大会







第29回オリンピック競技大会(2008/北京)

【スペシャルコラム 第1回】 "オリンピック"という大会の難しさ

文:折山淑美

谷亮子、意地の銅メダル


写真提供:アフロスポーツ
大会初日の9日は、日本にとって予想外の展開で始まった。日本人金メダル獲得の第1号となって勢いをつけるだろうと思われていた柔道女子48㎏級の谷亮子が、準決勝で敗退したからだ。
この日の彼女の柔道は、最初から疑問を感じるものだった。なかなか組み合えないのはいつものことだが、手を出しながらも自分からは襟を取りにいっていないように見えた。組み際の勝負を得意とする彼女は、長く組み合いすぎて山岸絵美に敗れた4月の平成20年度全日本選抜柔道体重別選手権大会の教訓から、組み手にナーバスになっているのか・・・・・・。1回戦から勝ち上がったものの、溌剌と動き回るこれまでの彼女とは違っている気がした。
そんな不安が現実になってしまったのが、欧州選手権4連覇中の強豪ドゥミトル(ルーマニア)と対戦した準決勝だった。ジックリと構え、一発で奥襟を取ろうとしてくる相手に対し、谷はなかなか組みにいかない。両者指導を2回取られた後の残り33秒。組もうとしない谷のみに指導が出され、ポイントでリードされてしまったのだ。
そこからは気持ちも切り替わったように攻めだしたが、時間はなかった。結局、指導1個の差で優勢負け。1992年バルセロナ大会以来、5回目のオリンピックにして初めて決勝の舞台を逃してしまう結果になったのだ。
だが、そこからの彼女は見事だった。3連覇を逃して気持ちが切れてもおかしくない状況ながら、「メダルだけを目標にした」という3位決定戦では、最初から攻めに転じて開始2分27秒で相手を仕留めて一本勝ち。銅メダルを獲得したのだ。


写真提供:アフロスポーツ
男子60㎏級の平岡拓晃は1回戦負けで敗者復活戦にも進めない結果に。柔道に先立って行われたウエイトリフティング女子48㎏級では、メダルを狙った三宅宏実が朝起きてから2時間後の計量までに、体重が予想より300gも落ちてしまう誤算。力が入らず、自己記録に6㎏も足りないトータル185㎏で競技を終えて6位という結果に。この競技の軽量級の、体重管理のシビアさを思い知らされた。

そんな不安が残る流れを、かすかにつなぎ止めたのが谷の意地の銅メダルだった。

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