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オリンピズムってなんだろう

第3回 オリンピック憲章を読んでみよう II

平和と友好を目指すオリンピズム

私、オリンピックの選手たちが泊まる選手村に一度でいいから行ってみたいんだけど、選手村のこともオリンピック憲章に書いてあるの?
書いてあるよ。憲章では選手村のことをオリンピック村というんだ。えーっと、どこだったかな……あった。「第5章 オリンピック競技大会」の中にこう書いてある。
全ての競技者、チーム役員、その他のチーム要員が一堂に会する目的のため、OCOG(注:大会組織委員会)はIOC理事会が決定した期間オリンピック村を用意しなければならない。
つまり、世界中から集まる選手や関係者が、オリンピック期間中は同じ場所で生活できるように、オリンピック村は必ず作ること、と定めているんだ。
いろんな国の選手と交流できて、すごく楽しそうだよね。
オリンピック村は、1924年の第8回パリ大会で選手のために宿泊施設が用意されたのが始まりなんだ。その後、1932年の第10回ロサンゼルス大会で、泊まる部屋のほかに食堂などもあるオリンピック村が作られて、みんなが交流できると好評だったんだ。
やっぱり、競技に参加するだけよりも、一緒に食事をしたり、レクリエーションを楽しんだりする方が、選手たちの友好も深まるし、お互いのことをよく理解しあえるからね。ちなみに、オリンピック期間中は残念ながら一般の人はオリンピック村には入れないんだ。
さぁ、ここで、前回勉強した「オリンピズムの根本原則」をもう一度思い出してみよう。根本原則 1 にはどんなことが書いてあったか覚えているかい?
もちろん。私、ちゃんとノートに書いたんだから。根本原則1は、スポーツを通じて体と心と頭がすべて優れたバランスのとれた人間を育てます、ってことよ。
その通り。じゃぁ、根本原則 2 は?
2 は、えーっと、そういう人間を育てることで、平和な社会を目指します、ってこと。
そうだね。オリンピズムが目指すその2つの理想は、実際のオリンピックについての決まりや運営でもしっかりと生かされているんだ。今日、オリンピック憲章のいろいろな部分を読んでみてもわかっただろう? 競技は選手同士の競争であり、国同士の競争ではないと定める背景には、スポーツで若者が競い合うことで優れた人間を育てる、というオリンピズムの目的がある。5大陸の団結を表すオリンピック・シンボルや、世界中の選手が集まって交流するオリンピック村には、平和な世界を目指そうというオリンピズムの理想が込められているんだ。
オリンピック憲章には、根本原則を基本とした決まりがいろいろ書かれているのね。
その通りだ。さてと、ここでもうひとつ質問するよ。近代オリンピックを生んだクーベルタンは、一人ひとりの人間をよくすることで平和を目指すのが理想だと考えたんだけど、どうしてそんなことを考えたと思うかい?
どうしてって、一人ひとりがよくなるのも平和を目指すのもいいことだから、それは当たり前のことじゃない?
ところが、クーベルタンがオリンピズムを考えて広めようとした時代は、それが当たり前のことじゃなかったんだ。次回は、クーベルタンが生きていた時代はどんな時代だったのか、どんな社会の状況の中で彼はオリンピックを復活させようとしたのか、その歴史を勉強することにしよう。
なんだか難しそうだけど、それを知ったら、クーベルタンさんの気持ちがもっとよくわかるのね。
そう。オリンピズムの意味も、きっともっとよくわかるよ。
つづく・・・次回はオリンピック憲章が生まれた時代背景をさぐります