大会







第20回オリンピック競技大会(2006/トリノ)

トリノオリンピックに向けて Vol.2 情報・医・科学編

トレーナーは情報の要

--世界中に散っている選手の情報をまとめるのは大変な作業と思われますが。

大西氏大西:メディカルも含めて情報が一番集まってくるのはトレーナーの人達からです。選手とヘッドコーチの間で選手のことを一番理解していますから。ですので、トレーナーの技量や資質を非常に重要視しています。

選手にはポジティブな面とネガティブな面の両方があるので、それをどういうふうに集約していくかを考えると、トレーナーの立場が大切なのです。トレーナーは常に帯同しているわけではありませんが、できる限り海外の遠征や合宿に付いて行くようにしています。

石毛:科学においても、トレーナーとの情報の共有は必要です。サポートしていくうえでも現場の意見が重要になるのです。今の日本チームでは外国スタッフがうまく機能しているので、大切な情報がよく集まっています。

大西:今、トレーナーの資質を高める取り組みもしています。トレーナーの技量というのは、選手のコンディショニングを把握し、問題点を分析して情報を提供する能力のことで、これが極めて重要なのです。栄養面やメンタル的なサポートもしなくてはなりません。

オールマイティーは望んでいないのですが、ある程度はカバーして欲しい。資質の高さを維持するためには資格制度のようなものも必要だろうし、そのための組織作りを始めています。選手にとっては、相手を知ることも必要なのですが、まず自分のことを知っていないといけないので、きちんと選手を理解できる人達のサポートが必要なのです。

--情報収集以外の医学サポートはどのようなことを行うのですか。

スケートイメージ大西:スキーもスケートも同じですが、JISSのトータルスポーツクリニック を中心として春と秋の2回、メディカルチェックをしています。シーズン明けのチェックでコンディショニングを把握し、春夏合宿を行いながら修正して、シーズン前に再びメディカルチェックを受け、どれだけ成果があったのかを確認しています。

医者とトレーナーと科学の石毛先生を含め、全体的なサポートを選手1人ひとりにきっちり行ったうえで、シーズンに入り、ワールドカップで勝ち、そしてトリノへ向かいます。私達は、今この時期を大切にしないと結果を出すことはできないという気持ちでいます。

ケガという面では今年から3Dの技(縦回転)というのがフリースタイルで入ってきたので、失敗すると大きな脊髄損傷を引き起こすようなことが考えられますが、これは石毛先生の科学的分野にもなりますが、JISSで映像分析を行い、より技量を高めて安全に跳べるようにしています。これからは高いポイントをとろうと思ったらどうしても高いリスクを背負わなくてはならなりません。そのリスク回避をどうするのかは、医学だけでは見通せないし、まさに情報・医・科学が三位一体になってこそサポートの力を発揮することができるのだと考えています。

メンタルトレーニングの重要性

--オリンピックシーズンのワールドカップ開始からオリンピックまでの時間が短く、選手には大きなプレッシャーがかかるのではないかと思うのですが。

大西氏大西:取り組みのひとつにJISSを中心にしたメンタルトレーニングがあります。今年すでにジャンプ種目が国内でメンタルの指導者を呼んでトレーニングし、また講習会もJISSに依頼しています。コンバインド種目の場合も、昨年からまず全体に講義をしてもらって、その後個別の相談をしています。

結果を残すのに火事場の馬鹿力というのはあり得ません。日頃の練習を積み重ねたうえでの力があってこそなので、それを得るための工夫をトリノまでの短い時間のなかでやっていくのです。そのために、まずワールドカップできちんと結果を出すための対策を今行っています。

ページトップへ