コラム/インタビュー

アスリートのためのカンタン栄養学

我々が、カラダの外から物質を取り入れ、成長や活動に役立たせることを栄養という。 栄養になるのは何かといえば、普通は食品や飲料だと思うだろうが、点滴やサプリメントも栄養なのである。でも、点滴ですべての栄養を摂ってスポーツするなんてできないし、やっぱり食べたり飲んだりすることは楽しい。それに、噛むことでアゴや歯が発達し、味覚も発達するし、胃腸での消化によって内臓も鍛えられる。つまり、食べることはカラダを発達させ、最近では脳も発達させるといわれているんだ。 そこで、この連載では「アスリートがしっかり食べること」の大切さを見直していこうと思う。

第1回 毎日の食事から試合当日まで

サッカーイメージ

前回はアスリートにとって栄養が大切であることと、栄養の摂り方によってカラダは良くも悪くも変化することを書いた。でも、どういう食事を摂ればいいのか、具体的に聞かれて皆さんは答えられるだろうか。「野菜をたくさん食べるようにしている」「肉ばかりでなく魚も食べるようにしている」「ジュースを飲み過ぎないようにしている」という答えは上がってくる。いずれも悪くはないが、食事の基本形があっての話ではなく、自分の今の食べ方を振り返って何となく考えたものではないだろうか。

基本は『栄養フルコース型』の食事

2002日韓ワールドカップサッカーに向けた合宿の時の、サッカー選手の夕食を見て欲しい(写真1)。ホテルのビュッフェ形式の食事から選んだものだが、1食で1800キロカロリーくらいある。
ここでチェックして欲しいのは、主食・おかず・野菜・果物・乳製品の5つが揃っていること。その理由と、覚えるときのキャッチフレーズは以下のとおり。

食事写真

写真1「栄養フルコース型」に則って選んだ夕食メニュー
(2002年サッカー代表合宿より)
主食:ごはん、スパゲッティ
おかず:チキン照焼き、鮭(三平汁)、うなぎ蒲焼、納豆
野菜:サラダ、温野菜、おひたし、三平汁
果物:フルーツ盛り合せ、100%グレープフルーツジュース
乳製品:牛乳

(1) 主食には糖質(炭水化物)が豊富なので、脳と筋肉のエネルギー源となる。
 『主食は パワーのもと、集中力キープ』

(2) おかずにはタンパク質と鉄が豊富なので、筋肉や血液、その他のカラダづくりに貢献する。
 『おかずは パワー・スピード・スタミナ』

(3) 野菜にはミネラル・ビタミン・食物繊維が多いのでコンディショニングに関与。
  『野菜は 体調スッキリ、気分は上々』

(4) 果物も野菜と同様だが、柑橘系の果物なら、特にビタミンCが摂れる。果汁100%のジュースでも代用できる。
  『果物は 気分シャッキリ、疲労回復』

(5) そして乳製品にはタンパク質とカルシウムが豊富だ。カルシウムは骨や歯をつくり、神経の安定をも司る。
『乳製品は ケガの予防とイライラ解消』

こういう風に覚えると栄養学も難しくないよね。アスリートなら、朝・昼・夕の3食とも『栄養フルコース型』で食べて欲しい。スポーツにルールがあるのと同じように、食べ方にもルールがあるんだと思ってしまうこと。いったん覚えてしまえば、好きなものを食べても、「あっそうだ」と気がついて足りないものを補えるようになる。

どんな食事も『栄養フルコース型』にできる

とは言っても、食品はいろいろな顔をしている。主食とひと口に言っても、米(稲)、小麦粉、芋、とうもろこし、雑穀などに分類でき、食品としては、ごはん、赤飯、もち、パン、うどん、そば、そうめん、冷や麦、スパゲティ、マカロニ、ピザ、ジャガイモ、サツマイモ、サトイモ、コーン、シリアル、ミューズリなどさまざまだ。図1を参考に、大ざっぱでいいので把握しておこう。また、以下の事例を読めば、「何だかできそうだな」と自信がわいてくると思うよ。

図1: 栄養フルコース型の食事
  (1) 主 食 (2) おかず (3) 野 菜 (4) 果 物 (5) 牛 乳
主な
役割
エネルギー源 カラダづくりの材料 体調の調節 体調の調節 カラダづくりの材料
主な
栄養素
糖 質 タンパク質
脂質
ビタミン
ミネラル
食物繊維
ビタミンC
糖質
食物繊維
タンパク質
カルシウム
食品名 ごはん
パン
めん類
パスタ
イモ

エネルギー
フーズ



豆腐

プロテイン
パウダー

鉄補助食品
具の多い
みそ汁
煮物
サラダ
野菜炒め
野菜スープ

ビタミン
補助食品
果物各種
果汁100%
ジュース

ビタミン
補助食品
牛乳
ヨーグルト
チーズ

カルシウム
補助食品

〔事例(1) 食堂でカレーライスを食べた。充分か?〕
主食はライスがある。おかずは肉がゴロゴロ入っていればいい。なければ目玉焼きかハンバーグかトンカツ、チキンカツなどをトッピング。カレーにニンジンやタマネギが入っていて、さらにサラダがついていれば野菜はとりあえずOK。あとは果物と乳製品なので、オレンジジュースと牛乳(あるいはヨーグルト)を買ってつける。そんなにたくさん飲めないという人は、とりあえずイチゴやブルーベリーの入ったヨーグルトでもいい。帰宅してからしっかり補おう。

〔事例(2) コンビニで昼食を買う〕
主食・おかず・野菜が揃う定食が一番。おにぎり派の人は、おかずと野菜が入ったミニパックをつける。サンドイッチ派の人は、ハム野菜サンドやミックスサンドを。あとは事例(1)と同じ。カフェを利用する人は、飲み物をカフェラテ(カフェオレ)やカプチーノにすれば乳製品が摂れるし、スムージーみたいなものにすればフルーツが摂れる。

〔事例(3) ファストフードで〕
アスリートでハンバーガー好きな人は多い。そういう時はチーズバーガーにサラダにオレンジジュースのセットにしよう。主食はバンズ、おかずはハンバーグ、野菜はサラダ、果物はオレンジジュース、乳製品はチーズとなり、完璧。ただし、ポテトは油が多いのでほどほどに。

こうした事例で見てみると、野菜と果物と乳製品がポイントであることはわかる。ファミレスで食事をするならサラダバーがあるところにするとか、ラーメンをモヤシソバやタンメンや五目ソバに替えるとか、自分の部屋の冷蔵庫にはオレンジジュースと牛乳はパックで必ず用意しておこうという気になる。大事なのは、食事をしようという時に、『栄養フルコース型』の眼を持つことである。『おいしく食べて強くなる』ため、気楽に実行しよう。


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