Photo:フォート・キシモト
フェンシングは、2人の選手が向かい合い、片手に持った剣で互いの有効面を攻防する競技で、種目はフルーレ、エペ、サーブルの3種目があります。使用する剣の形状や、得点となる有効面、優先権の有無などが種目ごとに異なっており、ピストと呼ばれる伝導性パネルの上で行われます。
試合は、男子・女子それぞれ個人戦と団体戦が実施されます。個人戦トーナメントでは、3分×3セットのうち、15点先取した選手か、または試合終了時により得点を多く取った選手が勝利。団体戦は1チーム3名(+1名の交代選手)による総当たり戦で、3分×9セットのうち、45点先取したチームか、または試合終了時により得点を多く取ったチームが勝利となります。
オリンピックでは、第1回の1896年アテネ大会で男子フルーレ個人と男子サーブル個人が採用されて以来、各大会において欠かすことなく実施されています。女子種目としては1924年パリ大会から女子フルーレ個人、1996年アトランタ大会から女子エペ個人、2004年アテネ大会から女子サーブル個人が実施されています。東京2020大会では、フルーレ、エペ、サーブルの3種目において、男女とも個人・団体の全12種目が実施されます。
Photo:フォート・キシモト
フェンシングの魅力は、両選手が繰り広げる精密な技の応酬と瞬時の駆け引きにあり、間合いを詰めた接近戦での華麗な剣さばきが見どころです。照明が落とされた試合場で繰り広げられる激しい攻防は、瞬きも許されないほどの緊迫感に満ちています。
フルーレ、エペ、サーブルの相違点の一つは、得点となるターゲットの範囲、つまり「有効面」です。フルーレは背中を含む胴体、エペは全身、サーブルは頭や両腕を含む上半身が有効面となっています。判定には電気審判機が用いられ、一方または両方の選手が有効面に突きや斬りを決めた場合、審判機に赤色や緑色のランプが点灯します。
そしてフルーレとサーブルには「優先権」というルールがあります。先に腕を伸ばして剣先を相手に向けたり、先に前進したり、剣を叩いたりした選手が優先権を獲得します。対戦相手は相手の剣を払ったり、叩き返したりして優先権を奪い返すことができ、すかさず反撃に転じます。この優先権の奪い合いを魅力とするフルーレ・サーブルに対し、エペには優先権というルールはありません。全身が有効面であり、対戦相手のどこにでも先に突けば得点となる単純明快さが大いなる魅力で、両者同時に突いた場合は、双方に得点が入ります。頭の天辺から足の裏までが的であるため、意表をついて足先を突くといった、変化に富む試合が展開されます。
さらにフルーレとエペは「突き」だけが得点となりますが、サーブルでは「突き」に加えて剣身で触れる「斬り」の動作も得点となります。フルーレ・エペの精度の高い剣さばきに加え、サーブルの斬る動作を含んだ剣さばきは豪快さが感じられます。
※東京2020大会組織委員会 公式サイトより