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TEAM JAPAN DIARY

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2010/02/28

オリンピック体験が子どもたちにもたらすもの

文:高樹ミナ

「お母さん、テレビで見てないで競技場へ行こうよ」。アイスホッケーの試合をテレビ観戦していた母親に、5歳の男の子がいった言葉です。実はこれ、私のホームステイ先であった出来事で、お母さんは「いままでテレビでも、ろくに見なかったのに」と、息子さんが急にアイスホッケーに興味を示したことに驚いていました。

こうした現象は紛れもない、オリンピックの影響といえるでしょう。オリンピックの大会期間中、開催地では一日中、競技の様子がテレビ放送され、大人たちの会話もオリンピックの話題が中心。したがって、子どもたちの日常にも自然とオリンピックが浸透しています。ちなみにこの息子さん、数日後にアイスホッケーのカナダ戦に連れて行ってもらい、途中で飽きてしまうのではないかというご両親の心配をよそに、最後まで初観戦を楽しんだそうです。

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カナダの国旗をフェイスペインティングした、地元の子どもたち

こうした例は、この男の子に限ったことではありません。バンクーバーオリンピックの競技会場には比較的子どもの姿が多く、どの子供も試合観戦に夢中。国旗を振ったり、顔に国旗をペイントしたりと、応援も大人顔負けです。聞くところによればオリンピック期間中、地域によっては春休みを繰り上げてお休みにする学校もあるそうで、子どもたちはまたとないオリンピックを体験しています。

オリンピックを契機とする子ども向けの取り組みは、競技以外の分野でも行われています。バンクーバー市の隣、スピードスケートの会場があるリッチモンド市のライブラリーでは、「Winter 2010 Bookmark Contest」と題し、オリンピックをテーマにした子どもたちの絵を募って、本のしおりを作成。オリンピック期間中に無料で配布しています。創造性あふれる子どもたちの絵はたいへん好評で、過去のオリンピックでも、子どもたちの絵が絵はがきになって配布されていました。

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オリンピックをテーマに、子どもたちが色とりどりの絵を書きました

ユニークなところでは、スポーツを通して人体の仕組みを学ぶ取り組みもあります。7歳以上を対象に、基本的な内臓の位置や機能、競技中のアスリートの体がどのように機能するかなどを学ぶもので、内蔵の位置を覚えるための立体型人体パズルは少々リアルで驚きますが、子どもたちは興味深そうに内臓のパーツをひとつひとつはめ込んでいました。

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人体パズルを使って、体の仕組みを勉強する女の子

オリンピックはもともと、健全な青少年の育成を目的に、ピエール・ド・クーベルタン男爵が近代に復活させたものです。その取り組みは競技から芸術、文化、環境、道徳、世界平和まで多岐にわたり、それらを総称してオリンピック・ムーブメントと呼んでいます。競技にスポットがあたりがちなオリンピックですが、子どもたちの教育にも大きく貢献しているのです。

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