大会







第20回オリンピック競技大会(2006/トリノ)

トリノオリンピックに向けて Vol.2 情報・医・科学編

世界の一員だと認められることの意味

スキーイメージ石毛:先ほどから話がでていますが、現場からの情報収集は大事なことです。そのためにも、大切な情報があったら黙っていても他国から教えてもらえるような雰囲気づくりをしていくことも大切だと思います。それは世界の一員だと認められていることでもあると思います。

村里:世界の一員だと認められていることを選手に意識させることも大切です。実はこの夏、アルペンチームがニュージーランドでトレーニングをするのですが、他国もみんな集まってきてしまって思い通りにコースが取れなくなってしまったのです。今の石毛先生の話のように、同じように情報は取れているのだけれど、それに加えて、そろそろ強豪国にとって日本が無視できない存在になってきたということですね(笑)。いじわるされているということをうまく逆手に取って選手に伝え、自分達もそう思われるようになってきたんだなあと、世界が注目しているのだと実感させることはメンタルな面でプラスに作用するでしょう。もちろんトレーニング環境を確保することが前提ですが。

マテリアルにしても、以前は日本選手には各メーカーが提供するものの最後の方が回ってきていました。ところが今は一番いいスキーを作ってもらえるようになってきました。メーカーも日本選手を認めてきてくれているのです。それを選手達は自分の実力が評価されていると捉えています。そういった環境作りはこれからも続けていかなくてはいけません。メーカーも含めてサポートしていくことも1つの情報戦略です。

トリノ直前のチーム・ジャパンと目標

--平成17年度冬季コーチ会議で合同直前合宿についてのお話がありましたが。

スケートイメージ大西:クルマイヨールを利用することになっているのは、スキーではアルペンとスノーボード、スケートはショートトラックとフィギュアです。バイアスロンも利用するかもしれません。ここに限らず事前合宿ということでは各競技がヨーロッパ各地にいて、そこからトリノへ入っていくという準備を当然しています。高度が問題になる競技はトリノ本番に合わせた合宿をする必要があります。高所対策が必要ないところでは、食事や時差の調整が中心の合宿になります。

村里:スキー競技はオリンピック前週にワールドカップがあるため、クロスカントリー競技は直接プラジェラートに入りますが、各チームのスケジュール調整が大切です。ジャンプ競技に関しても、1月の札幌が終わったらすぐフランスに飛んで、クーシュベルという高地でシミュレーション合宿を行います。フィジカル面でもハード面も含めて本番と同じコンディショニングでトリノに入っていこうと考えています。

先ほども述べたように、スカンジナビアや中央ヨーロッパと比較すると日本はどうしても差があります。それはホーム&アウェイの違いでもあるし、伝統的な問題、ウインタースポーツ競技に対する理解や熱意などの違いでもあるけれど、それに追い付き追い越そうとする気持ちが大切なのです。情報・医・科学のサポート体制がJISSも含めて、いいかたちで追い風となって強豪国に近付いていきたいと思っています。

--トリノ冬季大会の日本代表選手団の遅塚団長は記者会見で、最低でも5個のメダルを獲得したいと発表しました。

村里氏石毛:アルペンの場合はチーム全体の認識として、メダルをとらないと世の中が変わらないとまで思っています。
科学的なこと考えると、ここ数年トリノ冬季オリンピックに向け「クリーンな状態でいいパフォーマンスを出す」という取り組みをしてきました。スラロームに関しては、ルール変更があり旗門の数が増えます。これに対応するため、テクニカルも含めてフィジカル面についても早い時期から対応していきます。

ワールドカップさらにトリノオリンピックに向けて科学的にサポートできることは、極論で言えば、いつも通りに選手の実力を発揮させることです。そのための雰囲気作りも含めてサポートを行っていきたいと考えています。

大西:日本選手の今のパフォーマンスをそのまま上手くトリノ冬季オリンピックにおいて100%引き出せるような準備を私達は当然するべきです。包括的かつ戦略的に取り組んでいこうということです。その結果をメダルにつなげなくてはならなりません。

石毛氏選手がスタート地点に立った時に自分のすべての力が発揮できるんだ、というイメージを持ってくれれば最高ですね。

村里:メダルの個数よりも、まずはチーム・ジャパンがウインタースポーツで世界の10位以内を目指していくということが大切ではないでしょうか。そのなかから重点強化種目の強化をしっかり積み重ねながら、バンクーバーに向けての計画を立てて行かなくてはなりません。日本がウインタースポーツ王国の一角になれるようなスタンスからまず入っていくことです。今のスタッフ達みんながしっかりかみ合えば、それは可能でしょう。その一翼を担う私達の情報・医・科学サポートが大きな力になっていくのだと思います。


村里 敏彰(むらさと としあき)

村里氏

日本オリンピック委員会理事、情報・医・科学専門委員会副委員長、選手強化本部委員。全日本スキー連盟常務理事、競技本部長兼国際部長。国際スキー連盟競技用品委員会委員長、アルペンワールドカップ小委員会委員。スポーツユニティ代表取締役。


大西祥平(おおにし しょうへい)

大西氏

日本オリンピック委員会医学サポート部会委員。日本アンチドーピング機構ドーピングコントロール委員会委員。全日本スキー連盟理事、情報・医・科学委員会委員長。慶応義塾大学教授。日本臨床スポーツ医学会理事。


石毛勇介(いしげ ゆうすけ)

石毛氏

全日本スキー連盟情報・医・科学委員会、医・トレーナー・科学サポート小委員会副委員長、日本スケート連盟フィギュアスケート強化スタッフ(フィットネスコーチ)。国際武道大学講師。

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