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「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催

カテゴリ:選手強化
2016.03.14
「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催
星野一郎JOC理事のあいさつ(写真:フォート・キシモト)
「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催
セミナーには170名を超える関係者が参加した(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は2月9日と10日の2日間、「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素NTC)で開催しました。

 本ミーティングは、「拠点のあり方を再考する」というテーマで味の素NTCおよび全国28カ所のナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点(競技別NTC)の位置づけや求められる機能、目指すべき姿についてあらためて考えるとともに、NTCの活用促進に向けた関係各機関の連携の場を提供することにより、国際競技力向上の一助となることを目的としています。今回は競技別NTC活用推進委員会委員、JOC・各競技団体(NF)の強化スタッフ、日本パラリンピック委員会(JPC)スタッフなど、のべ220名が参加しました。

 主催者を代表してあいさつを行った星野一郎JOC理事(JOCナショナルトレーニングセンター委員長)は、「強化の中核拠点である味の素NTCは開所から8年、競技別NTCも設立から9年目を迎えます。ハード面、ソフト面ともに充実をさせてきた成果は、ロンドンオリンピックで過去最高数のメダルを獲得し、ソチオリンピックでも地元開催の長野オリンピックに次ぐメダル獲得数となったことに表れています」と、強化体制の充実が日本代表選手団の躍進に大きな影響を与えたことをアピール。「より高みを目指すために立ち止まることはできません。より良い強化現場で更なる競技力向上を目指し、関係者・スタッフ全員がより進化を遂げることが大事です」と述べ、「高いレベルで2020年を迎え、最後には笑顔で終われるように頑張っていきましょう」と呼びかけました。


「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催
(左)スポーツ庁競技スポーツ課・成瀬幸宏トレーニング拠点整備推進専門官/(右)柳谷直哉JOC強化部長(写真:フォート・キシモト)

■スポーツ庁の役割とリオデジャネイロの現状

 セミナーは「日本スポーツ界の動向」からスタート。スポーツ庁競技スポーツ課の成瀬幸宏トレーニング拠点整備推進専門官が、2015年10月に設立されたスポーツ庁について、設立の背景や役割、組織の概要、今後の動向などを説明しました。成瀬専門官は、スポーツ庁が取り組む課題について、(1)スポーツによる健康増進、(2)我が国の国際競技力の向上、(3)我が国の国際的地位の向上、(4)スポーツによる地域・経済活性化の4つの観点から解説。各事業に対する来年度の予算配分と想定している施策を紹介しました。

 続いて柳谷直哉JOC強化部長が「リオの現状と今後の取り組み」について発表しました。今年8月に迫ったリオデジャネイロオリンピック(リオ2016)の準備状況について、2014年8月と2015年12月に現地で実施したNFとの合同事前調査や、JOCが今年度新たに設置した「監督・コーチ部会」の一環で実施したレスリング女子日本代表合宿の視察の様子を報告。リオ2016に向けては、イギリスや中国など直近の開催国が1つ前の大会で金メダル獲得ランキングを上げて自国開催での活躍につなげていることに触れ、「東京2020でランキング3位に入るためにも、リオの成績は非常に重要」と述べました。


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(左)JOC拠点ネットワーク推進事業・杉田正明ワーキングリーダー/(右)JSC情報・国際部情報戦略課の阿部篤志課長補佐(写真:フォート・キシモト)
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日本サイクルスポーツセンター競技振興部競技振興課・野田尚宏課長によるプレゼン(写真:フォート・キシモト)

■海外拠点の活用例やパラリンピック競技との共用事例を知る

 第2部では「国内外の拠点の現状と今後」について3名がプレゼンテーションを実施。「トップアスリートにおける強化・研究活動拠点のあり方」について発表したJOC拠点ネットワーク推進事業の杉田正明ワーキングリーダーは、NTCの概要と仕組みをあらためて説明。中核拠点である味の素NTCでは活動できない冬季系、海洋・水辺系、屋外系競技などが利用する競技別NTCの指定要件を挙げ、「(味の素NTCがある)西が丘地区の取り組みを各競技別NTCでも実施できるようにしていくのが理想。海外の事例も参考にしながら高機能化を進めたい」と話しました。

 日本スポーツ振興センター(JSC)情報・国際部情報戦略課の阿部篤志課長補佐は、海外拠点の現状と仕組みを説明。もともとトライアスロンや自転車、ボートが利用していた湖畔の拠点にカヌーが加わり、水辺系競技の拠点として機能するようになったニュージーランドの例や、重要な世界大会がヨーロッパで行われることが多いことを踏まえてイタリアに拠点を置いたオーストラリアなど海外に自国の拠点を作っている例、国内の大学施設と連携しているイギリス柔道連盟の例などを紹介しました。

 そして、パラリンピック競技との共用施設に対する取り組みとして、日本サイクルスポーツセンター競技振興部競技振興課の野田尚宏課長が、施設の概要と活用状況を発表しました。静岡県伊豆市にある同施設は日本で唯一「オリ・パラ共用施設」として指定を受けており、東京2020では自転車競技のトラックとマウンテンバイクの競技会場となることが決まっています。野田課長はパラサイクリングの拠点となった2015年3月以降に、世界選手権とW杯で金メダリストが生まれたことや、今年1月にはオリンピック競技との併催でアジア・パラサイクリング自転車競技選手権大会を開催し、地元の協力や支援を受けて大きな盛り上がりを見せたことを報告。一方、施設の利用者が増えたことによる調整に気を配る必要があることや、東京2020に向けた改修の際のトレーニング施設の確保といった課題も挙げました。


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日本バスケットボール協会・内海知秀女子日本代表ヘッドコーチのプレゼン(写真:フォート・キシモト)
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(左)日本ラグビーフットボール協会分析スタッフ・中島正太さん/(右)日本カヌー連盟スラローム強化委員の矢澤勝美さん(写真:フォート・キシモト)

■競技の特性に応じた拠点の活用事例

 第3部は「リオデジャネイロに向けた拠点の利活用」をテーマに3競技の関係者がそれぞれ違った視点から事例報告を行いました。はじめに日本バスケットボール協会の内海知秀女子日本代表ヘッドコーチが、3大会ぶりにオリンピックの出場権を獲得した女子代表チームの活動を紹介。代表チームは年間3〜4ヶ月と短期集中での活動で、男子やジュニアなど他のカテゴリとの兼ね合いでNTCが使えない時期もある中、どのように強化を図っていくかという課題を挙げ、海外遠征時に1つでも多くの試合をセッティングするという対策や、NTC以外の施設とどのように連携を図って協力を得るかという課題を示しました。

 リオ2016から7人制が採用になるラグビーは、日本ラグビーフットボール協会の分析担当で、史上最高の成績を残したW杯イングランド大会にスタッフとして参加した中島正太さんが、長期間合宿を行う際の環境作りについて発表しました。中島さんは、合宿地選定の際はトレーニング、リカバリー、オフフィールド、試合の準備という4つの環境にお互いアクセスしやすいことを重要視し、条件がそろった宮崎の「フェニックス・シーガイア・リゾート」をW杯前の合宿地に決めたと説明。また、W杯開催期間の拠点についてもできるだけ合宿地に近づけた環境作りを行うなど、快進撃の裏で行われていたさまざまな工夫を紹介しました。

 競技別NTCの「富山市スポーツカヌーセンター」を利用しているカヌー競技からは、日本カヌー連盟スラローム強化委員の矢澤勝美さんが登壇。同センターでは測定機器や映像システムによる動作分析などが行われているほか、分析結果やコンディショニングサポート、栄養サポートについては味の素NTCや国立スポーツ科学センター(JISS)と連携を図り、データを共有しながら選手へのフィードバックに役立てていると話しました。リオ2016へ向けては4種目中3種目で出場枠を獲得できたとする一方、東京2020に向けた課題として、人工コースが主流となっている中で半人工コースの同センターをどのように活用していくかなどを挙げました。


「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催
(左)JSCスポーツ振興事業部支援企画課の中村英孝課長、(中央)和歌山セーリングクラブ・中村和哉さん、(右)岐阜県地域スポーツ課・切手直樹さん(写真:フォート・キシモト)
「平成27年度ナショナルトレーニングセンターセミナー兼競技別NTC合同ミーティング」を開催
栄養をテーマにグループディスカッションを実施(写真:フォート・キシモト)

■拠点の充実に向けた取り組みと課題

 第4部は「拠点の充実に向けた取り組み」がテーマ。まずはJSCスポーツ振興事業部支援企画課の中村英孝課長がスポーツ振興くじ(toto)の助成に関するプレゼンを行いました。中村課長は、totoの助成対象事業の中で本セミナーの趣旨に合うものとして「地域における身近なスポーツ施設の整備事業」を挙げ、細目として「グラウンド芝生化事業」「スポーツ施設等整備事業」があると説明。各事業に適用可能な拠点の取り組みや申請の際の注意点などを具体的に示しました。

 競技別NTCの施設関係者を代表して登壇した「和歌山セーリングクラブ」の中村和哉さんは、セーリングの競技別NTCに指定されている同施設の概要を説明。和歌山県と県のセーリング連盟が一体となって運営を行い、県のスポーツ課が積極的に動いたことでクラブハウス(艇庫)の新設が実現したほか、地元の大学や宿泊施設ともうまく連携を図りながらセーリングの一大拠点としてのポジションを築いた経緯に加え、ユース世代の強化、艇配備の充実など、東京オリンピックに向けた取り組みを紹介しました。

 最後に、NTC高地トレーニング強化拠点に指定されている「飛騨御嶽高原高地トレーニングエリア」の概要を、岐阜県地域スポーツ課の切手直樹さんが紹介しました。標高1200m〜2000mに位置する同施設は医科学サポートに力を入れており、トレーニングに必要な乳酸測定や高気圧キャビンなどの機器が備わっています。切手さんは、東京2020に向けて海外チームの事前合宿地の誘致活動や、「御嶽育ち」のオリンピアン輩出に向けた取り組みなどを積極的に行い「ボルダーやサンモリッツに負けない、高地トレーニングの聖地を目指したい」と意気込みを語りました。

 翌10日は第5部として「競技別NTCのあり方」と題し、競技別NTCの関係者を対象に事業説明や支援の仕組み、強化戦略プランの作成についてレクチャーが行われました。そして最後はグループディスカッションを行い、「食事」をキーワードに競技別NTCでどのような取り組みができるか議論を交わしました。





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