MENU ─ アテネ2004

アテネ2004


アテネオリンピック検証

日本のメディアと選手の関係

竹内: 選手はすごくテレビに取り上げてくれるのを励みにして、喜んでメディア対応をしました。それが国内でどういう反響を生んでいるか、それをまた情報として得て、またがんばるということだと思います。今回のアテネ大会でメディアは非常に熱心に取り上げた訳ですが、ちょっと過熱しているのではないかという声も一部にはあるようです。福田さんは今回の全体的なメディアの反応などは、どのようにご覧になりましたか。

福田: オリンピックは、世界でこれ以上の、これを越えるイベントはないんです。これが最高レベルです。メディアに色々取り上げられることによって、選手の励みになっている。これも非常にいいことです。ただし、いくら騒がれてもオリンピックの時だけですから。あと何カ月かすると消えてしまうので、僕は今のうちに取り上げられておいた方が国民がスポーツに対して憧れを持つ、感動を持つというためには、大いに騒がれて結構だと、騒がれてつぶれるような選手は大したことないなと僕は思いますね。

竹内: 体操は28年ぶりの団体の優勝がやはり相当大きいインパクトになりました。

早田: 28年ぶりということもあって、選手や体操関係者もメディアも、やはり「チームで」ということの大変さはわかってもらえたし、それを茶の間にも送ってもらえて、僕は体操関係者としてとても喜んでいます。しかし体操競技は毎日の練習が選手にとっては最も重要なことです。メディアサービスと練習を考えると複雑です。
彼らは年間にかなりの試合数をしないといけない。体操の場合一つの試合での選手の負担がかなり大きいですから、マスコミ対応は行きすぎてしまうと、選手の負担が大きくなり過ぎる恐れがあります。

竹内: 練習で集中しなければいけないところは、集中させてあげる。休養しなきゃいけないときには、休養の時間を与え、そういった中でメディアとの対応もできる範囲でと、やはり全体のバランスですね。

早田: そうですね。選手はそういうところに出ることによって、プラス面を考えると、練習では得ることの出来ない社会性を身につけ、教養が高められ、人間が大きく成長してくれることに期待が持てます。

アテネ大会のドーピングについて

竹内: 今回、室伏選手の金メダル繰り上がりがありましたが、金メダル3つを含めて7つのメダル没収、24人の選手の失格ということがありました。アテネ大会の1つの特徴として、ドーピングがものすごく厳しくなったということがあります。
今回24人摘発されましたけど、IOCが「摘発するぞ」と言っていたために、フェアな結果が出て、日本の好成績に繋がったのではないかという声があります。ずっと負けていた西ヨーロッパの強豪国のドイツ、フランス、イタリアより上だったことなどを考えると、そういう指摘も必ずしも間違いじゃないのかな、などと私は思うのですが。

福田:まず、日本チームは「ドーピングは絶対やってはいかんよ」というのは前から徹底されています。「たとえ風邪薬でも栄養剤でも、必ず服用する場合は事前に医者に相談しなさい」ということを言葉でも文章でも通達しています。だから今回ドーピング違反が1人も出なかったのは、非常にうれしいことですね。
 アテネ大会では抜き打ち検査が多くなったために、ドーピング容疑者があきらめたということもあって、僕は国際的な対応がレベルアップされてきたと今回特に思いました。

早田: 今回はIOCのロゲ会長が成分に関しての結果と、その間に選手の倫理観的なところにまで厳しく触れました。そんな厳しさがあって、ドーピングのない、みんなが同じ土俵で戦えるようになる時代が来てほしいですね。

福田: ハンマー投では室伏とアヌシュだけが82m台だったでしょう。3位以下は全部80mに届いていないんですよ。あの二人だけが抜群なんです。アヌシュを除いたら室伏が抜群の金メダリストなんですよ、本当は。評価すべきだと思います。

ページをシェア