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2015.06.05 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
プレゼンに参加した6名の選手たち。左から、生頼選手、笠井選手、中丸選手、鈴木選手、伊藤選手、菊池選手(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
JOCの福井理事によるあいさつ(写真:アフロスポーツ)

 公益財団法人日本オリンピック委員会(JOC)は5月18日、江東区文化センター(東京都江東区)で、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を行いました。
 アスナビは、オリンピック・パラリンピックなどを目指すトップアスリートの生活環境を安定させ、競技活動に専念できる環境を整えるために、企業の就職支援を呼びかける活動。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに47社/団体65名(2015年4月6日時点)の採用が決まりました。

 今回の説明会は江東区、東京商工会議所江東支部との共催で、江東区を拠点とする会員企業/団体49社68名が参加。自治体と共催の説明会は4月の川崎市に続き、今年度2回目となりました。

 冒頭、あいさつに立った福井烈JOC理事はまず、苦しい練習環境のなかで世界を目指すトップアスリートが数多くいる現状を説明。2020年東京オリンピック・パラリンピックにおいて複数の競技が江東区で実施予定となっていることに触れ、「皆様のサポートがトップアスリートの明日をつくります。ここにお集まりの皆様は、私たちチームジャパンの、大切な一員だと思っております。チームジャパンとして大活躍するアスリート、そしてメダリストが、この江東区で誕生することを心から期待しております」と述べました。

JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
江東区の山区長によるあいさつ(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
東京商工会議所江東支部の網代会長によるあいさつ(写真:アフロスポーツ)

 山孝明江東区長は、1964年東京オリンピックの選手村食堂でボランティアを経験し、選手と触れ合えた感動、感激が大きな宝になったというエピソードを紹介。「5年後、この江東区はオリンピックの中心地となります。オリンピックで優秀な選手たちが頑張る姿を子どもたちに是非見てほしいと思っていますが、環境に恵まれない選手もたくさんいます。もっと磨けば必ず光る、ダイヤモンドになる。そんな選手に江東区から協力をしていきたいと思います」と熱く語りました。

 東京商工会議所の網代良太郎江東支部会長は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、国内外から多くの観光客やスポーツ観戦に訪れる人が増えるとの見方を示し、「江東区、東京都、ひいては日本のイメージアップをするために必要なのはハード面だけでなく、本当の意味でのおもてなし精神を持ったボランティアの養成と、大会の主役である選手の育成です」と述べました。

 八田茂JOCキャリアアカデミー事業ディレクターによるアスナビ概要紹介に続いて、ロンドンオリンピック柔道女子78kg超級銀メダリストの杉本美香さんが登壇し、「トップアスリート応援スピーチ」が行われました。

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ロンドンオリンピック銀メダリストの杉本さんが応援スピーチ(写真:アフロスポーツ)
JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
阪神酒販の中尾事業本部長による採用事例紹介(写真:アフロスポーツ)

 株式会社小松製作所に社員として所属しながらオリンピック出場を目指し、現役引退後も同社の柔道部でコーチを務めている杉本さんは、同社に入社をした理由として社員による熱い応援と、セカンドキャリアを見据えて社会人として仕事をしながら競技生活ができるという2点を挙げました。入社後は、仕事を通じて選手が身近になり、努力の過程を知っている社員たちが一致団結して応援し、自分のことのように喜んだり悔しがったりする様子に感動。「私はけがが多くて5回くらい手術をしましたが、諦めず何度も畳に戻って来られたのは『この人たちを喜ばせたい、笑顔になってもらいたい』という思いが大きかったから」と明かしました。
 ロンドンオリンピックの決勝で敗れた後も「金メダルが取れず悔しくて辛かったのですが、みんなが笑顔で迎えてくれたので、色は違うけどメダルを持って帰ることができてよかったと思えた」という杉本さん。「選手は1人で夢を追いかけることができず、周りのサポートや応援や支えがないと輝けません。スポーツをしている人は皆それぞれの物語があります。これから6名の選手がプレゼンテーションをしますが、選手の物語を身近で一緒に作っていただけたらうれしいです」と締めくくり、選手たちを後押ししました。

 次に、阪神酒販株式会社の中尾亘事業本部長と、2013年5月に入社した陸上競技の梶川洋平選手が採用事例紹介を行いました。もともと日本代表クラスのセパタクロー選手4名の採用実績があった同社は、アスリート社員の会社貢献度が高いことから、オリンピックを目指す選手を採用できるアスナビに注目。2013年に梶川選手とレスリングの田中幸太郎選手を、翌年には同じくレスリングの北村公平選手を採用しました。中尾本部長は、「当初はアスリート社員が競技優先で配慮されることに揉め事もありましたが、一緒に働く社員の理解が進むことで、解決することができました」と述べ、アスリート社員の採用基準として(1)スポーツに取り組む目的やアスリートの社会的な役割が明確であるか、(2)会社が長期にわたりアスリートの活動を支援することが可能か、(3)社員からアスリートとしての活動が支持される人格であるか、の3つを挙げました。

JOCの就職支援「アスナビ」:江東区への説明会を実施
阪神酒販アスリートクラブでオリンピックを目指す陸上の梶川選手(写真:アフロスポーツ)
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ウエイトリフティングの生頼選手(左)と笠井選手(右)(写真:アフロスポーツ)

 そして今年度からは所属選手で構成するクラブチーム「阪神酒販アスリートクラブ」を設立し、チームとしての活動が本格的にスタート。クラブの広報担当を務める梶川選手が(1)オリンピックや世界選手権などの舞台で日本代表として出場し、活躍すること、(2)イベントや講習会の企画、講師を務めるなど、各競技の強化・普及に努めること、(3)仕事を通じてアスリートの価値をお客様、社会、スポーツに取り組む方々に伝えること、という3つのミッションを紹介し、具体的な活動内容を説明しました。梶川選手はアスリート社員がもたらす効果をアピールするとともに、「今後はアスリートと採用企業だけの関係ではなく、アスリートを媒体として社会を元気にする活動を目指します」と語りました。

 最後に八田ディレクターのコーディネートのもと、今回参加した6名の選手が1人1人登壇し、プレゼンテーションを行いました。選手たちは緊張感を漂わせながらもしっかりと自分の強みをアピールし、企業の支援を真剣に訴えました。


■生頼佑馬選手(ウエイトリフティング)
「元チャンピオンであった父親を超えることを目標として競技を始め、高校3年生のときにインターハイと国体の2冠を達成。大学ではスポーツビジネスのほか、競技力向上のための筋力トレーニングを学び、世界大学選手権6位入賞などの結果を残しました。
 私には2つの強みがあります。1つは分析力。他の選手の試技や動画などを観察、データ化することによって自分の長所を伸ばすし、弱点を克服することができました。もう1つは階級を上げ、体重を増やすことができる点です。ウエイトリフティングにおいて体重を増やすことは未知の可能性を秘めています。この未知の可能性を信じ、東京オリンピック出場を必ず達成したいと思います」

■笠井武広選手(ウエイトリフティング)
「競技を本格的に始めた高校時代はけがの連続で結果を残すことができませんでしたが、大学入学後は自分の好きな総合格闘技やビジネスの知識をウエイトリフティングに取り入れて記録向上を図り、大学日本新記録を樹立、昨年12月の世界大学選手権ではメダルを持ち帰ることができました。
 私の最終的な目標は東京オリンピックでメダルを取ることです。もちろん来年のリオデジャネイロオリンピックの出場も狙っています。結果を出すこと以外に競技をしていく過程で学んだ事はビジネスでも生かせると思います。ただ企業様にお世話になるのではなく、ビジネスにおいても双方向に深く関わっていきたいと考えています」

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ラグビーの中丸選手(左)と鈴木選手(右)(写真:アフロスポーツ)
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スキー・フリースタイルの伊藤選手(左)とショートトラックの菊池選手(右)(写真:アフロスポーツ)

■中丸彩衣選手(ラグビーフットボール)
「小学校6年生から10年間バスケットボールをしていましたが、自分の身体能力がどれだけ可能性を広げられるか挑戦してみた結果、ラグビー日本代表のトライアウトでただ一人の合格者となりました。目標は日本代表となってアジア大陸予選を勝ち抜き、リオデジャネイロオリンピックに出場することと、5年後の東京オリンピックで金メダルを獲得することです。
 私の強みはやると決めたことは最後までやり遂げることです。2つの違う競技を通して環境の変化への対応力を身につけたので、企業でもその力を発揮できると思います。もし採用していただける企業がございましたら、全力で貢献できるよう取り組みます」

■鈴木実沙紀選手(ラグビーフットボール)
「高校3年生のころから7人制、15人制ともに日本代表に選出され、憧れだった日本代表のサクラのジャージを着て、世界の舞台で戦うことができました。企業に入社しても瞬時に状況を判断し、チームにとって必要な行動をとれるようになっていきたいです。現在の目標は今年11月の大会でアジアの出場権を獲得し、リオデジャネイロオリンピックに出場すること、そして東京オリンピックでの金メダル獲得です。
 ラグビーというスポーツは応援してくださる皆様がいて、勝った時に一緒に喜んでくれる方々がいるからこそ成り立つスポーツだと思っています。ぜひ企業の皆様には私の挑戦を一緒に応援していただき、一緒に喜べたらいいなと思っています」

■伊藤さつき選手(スキー・フリースタイル)
「中学2年生の時に右ひざ、高校3年生の時に左ひざの前十字靭帯を断裂しましたが、競技を辞めようと思ったことは一度もありませんでした。2度の大きなけがを通して、私は粘り強く努力する能力を手にすることができました。社会人になってもこの能力を生かし、困難にぶち当たってもくじけず課題を解決していけるように頑張っていきたいです。
 私は明るい性格なので、チーム内を元気にしたり、明るくすることがよくあります。練習中に自分がしんどい時でも、必ず声を出して周りの選手を応援するようにしています。お世話になる企業でもこの性格を生かし、会社の中を明るく元気にするよう頑張りたいと思います」

■菊池悠希選手(スケート・ショートトラック)
「アメリカ留学から帰国した後のレースで骨折をしてソチオリンピックの最終選考会に出場できず、とても悔しい思いをしました。代表に入った妹(菊池萌水選手)の応援には行かず、姉妹そろってオリンピックの舞台に立ちたいという思いを胸に競技を続けていくことを決め、私は私で頑張ると誓いました。
 企業の皆さんが目標に向かう過程の中で、試行錯誤を繰り返しながらどこにも負けない技術やノウハウを生み出してきたように、小さい頃から目指してきたオリンピック出場という夢を現実にすることで、誰にも負けない強みを感じて頂きたいと思います。私自身も皆様のお役に立てるように精一杯つとめてまいります」

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