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トリノ2006


スペシャルインタビュー 日本代表選手団・遅塚研一団長に聞く

日本代表選手団・遅塚研一団長

インタビュー:後藤忠弘

戦う選手団をスローガンに少数精鋭の編成

-- トリノ大会への日本代表選手団派遣枠は113選手(男子 60、女子53)。これは地元開催だった1998年の長野大会(116選手)を除くと、国外開催の冬季オリンピックでは歴代最多ですね。

遅塚 はい。前々回の長野で10個のメダルを取って快勝した後、前回のソルトレークシティーではメダルが激減して、再建が問題になったわけですが、4〜8位の入賞数は、このところ回を追って増えてきています。これは全体的に日本としての“地力”がついてきた例証だと思います。

JOCは以前から、代表編成にあたっては“戦う選手団”をスローガンに、少数精鋭の編成を基本方針としています。一方、ご承知のように選手のオリンピック参加基準は、各IF(国際競技連盟)が個別に決めており、その基準をクリアしないと参加できません。IFの基準を通ったからといって、即入賞、メダルの可能性があるとはいえないわけですが、少なくとも一定レベルの戦う力は保証されたわけですからね。基準をクリアしたら連れて行くということでしょう。そうしないと、何のための基準か、ということになりかねません。

もちろん“戦えない選手団”でいいわけではありません。参加資格を取り、オリンピックに出ることだけが目的で、あとはどうでも……などという選手はいないはずですが、もしいれば、他の選手にも迷惑な話で全体の士気にも影響します。JOCとしても、事前合宿地までおさえ、環境を整えて選手に提供しているわけなので、最後の最後まで入賞、メダルをあきらめず頑張ってもらいたいと思います。

最近はメディアの情報提供もきめ細かく多角的になってきたので、国民の皆さんも選手の動静、プロセスを見ていらっしゃると思うのです。例えば、いい例がスピードスケートの清水宏保選手。前回のソルトレークシティーで銀メダルに終わった後ずっと苦しみ、成績を出せないままトリノでまた金メダルを取り返そうと努力してきた。

ここへ来てやっと調子が上向きになってきたようで、本番ではどうかわかりませんが、そこはプロセスを国民が見ていますからね、納得できると思います。結果はもちろん大事ですが、近代オリ

Photo:Getty Images/AFLO

ンピック創設の提言者であるクーベルタン男爵も言った通り、まず最善を尽くして努力することが大切。結果だけで評価しないことも必要です。

-- 日本代表選手の最終的な顔ぶれが決る以前から遅塚団長はこれまでいくつかの合宿などを回って来られたと思いますが、今回の日本代表選手の特徴はどんなところにありますか。

遅塚 そうですね。大づかみな点で捉えると、ベテランが頑張り、新鋭といいバランスでチームを構成しているということでしょうか。ベテランの経験と、伸び盛りのエネルギー。この2つがうまく噛み合うと、思いがけない成果を生み出すのではないでしょうか。

例えばスピードスケートの短距離。清水宏保選手と岡崎朋美選手はこれで連続4回目の代表。500mの世界新を出して第一人者となった加藤条治選手は、清水選手に“追い付け”を目標に、最終的には大先輩を追い抜いてしまいました。一方で清水選手は若い加藤選手に刺激を受け、頑張って来れました。これに刺激されたのが長島圭一郎選手で、トリノの短距離最終選考会で加藤選手と清水選手を抑えてしまいました。
ショートトラックの寺尾悟選手も30歳で、リレハンメルから4回連続のオリンピック出場を決め、今季500m、1000mの日本記録を更新しています。

スキーのジャンプでは、葛西紀明選手と原田雅彦選手が代表の座を射止め、1992年のアルベールビル以来、日本の選手では夏冬を通じて初の5大会連続出場の快挙となりました。トリノで有終の美を飾りたいベテランと、トリノの次のバンクーバーではナンバーワンになってみせるという意欲に燃えている若手が組んでいる競技は、きっといい成績を残せるのではないか、そういう好ましい競技種目が日本代表選手団の中核になると思います。

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