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長野1998


採れたて長野通信

現地直送!観戦レポート フリースタイルスキー・女子モーグル決勝(飯綱高原)

モーグル会場はポップな雰囲気!
道は、午前中から多くの観客であふれていました。テレビCMが好評で、地元長野県の白馬高校の生徒である上村愛子選手はやはり大人気。歩きながら何人かの観客にお話を聞くと「上村選手を見たくて」という人がかなりいます。そして何より、明るいムードの競技をめいっぱい楽しみたいという期待感があふれているのを感じました。

モーグル会場はとてもポップな雰囲気です。集まった観客の年齢層が若く、カラフルなウェアが青い空に映えてとてもきれい。競技中は、選手の滑りに合わせて音楽が流れたり、ちょっとした合間にもハイテンションなDJが会場を盛り上げます。選手がスタートするときには、DJが「3、2、1」とカウントダウンして、観客が「ナガノ!」とかけ声を上げるのです。

まずは上村選手が会心の滑り!
この日、会場では先に12時から男子の決勝が行われました。日本選手は三浦選手と原選手が出場します。大きな声援が送られましたが、三浦選手が13位、原選手が15位という成績。入賞はなりませんでしたが、2人の滑りは十分に観客を楽しませてくれました。お疲れさまでした。

そして午後1時ごろ、いよいよ女子決勝が始まりました。予選13位の上村選手は4番目、11位の里谷選手が6番目のスタートです。 上村選手が登場すると、会場にものすごい歓声が巻き起こりました。スタート。もうほとんど大騒ぎという感じの盛り上がり。2度目のエアのあとで少しバランスを失いかけたように見えましたが、無事に切り抜けてゴール。スピードの乗った美しい滑りで、上村選手はこの時点でトップに立ちました。スコアが表示されて再び大歓声が起こります。

里谷選手の滑りにメダルの予感
正直言って、女子の滑りはスピードやエアの高さで男子の迫力には及びません。でも、その分滑らかで美しい印象があり、選手が無事に滑り終えると、なんだかすがすがしい気持ちを味わえました。

さあ、里谷選手の登場です。前回のリレハンメルオリンピックでは、今の上村選手のように「アイドル状態」だった里谷選手。最近は上村選手人気がブレイクしてちょっと脇役にまわってしまった感じがありました。でも、今季ワールドカップのランキングでは14位(最高位は8位)。上村選手が31位(最高位は16位)ですから、堂々たる日本のエースです。会場に集まったファンも、そのことは十分に知っています。上村選手同様に、大きな歓声を送って里谷選手のスタートを待っていました。

ついにスタート。予選では「少し抑えて滑った」とコメントしていた里谷選手。決勝の滑りは切れ味鋭く、スピード感があって滑らかでした。モーグル競技を見る機会はそんなに多くないのですが、ゴールに向かって飛び込んでくる里谷選手に向かって、思わず「最高!」と叫んでしまったほどです。大歓声。里谷選手がガッツポーズで歓声に応えます。注目のポイントは・・・25.06。ここまでトップだった上村選手の23.79を大きく上回り、日本選手が1位と2位に並びました。

里谷、メダルへカウントダウン!
残る選手は10人。25.06が高得点であることは間違いありませんが、世界の強豪たちの滑りによって里谷や上村の順位が決まります。もしかすると「2人そろって表彰台?」なんて、無責任な期待を抱く取材班なのでした。

里谷選手と上村選手も、寄り添うように並んでバーンを見上げています。上村選手は、もうすでに涙ぐんでいるようにも見えました。
里谷選手が滑ったあとは、選手が1人滑り終える度に、観衆は表示板のスコアを祈るような気持ちで見つめます。そしてそのポイントが里谷選手に及ばないことを確認すると、日の丸が振られ大歓声が起こるのです。外国選手には申し訳ないですが、残り選手が減るごとに歓声のボルテージは上がっていきます。競技はいよいよ予選の上位3人を残すだけのところまで進んで、里谷選手はいぜんとしてトップ。上村選手も4位に踏みとどまっています。この時点で、最悪の場合でも里谷選手が4位、上村選手の7位が確定しました。

そして予選3位のミッターマイヤー選手。ポイントは24.62。やったぁ! 里谷選手のメダル獲得が確定しました。上村選手はもう泣きじゃくって里谷選手を祝福しています。やった! やった!

予選2位のワインブレヒト選手。ポイントは24.02。グオオオオという地鳴りのような歓声が起こります。銀メダルへ一歩前進。このころには、里谷選手がたたき出した25点台というポイントの偉大さがわかり「もしや金メダルも」という期待感がふつふつとわきあがってきました。
最後の1人、予選トップのペルチャト選手がスタートを切りました。ゴール寸前、一瞬スキーが乱れたのを見て、不謹慎ながら「よおし!」なんて思ったりして。ゴール、そしてポイントが表示されるのを待つ間、観客たちは里谷選手の金メダル獲得の瞬間を期待して、じっと息をのむような静けさが漂いました。

里谷の胴上げシーンに感動
観客の視線が集中する表示板に出たペルチャット選手のポイントは23.95点。
やりました。金メダルです。もうこれ以上はないというような大歓声が里谷選手を祝福します。里谷選手も上村選手も、大粒の涙をこぼして泣いています。チームのスタッフが駆け寄って、里谷選手の胴上げが始まりました。観衆たちも、あらん限りの歓声を送っています。オリンピックは国境を越えた平和の祭典です。自国の選手だけじゃなく、外国の選手の健闘をたたえるフェアプレイ精神が大切なのは十分に承知していますが、やっぱり日本選手が金メダルを獲得する瞬間を目撃するのは最高の気分なのでした。
正直言って、日本勢のメダル獲得はあまり期待せずに会場に出かけた取材班。失礼しました。まだ大学生。若くてチャーミング、そして世界一になった里谷選手。日本に新しい、さわやかな「アイドル」が誕生しましたね。里谷選手、本当に、本当におめでとう。

現地直送!観戦レポート アイスホッケー・女子予選ラウンド8(アクアウイング)

善戦むなしく中国に敗退
カナダ、フィンランドと2連敗をしてしまった女子アイスホッケーチーム。でも、彼女たちの戦いはまだ終わっていません。オリンピック開会前の激励会でもコメントしていたように、「打倒中国」は日本チームの目標です。正式種目になった女子アイスホッケーで、初勝利を飾れるかどうかの日本×中国戦を観戦してきました。 リンク内に入ってきた選手のマスク越しに見える表情は、決意の表れかいつも以上に真剣に見えました。そして始まった第1ピリオドでは、中国のシュートに対してディフェンス陣が何度も滑り込みながらゴールを守る必死なプレイに場内が騒然。 中国の猛攻のスキをついて攻め込むものの第1ピリオドは0:0で終了。このまま行けばチャンスがあると思った第2ピリオドで中国に先制点を決められ、緊張の糸が切れたのか次々と2点を取られて3:0に。それでも、日本チームは決して諦めず積極的に攻撃を続け、佐藤雅子選手のシュートで1点を取り返しました。結果的には、第3ピリオドで3点を入れられ6:1で敗退。ただ、諦めることなく最後まで戦う姿に、観客も終了まで「ニッポン!ニッポン!」と大きな声援を送り続けていました。リンクを去る選手には涙を浮かべる姿も見うけられ「明日もガンバレ!」と声をかけたときも、ただうなずくだけでした。試合後に主将の帯川選手は打倒中国が果たせず「本当に悔しい」と語っていましたが、選手の必死のガンバリは見ていた観客にしっかり伝わったと思います。決勝リーグ進出はできませんでしたが、今日のガッツと根性で、強豪アメリカともナイスファイトを見せてください。

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