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トリノ2006


スペシャルインタビュー 日本代表選手団・遅塚研一団長に聞く

メダル獲得は『5』を最低目標に

-- 個々の競技に触れながら有望種目を挙げていただきたいのですが。

遅塚 私の独断を交えてということでお話させていただくと、まず最も有力なのはスピードスケート男子500mでしょう。先ほどもお話した通りの日本勢の競り合いに加えて、今季はあまり外国勢の際立ったニュースが出ていません。世界のトップ5のうち、ウォザースプーン以外は日本が占めているのです。

次は競技第1日目に実施されるスキー・フリースタイルの女子モーグル、スノーボードのハーフパイプなどです。3大会連続出場の上村愛子選手などが出場する女子モーグルは、2月11日の競技初日の決勝種目です。最初の決勝種目でメダルを取ると日本選手団全体の士気がぐっと盛り上がり「あとに続け」とばかり勢いに火がつきます。

過去にも東京オリンピックで重量挙げの三宅義信選手の金メダル、最近では長野冬季オリンピックでスピードスケートの清水選手の優勝が日本大活躍の着火点になりましたね。

女子モーグルから1日置いて、2月13日には今井メロ選手などが出場するスノーボード・ハーフパイプの女子決勝、スピードスケート男子500mの決勝があります。日本の得意種目がある序盤戦で勝って、気勢をあげたいですね。

それからスピードスケートの女子短距離。男子の清水選手と同様、オリンピック4回連続出場となる岡崎選手が調子を上げてきています。新種目のチームパシュート(団体追い抜き)も、日本は女子が世界距離別選手権で3位に入っており有望です。

フィギュアスケートの女子も日本は有望選手ぞろいで、最終選考会となった年末の全日本選手権は、放送したフジテレビが年間の全番組の中で最高視聴率を記録するなど、大変なフィーバーぶりでした。荒川静香選手、村主章枝選手、安藤美姫選手はいずれもメダルレベルの実力者です。といっても世界にはロシアのスルツカヤ選手をはじめライバルも多いので、油断は禁物ですが……。

私はアルペンスキーの男子回転に出場する佐々木明選手にも注目し、期待しています。佐々木選手はワールドカップの初戦でいきなり4位に入賞するほどの勢いがあります。

-- IOCの猪谷副会長がご自分の在任中に、日本のアルペン選手に表彰台でメダルを掛けてあげたいと、うずうずしておられるんですよ。

Photo:Getty Images/AFLO

遅塚 その話は私も耳にしています。日本のアルペンは猪谷さんが1956年のコルチナ・ダンペッツォ大会で回転に銀メダルを取って以来、1人の入賞者も出していませんが、今度は“表彰台”に五分五分の可能性があるのではないかと思っています。

-- 新聞報道などで拝見すると、遅塚団長は今回の日本の目標として『メダル5個』を掲げておられるようですが。

遅塚 はい。ご存知のように前回2002年のソルトレークシティー大会ではメダルが2個(銀1個、銅1個)で、前々回の長野のメダル10個(金5個、銀1個、銅4個)から大きく後退しました。今回は前回の成績を挽回して、できるだけ長野のレベルに近づきたい、というのが基本的な考え方です。選手強化本部の分析などを聞いても、メダル5つは色に関係なく、目標としては妥当な数字だと思います。

各競技の強化関係者の言う強気の数字を合計すると、実は長野の実績をオーバーしてしまうのですが、一気にそこまでは無理。私としては『5』を最低目標にして、大会直前の合宿など残る期間の努力で、あとどれだけ積み増しできるかだと思います。

JOCの任務について、オリンピックへの参加とオリンピック・ムーブメント推進の2つに分ける考え方がありますが、私はオリンピックに参加して活躍することが、そのままムーブメントの最高峰になるのだと思っています。

戦って勝つ。そのことを通して国民の皆さんにオリンピックの意義と価値を理解していただくことが一番大切なオリンピック・ムーブメントだと考えます。日本代表選手団が一丸となっていい成績をあげるよう頑張ってきますので、ご支援をよろしくお願いいたします。

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