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シドニー2000


見どころ

男子

過去のオリンピックサッカー

(1)アジア唯一の銅メダル
1936年のベルリンオリンピック初出場から今回8回目の出場。1964年東京大会では、南米の強豪アルゼンチンに勝ちベスト8を記録。同大会には、前日本代表監督イビチャ・オシムもユーゴスラビア代表として来日しており、日本代表とも対戦。対戦成績は6対1でユーゴスラビアが勝利。6得点のうち2得点がオシム、日本の1得点は釜本邦茂。

初のベスト8を記録した東京大会から4年後、日本代表は快進撃を見せた。3位決定戦が行われた1968年メキシコシティー大会では、地元105,000人の大観衆の中、釜本が2ゴールを上げ地元メキシコを破り、アジアサッカー史上(男子)唯一の銅メダルを獲得。釜本は大会得点王となり、2大会連続出場したオリンピックでのゴールは通算8ゴールを上げている。だがしかし、その後日本サッカーがオリンピックに出場するのに28年の月日を要した。

(2)Jリーグ発足とマイアミの奇跡
時代は変わり、1993年プロサッカーリーグ「Jリーグ」が発足。一大サッカーブームの中28年ぶりに出場する1996年のアトランタオリンピックでは、川口能活や、中田英寿などが出場。初戦で強豪ブラジル代表に勝利し「マイアミの奇跡」と呼ばれた。このブラジル代表には、後のワールドカップ優勝メンバーのロナウドや、ロベルトカルロスらがいた。この大会から年齢制限を伴わない3名の選手いわゆるオーバーエイジの選手を入れる事が可能であったが、日本は23歳以下の選手のみで挑んだ。

(3)ゴールデンエイジ
98年のFIFAワールドカップ初出場の勢いにのり、2年後の2000年に行われたシドニーオリンピックでは、監督にフィリップ・トルシエを迎え、先のワールドカップに出場した中田英寿らに加え中村俊介、稲本潤一、など「ゴールデンエイジ」と呼ばれるタレント豊富なチームで挑んだ。オーバーエイジ3選手の枠を使いグループリーグ突破を果たすも、準々決勝アメリカ戦は、PKで涙を飲んだ。

(4)シドニー経由ドイツ行き
2000年シドニーオリンピックと2002年FIFAワールドカップで指揮を取ったトルシェのコーチ、山本昌邦が就任。「シドニーオリンピックからドイツワールドカップ」につながるチーム作りをコンセプトとした。最終予選は、当時大流行した新型肺炎SARSの影響で、当初の予定が大幅に遅れ、結局2000年3月にUAEと日本でのダブルセントラル方式で開催された。UAE、レバノン、バーレーンの中東3カ国と同じ組に入った日本は、UAEラウンドでは万全とはいえないコンディションの中、2勝1分で乗り切りグループ首位で折り返した。続く日本ラウンドでは、初戦でバーレーンに予選唯一の黒星をつけられたものの、日本ラウンドから登場の大久保・阿部らが活躍し、層の厚さを見せつけ、残り2試合をともに勝利で飾り、日本史上初となる3大会連続の出場を見事果たした。

本大会では、初戦パラグアイ戦を落とすと、続くイタリア戦も2対3で破れ、最終戦ガーナに1勝するにとどまった。

今大会のチーム

「情熱と誇り」

ジーコが指揮を取ったFIFAワールドカップドイツ終了後、日本代表監督にオシムが就任(当時)。オリンピックを目指すチームの監督には、開幕当時「サラリーマンJリーガー」と呼ばれていた反町康治が就任した。反町はA代表コーチとして入閣、自分のチームを作りながらも、代表(年齢制限のないチーム)とオリンピック世代をつなぎ、若手選手の経験値を上げた。

サッカーに対する「情熱」、日本代表である「誇り」を持って常に戦うコンセプトでチームを立ち上げ、予選に挑んだ。

日本は、2次予選から出場、シリア、マレーシア、香港と総当りで対戦し、6戦全勝1位で突破。最終予選は、酷暑のサウジアラビア戦を引き分けるものの、カタールのアウェイで破れ、予選突破の雲行きが怪しくなる。1ヵ月後に行われたベトナム戦を4対0で勝利し、続くホーム最終戦を引き分け、4大会連続となる予選突破を決めた。

何よりもこのチームは、守備の堅さが大きな特徴である。予選を通しての失点は4点のみである。

これまでのオリンピック代表では、本大会前に海外移籍する選手は少なかったのだが、この世代から選手が海外移籍をするようになってきた。

その一人森本貴幸は、J1最年少出場記録(2000年5月5日対市原戦・当時15歳10ヶ月)とJ1最年少得点記録(2005年3月19日vs川崎F戦)を残し、イタリアに海外移籍。2次予選最終予選とも招集される事はなかったが、先に行われたトゥーロン国際大会に招集され結果を残している。

中盤の本田圭佑は、オランダ(VVVフェンロ)へ、水野晃樹はスコットランド(セルティック)へ移籍。さらに下の世代となる梅崎司(浦和レッズ)もフランスへの移籍経験を持っている。

各年齢制限の代表として、海外遠征を経験してきているが、それ以上に、海を渡った彼らの海外リーグでの実践経験は、チームにとっても大きな力になるであろう。

過去の日本のオリンピック本大会試合結果

1936年ベルリン大会
・1回戦vs スウェーデン○3−2
・準々決勝vs イタリア●0−8
1956年メルボルン大会
・1回戦vs オーストラリア●0−2
1964年東京大会
・予選リーグ vs アルゼンチン
vs ガーナ
○3−2
●2−3
・準々決勝 vs チェコスロバキア●0−4
・5、6位決定予備戦vs ユーゴスラビア●1−6
1968年メキシコ大会
・予選リーグ vs ナイジェリア
vs ブラジル
vs スペイン
○3−1
△1−1
△0−0
・準々決勝vs フランス○3−1
・準決勝vs ハンガリー●0−5
・3位決定戦vs メキシコ○2−0
1996年アトランタ大会
・予選リーグ vs ブラジル
vs ナイジェリア
vs ハンガリー
○1−0
●0−2
○3−2
2000年シドニー大会
・予選リーグvs 南アフリカ
vs スロバキア
vs ブラジル
○2−1
○2−1
●0−1
・準々決勝vs アメリカ●2−2 PK4−5
2000年シドニー大会
・予選リーグ vs パラグアイ
vs イタリア
vs ガーナ
●3−4
●2−3
○1−0

シドニーオリンピック予選成績

(1)アジア2次予選(2007年2月28日〜2007年6月6日)
4チームによるホーム&アウェイ方式でリーグ戦を戦い、上位2チームが最終予選に進出できる。

チーム名勝点勝利引分敗戦得点失点得失点順位
U-22日本代表18600172151
U-22シリア代表1031297 22
U-22マレーシア代表411449-53
U-22香港代表3105214-124

○ 2007年02月28日 U-22日本 vs U-22香港代表3-0
○ 2007年03月14日 U-22マレーシア代表 vs U-22日本代表1-2
○ 2007年03月28日 U-22日本代表 vs U-22シリア代表3-0
○ 2007年04月18日 U-22シリア代表 vs U-22日本代表0-2
○ 2007年05月16日 U-22香港代表 vs U-22日本代表0-4
○ 2007年06月06日 U-22日本代表 vs U-22マレーシア代表3-1

(2)最終予選(2007年8月22日〜2007年11月21日)
1次予選、2次予選を勝ち抜いた12チームが3グループ4チームに分かれ、ホーム&アウェイ方式でリーグ戦を戦い、上位1チームがオリンピック出場国となる。

チーム名勝点勝利引分敗戦得点失点得失点順位
日本 113217251
カタール103128622
サウジアラビア92315323
ベトナム2024312-94

○ 2007年08月22日 U-22日本代表 vs U-22ベトナム代表1-0
△ 2007年09月08日 U-22サウジアラビア代表 vs U-22日本代表0-0
○ 2007年09月12日 U-22日本代表 vs U-22カタール代表1-0
● 2007年10月17日 U-22カタール代表 vs U-22日本代表2-1
○ 2007年11月17日 U-22ベトナム代表 vs U-22日本代表0-4
△ 2007年11月21日 U-22日本代表 vs U-22サウジアラビア代表0-0

(3)第36回トゥーロン国際(フランス・トゥーロン2000年5月20日〜)
フランス・トゥーロンにて開催。2グループ総当たり戦上位2チームが決勝トーナメント進出。

参加国:
グループA:日本、オランダ、フランス、チリ
グループB:コートジボアール、イタリア、トルコ、アメリカ

チーム名勝点勝利引分敗戦得点失点得失点順位
日本62013302
オランダ310213-2 3
フランス000348-4 4
チリ93009361

<予選グループ>
○ 2000年05月20日日本vsオランダ1-0
○ 2000年05月22日フランスvs日本1-2
● 2000年05月24日チリvs日本0-2
<決勝トーナメント>
● 2000年05月27日イタリアvs日本0-0(5PK4)
<3位決定戦>
● 2000年05月29日コートジボアールvs日本2-2(4PK3)

女子

過去のオリンピック・サッカー

オリンピックにおいて女子サッカーは、1996年のアトランタオリンピックから正式種目となり、今回は4回目の大会となる。

日本は女子サッカー初の大会となったアトランタ大会に出場した。4チームでのグループリーグでは初戦のドイツ戦に木岡二葉、野田朱美がゴールするも接戦の末に2-3で惜敗。その後もブラジル、ノルウェーといった強豪国に敗れ、グループリーグで敗退した。

続くシドニー大会には、出場条件だった前年の世界選手権にて上位7チームに入らなかったため、出場権を得られなかった。

前回のシドニー大会では、初めて各大陸毎に出場国が割り当てられた。日本はアジア予選を戦い、2ヶ国だった出場枠の一つを確保して本大会に出場した。グループリーグでは初戦のスウェーデン戦を荒川恵理子のゴールで1-0と勝利し、オリンピック史上初勝利を挙げた。2戦目のナイジェリア戦は0-1と惜敗したものの初のグループリーグ突破を果たし、ベスト8進出を果たした。準々決勝では優勝したアメリカを相手に山本絵美がゴールするなどして善戦したが、1-2で惜敗した。

過去のオリンピック本大会での戦績

1996年アトランタ大会
・グループリーグ敗退(0勝3敗)vs ドイツ
vs ブラジル
vs ノルウェー
●2-3
●0-2
●0-4
・優勝:アメリカ、2位:中国、3位:ノルウェー
2000年シドニー大会
・不出場
・優勝:ノルウェー、2位:アメリカ、3位:ドイツ
2000年シドニー大会
・グループリーグ突破(1勝1敗)vs スウェーデン
vs ナイジェリア
○1-0
●0-1
ベスト8進出(準々決勝敗退)vs アメリカ●1-2
・優勝:アメリカ、2位:ブラジル、3位:ドイツ

オリンピックへの展望

(1)目標
佐々木監督は就任当初から、「オリンピックでは前回大会のベスト8以上、そして良い色のメダルに手を届かせたい。また、他競技に先駆けて最も早く始まる女子サッカーで良い結果を挙げ、日本全体に勢いをつけたい。」と公言している。各世界大会で着実に成績を上げ、FIFAランキングでも10位に位置するなでしこ。特に今年2月の東アジア選手権大会ではランク6位の朝鮮民主主義人民共和国を破って優勝するなど、チーム状態も上向きであることから、グループリーグ突破することはもちろん、メダル獲得を明確な目標として臨む大会となる。

(2)対戦相手
1. ニュージーランド
大きなポイントとなる初戦の対戦相手。FIFAランキングは24位、過去の対戦成績も日本の2勝0敗と、実力的にはしっかり勝利しなければならないと同時に、グループリーグ突破に向けて得失点差も稼いでおきたい相手。
オリンピックには初出場だが、昨年中国で開催されたFIFA女子ワールドカップに出場。グループリーグで敗退したものの、準優勝のブラジルや地元中国と対戦するなど国際大会の経験も積んでいる。近年で急成長しているチームで、若い選手も多いことから、勢いに乗ったら未知数の実力を発揮するチーム。
<過去の対戦成績>
・2000年6月2日:パンパシフィックカップ ○2-1 @オーストラリア/シドニー
・2005年5月21日:キリンチャレンジカップ ○6-0 @東京

2. アメリカ
2戦目の対戦相手で、FIFAランキング1位のチーム。選手個人個人のフィジカルと技術が高く、またチームとしての組織力もしっかり整備されている。今大会でもドイツと並んで金メダルの最有力候補である。
過去の成績でもワールドカップで優勝2回、3位3回、オリンピックでは過去3大会で優勝2回、準優勝1回と、女子サッカーを引っ張り続けている。日本は過去の対戦成績でも親善試合で3回引き分けた以外は全て敗れているが、近年は実力差が縮まってきている。また多くの対戦経験から相手のやり方、プレースタイルは熟知していることも大きい。オリンピックという大舞台での対アメリカ初勝利、もしくは引き分けに持ち込むことができるかがポイント。
<過去の対戦成績合計=3分16敗>
※公式大会のみ
・1991年11月21日 第1回世界女子選手権 ●0-3 @中国
・1995年6月13日 第2回世界女子選手権 ●0-4 @スウェーデン
・2000年9月20日 シドニーオリンピック ●1-2 @ギリシャ
※シドニーオリンピック以降
・2006年5月7日 国際親善試合 ●1-3 @熊本
・2006年5月9日 国際親善試合 ●0-1 @大阪
・2007年7月28日 国際親善試合 ●1-4 @アメリカ

3. ノルウェー
グループリーグ最終戦の対戦相手。FIFAランキング5位の強豪で、ワールドカップでは全大会でグループリーグを突破し、優勝1回、準優勝1回。昨年のワールドカップも4位に入っている。オリンピックではアトランタ大会で銅メダル、シドニー大会では金メダルを獲得している。前回のシドニー大会では出場できなかった。
ヨーロッパらしく非常にフィジカルが強いチーム。
過去の対戦成績は1勝2敗。その1勝は直近の対戦である昨年に挙げたもので、精神的に良い状態で試合に臨むことができる。
<過去の対戦成績>
・1996年7月25日 アトランタオリンピック ●0-4 @アメリカ
・1999年6月26日 女子世界選手権大会 ●0-4 @アメリカ
・2007年2月9日 国際親善試合 ○1-0 @キプロス

オリンピック出場までの道のり

なでしこジャパンは、シード国とアジア予選を勝ち抜いた全8チームによって争われる最終予選にシード国として登場した。なでしこは韓国、タイ、ベトナムと同組となり、ホーム&アウェイの6試合を戦った。
4月7日に初戦、ホームでのベトナム戦を2-0と勝利したなでしこは、その後もタイ、韓国に圧勝した。続くアウェイでの韓国戦は2-2の引き分けに終わったが、5戦目のベトナム戦を8-0と勝利し、その結果最終戦を待たずして2大会連続のオリンピック出場を決めた。そしてホームで8月12日に行なわれた最終戦ではタイに5-0と勝利し、5勝1分けという成績で約4ヶ月にわたった最終予選を終えた。最終予選の相手は実力的には格下だったとはいえ、「勝って当たり前」の相手に確実に勝つこと、またアウェイゲームの不利な環境を克服し、勝利という結果を残せたことは、オリンピック本大会に向けて大きな経験と自信を得ることができた。

オリンピックへの準備

(1)FIFA女子ワールドカップ2007
オリンピック最終予選を終えた翌月、なでしこジャパンは中国で開催されたFIFA女子ワールドカップ2007に出場した。グループリーグでイングランド、アルゼンチン、ドイツと対戦したなでしこは、1勝1敗1分け、勝ち点4となり、勝ち点5のイングランドに及ばず3位となりグループリーグで敗退した。しかしこの大会を通じて世界のトップチームとの真剣勝負という経験を積んだこと、特に優勝したドイツに善戦できたことは、その戦い方に確かな手応えを掴むことができ、オリンピックでの戦いに向けて大きな財産となった。

(2)監督交代
また2000年12月からなでしこジャパンの指揮を執っていた大橋浩司監督は、この女子ワールドカップを最後に勇退し、代わってそれまでコーチを務めていた佐々木則夫氏が監督に就任した。
佐々木監督は、大橋監督が作ってきたチームをベースにさらにレベルアップをさせ、急速に進歩している世界のトップと互角に渡り合えるようなチーム作りをしていくことを打ち出した。相手の良さを消しながら、自分たちがしっかり動き、自分たちでしっかりボールを動かす。そして相手のゴール前でしっかり崩し切り、自分たちのゴール前ではしっかり守り切る。それまでコーチとして携わってきたなでしこを知り尽くした上での分析だった。

(3)東アジア選手権大会
佐々木監督は2月に新チームをスタートさせ、下旬に中国で始まった「東アジア選手権大会」が最初の公式戦となった。2年に1回行われるこの大会は、朝鮮民主主義人民共和国、中国、韓国と世界的にも強豪と言われるチームが参加した。日本は初戦でアジア最強とされる朝鮮民主主義人民共和国と対戦。開始直後の3分に先制した日本だったが、その後は押し込まれる時間が続いた。後半に逆転されるとメンバー交代などで攻撃に厚みを持たせ、82分に同点に追い付く。そして後半ロスタイムに劇的な逆転ゴールを決めて強豪朝鮮民主主義人民共和国から約4年ぶりとなる白星を挙げた。続く韓国戦では相手を寄せ付けない戦いを見せて2-0と完勝。優勝のかかる最終戦では、完全なアウェイ状態の中で地元中国を圧倒し、3-0で勝利。この結果なでしこは、チーム史上初の公式大会タイトルを獲得した。佐々木監督の初陣を見事に飾ると同時に、招集した全選手を3試合で出場させ、チームの底上げも図ることができた。オリンピックに向けた周囲の期待が大きく膨らむ結果となった。

(4)キプロス遠征
東アジアサッカー選手権を戦った後、なでしこジャパンは1週間と空けずにキプロス遠征に旅立った。この遠征にはなでしこの中心であるベテラン勢を呼ばず、中堅以下のメンバーのみで構成し、彼女たちの意識改革を図った。フィジカル強化とオランダとのテストマッチなどの実戦練習を行なった後、”CYPRUS WOMEN`S CUP 2008“に参戦。中2日ペースで予選グループリーグ、3位決定戦を戦うのと並行してカップ戦の中日にもさらにテストマッチが組まれた。かなりのハードメニューをこなす中で、チームのボトムアップを図っていった。

(5)AFCアジアカップ ベトナム2008
AFC女子アジアカップ直前に再び集合したなでしこは国内キャンプを行なった。このキャンプはアジアカップへの準備だけでなく、対戦国が決定したオリンピックを念頭に入れたトレーニングが繰り広げられた。練習試合では同グループで体格の良いアメリカ、ノルウェーをイメージして、男子チームと戦うなど、明確な目的を持っていた。
そして迎えたベトナムでのアジアカップで、日本はグループリーグでオーストラリア、韓国、チャイニーズ・タイペイと対戦。初戦の韓国戦では豪雨による最悪のピッチコンディションに戸惑い、1-3とまさかの敗戦を喫してしまう。その後のチャイニーズ・タイペイ戦を11-0、オーストラリア戦を3-1と勝利してグループリーグを突破するが、準決勝の中国戦では1-3と敗れてしまう。3位決定戦で再びオーストラリアに3-0と勝利したが、優勝を目指して臨んだ大会は3位に終わった。しかし、「オリンピックへの準備」と明確な位置付けをした大会で、課題の抽出と実戦経験、特にフィジカルも強く、組織力にも定評のあるオーストラリアと2度にわたって対戦できたことは本大会の良いシミュレーションになり、なおかつ勝利できたことは大きな収穫だった。

大橋監督のもとに昨年まで選手個々の能力を高めることに注力してきた。その上で佐々木監督が組織力の向上を図ってきた。実戦を通じて課題の抽出とその克服を行ない、またオリンピックで想定される様々な状況についての準備を行なって、なでしこジャパンは最高の舞台であるオリンピックに臨む。

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