアとしてなどの関わり方を紹介し、オリンピックの日本開催への意欲を芽生えさせる。

(4)協力することの大切さ、一体感を実感する授業。
ボールを共同作業で運ぶゲームを通して、戦略を立てて実行することや、協力しあうことの大切さ、チームの一体感を実感する。

(5)努力の大切さを伝える授業。
トップを目指していくプロセスでの努力の大切さや、国を代表する責任など、トップアスリートとしての貴重な精神論を披露。最後は集合写真を撮りハイタッチをするなどの触れ合いを通して、選手を印象付ける。

Ogiogiimg_2710 モデル授業の発表をする荻原次晴さん

Img_2719 現役の古賀淳也選手らも参加し熱い議論を交わした

これらの発表を受けて來田理事は「授業をするためには、自分のプロセスがオリンピズムとどう繋がっているかを、自分の中で突き詰めておく必要があります。今日ここで作ったものを、授業でやってみながら、お互いの情報を共有し合っていってほしいです」と話しました。

最後に、福井スポーツ将来構想プロジェクトチーフが「オリンピアンやパラリンピアンが直接語りかけることで、一生忘れない言葉になる効果があります。日本中にオリンピック・ムーブメントの輪が広がり、また日本でオリンピックを開けるよう、みなさんの活躍を期待したいと思います」と激励し、充実した研修会を締めくくりました。

ひとりでも多くの子供たちにオリンピックの夢と希望が伝わるように、研修を受けたアスリートは今年度から活動をスタートします!
Aflo1090_101015__0314今年度オリンピック教室のスタートを誓い合ったアスリートら

(写真提供:アフロスポーツ)

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