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オリンピズムってなんだろう

第3回 オリンピック憲章を読んでみよう II

前回、「オリンピズムの根本原則」についてお父さんと学んだ女の子。今回は、その内容を踏まえて、さらにオリンピック憲章を読みすすめます。

監修:NPO法人 日本オリンピック・アカデミー

オリンピックの栄誉はだれのもの?

お父さんがリビングルームでオリンピック憲章を読み返していると、ノートを抱えた女の子が部屋に入ってきました。

おや、そのノートはなんだい?
えへん。これは「オリンピズム勉強ノート」よ。いままで教えてもらったオリンピズムのことを、忘れないように書き留めてあるの。
それは感心だなぁ。算数もそのぐらい熱心に勉強すれば、苦手じゃなくなると思うんだけどな。
算数の話は別! 今日はオリンピック憲章の続きを読むんだよね? 早くはじめようよ。
わかったわかった。今日は、オリンピック憲章には「オリンピズムの根本原則」のほかにどんなことが書いてあるかを見ていこう。
オリンピック憲章は、「オリンピック・ムーブメント」「国際オリンピック委員会(IOC)」「オリンピック競技大会」などのテーマ別に、5つの章にわかれている。「第1章 オリンピック・ムーブメントとその活動」には、みんながよく知っているオリンピックのことが書いてある。たとえば、オリンピック競技大会やオリンピック・シンボルにはどんな意味がこめられているのか、それらはオリンピズムとどんなふうに関係があるのか、といったことだね。
オリンピック競技大会は、オリンピズムを世界に広めるためのオリンピック・ムーブメントの中の、一番大きな活動よ。
その通り。よく覚えていたね。第1章では、オリンピック競技大会についてさらにこんなことが書いてあるよ。
 
オリンピック競技大会は、個人種目または団体種目での選手間の競争であり、国家間の競争ではない。
それってどういうこと?
つまり、オリンピックは国同士の競争ではなくて、その競技に出場する選手やチーム同士の競争です、と定めているんだ。
でも、表彰式では勝った選手の国の国旗をかかげたり、国歌を演奏したりしているよ。
それは、メダルを獲得した選手たちをたたえるための、ひとつの方法としてやっているんだ。お父さんも含めて、みんなはメダルの数を国別で数えたりして、ついついオリンピックを国同士の競争のように見てしまいがちだろう? でも、オリンピックで勝利をおさめた栄誉は、あくまでも選手たちのものだとオリンピック憲章では定めていて、国別のメダルランキング表の作成を禁じているんだよ。
そういえば、前にスイミングクラブのお友達と千駄ヶ谷の国立競技場に行ったとき、1964年の東京オリンピックでメダルを獲った人の名前が競技場に刻んであるって、その子がいってたわ。
よく知っていたね。それもオリンピック憲章が定めていることなんだ。ランキング表作成禁止と同じ条文の中で、「メダル獲得者の名前は、目立つような形でメイン・スタジアム内に常時展示されるものとする」といっている。これも、オリンピックで素晴らしい成績を収めた選手を、国としてではなく、個人としてたたえることにつながっているんだ。

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