コラム/インタビュー

アスリートメッセージ

体操・体操競技 内村航平

体操は6種目。
だからオールラウンダーで世界チャンピオンになりたい。

文:折山淑美


個人総合で3位以内に入って、
オリンピック代表になりたかった。

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練習後、インタビューに答える内村選手。
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最終選考会のNHK杯での演技。2次選考会との合計で2位になり、北京オリンピック出場を決めた。写真提供:アフロスポーツ

北京オリンピックの最終選考会だった5月5日のNHK杯兼第29回オリンピック競技大会体操競技日本代表決定競技会の初日。内村航平は2種目目のあん馬の演技中に、自分の調子が悪いことに気がついた。

最初のゆかは得意種目で、スペシャリスト沖口誠に次ぐ2位の15・650点でスタートしていた。

彼にとってあん馬は他の種目と比べるとあまり得意としていない種目ではあるが、それでも13・850点の10位と伸びなかった。

「試合当日になって風邪を引いたみたいで。あん馬の競技中に『アァ、今日は調子悪いな』って気がついて・・・・・・体に力が入らないような感じでした。試合中にあんな感覚になったのは初めてだったから、ちょっと驚きました」

だが19歳の内村はそんな危機にも、「ちょっと我慢して、とりあえずはミスを少なくしよう」と冷静だった。4月に行われた第29回オリンピック競技大会体操競技第2次選考会でエースの冨田洋之を総合ポイントで0.250上回ってトップになり、この大会を迎えていた。


第2次選考会での演技。冨田選手を抑えてトップに立つ。 写真提供:アフロスポーツ

4種目目の跳馬は得意種目ということもあって16・100の高得点を出したが、終盤の平行棒と鉄棒は我慢の演技だった。14・900点、14・800点と、落ち込みを最小限に押さえて合計は89・900点。この日は4位の得点ながら、第2次選考会のアドバンテージで冨田に次ぐ2位につけた。

「冨田さんに勝とうという気持ちはなかったですね。総合で3位以内に入って、オリンピック代表になれればいいと思っていましたから」

一夜が明け、「結構力も入って、いい感じだった」という2日目は、ゆかで最高得点の19.500点、跳馬で2番目の16.050点を出した他、平行棒でも15点台をマークして総合は3位タイの90・550点を獲得。第2次選考会の持ち点との合計は冨田に次ぐ2位を堅持し、初めてのオリンピック代表を決めたのだ。

本調子とはいえない状態ながらも、彼が見せた、若々しさが溢れ出すようなキレのある演技は、次の時代を予感させる魅力があった。

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