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人類にプラスのレガシーを

人類にプラスのレガシーを 〜オリンピックの素晴らしさ〜

田原 淳子(国士舘大学教授)

人類にプラスのレガシーを
photo by PHOTO KISHIMOTO

北京オリンピックでは、夏の暑さを吹き飛ばすような熱戦が繰り広げられ、日本中、世界中の人々を沸かせました。選手たちのひたむきなまなざし、諦めない姿、歓喜の表情に私たちは元気づけられ、心揺さぶられました。また、彼らがインタビューで口々に述べていた、周囲で支えてくれた人々や応援してくれた人々への感謝の気持ちも印象的でした。

なぜ、私たちはこれほどオリンピックを見て感動するのでしょうか。そして、オリンピックという晴れ舞台で活躍した選手たちは、オリンピックを通じて何を感じ、どのような想いを自分の人生に刻んできたのでしょうか。

選手たちの想い

JOCの公式サイトには、オリンピックに出場経験のある「オリンピアン」が、オリンピックを通して感じたことや伝えたいことを語る「オリンピアンズ・ストーリー」というコーナーがあります。そこには、彼らのさまざまな想いが綴られています。

萩原智子さん
競泳 2000年シドニー大会4位
「勝負の世界に優しさは必要なのです。優勝の『優』には人間としての強さと優しさ、競技者としての強さを持った人という意味があるということを…教えてもらいました」
「トップ選手はみんな…心遣いができています。スポーツ選手である前に、人として当たり前のことが当たり前にできること。これも…年月を重ね選手に培われてきた財産のひとつだと思います」
「私は、努力なしに上手くできる天才はいなくて、継続して努力することができる人が天才なのだろうなと思っています」
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鈴木大地さん
競泳 1988年ソウル大会金メダル
「もちろん、夢を持つことは大事ですが、その夢を実現するための努力≠ニ根性≠ヘ絶対に必要です。『トレーニング=修行』だと思います。真剣に修行を積み重ねているうちに新たなことを学び、新しい気づきがあり、それが次の目標につながっていくのです」
「経験を通して沸き上がる多種多様な感情こそが、人を作り育てるのだと思います。その感情に真剣に向き合って、自ら答えを探しながら一歩一歩進んでいくことからこそ、次の人生のステージが開けるのだと思います」
> 鈴木大地さんの回を読む
有森裕子さん
マラソン 1992年バルセロナ大会銀メダル、1996年アトランタ大会銅メダル
「オリンピックは出場してメダルを獲ることがすべてではありません。あくまでも手段であり、ゴールではないのです。後輩の皆さんには、オリンピックをきっかけに、さらにはオリンピックメダルを活かして、その先の自分の生き方を輝かすことまで考えてほしいと思います」
> 有森裕子さんの回を読む
山本 博さん
アーチェリー 1984年ロサンゼルス大会銅メダル、2004年アテネ大会銀メダル、オリンピック5回出場
「せっかく海外で見識を広めるチャンスをもらっているのですから、現地の話題を持って帰ることも大事なのではないでしょうか。…10年、20年経った自分を考えた時に、縁のあった国の文化を取り入れる余裕こそが競技に集中できるパワーを生み出すのではないでしょうか」
> 山本 博さんの回を読む

選手とオリンピズム

4人のオリンピアンの言葉に、優れた選手は人間的な魅力を備えていることを感じます。努力することの大切さを伝えてくれるメッセージ、さらには、努力を積み重ねることが、実は競技成績を上げることに留まらず、その先の人生を拓いていくことにもつながる、と語っています。

彼らは、人々がなかなか経験できないような大舞台で栄光を手にした人たちです。その過程で、長年にわたる並外れた努力の積み重ねがあり、時に挫折があり、多くの困難に直面しながらもそれを逞しく乗り越えてきたという背景があります。一方で、勝利をつかむことができなかったオリンピアンにも、おそらく勝者に引けを取らないくらい数多くのドラマがあり、次に活かすことができる貴重な経験が得られたことでしょう。

オリンピックには、オリンピズムと言われる理念があり、それを文章で表現しているのが、『オリンピック憲章』に記載されている「オリンピズムの根本原則」です。そこには、オリンピアンたちが語ってくれた心の深い悟りが凝縮されているように思います。

《オリンピズムの根本原則1》

「オリンピズムは人生哲学であり、肉体と意志と知性の資質を高めて融合させた、均衡のとれた総体としての人間を目指すものである。スポーツを文化や教育と融合させるオリンピズムが求めるものは、努力のうちに見出される喜び、よい手本となる教育的価値、普遍的・基本的・倫理的諸原則の尊重などに基づいた生き方の創造である。」


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