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2017.02.07 お知らせ

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
JOCオリンピック教室を千葉市立磯辺中学校で開催。先生は上田藍選手(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は1月26日、平成28年度「JOCオリンピック教室」を千葉県千葉市の千葉市立磯辺中学校で実施しました。

「JOCオリンピック教室」は、中学2年生を対象に、オリンピアン(オリンピック出場経験アスリート)が教師役となり、オリンピアン自身のさまざまな経験を通して「オリンピズム(オリンピック精神)」や「オリンピックの価値(バリュー)」などを生徒たちに伝え、これらの価値を多くの人々が共有し、日常生活にも生かせるものであることを、授業を通して学習してもらうことを目的としています。

 この日の先生を務めたオリンピアンは、2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオデジャネイロと3大会連続でオリンピックに出場したトライアスロンの上田藍選手。2クラスに「運動の時間(体育館)」と「座学の時間(教室)」を通じて、「エクセレンス(卓越)」「フレンドシップ(友情)」「リスペクト(敬意/尊重)」という3つの「オリンピックバリュー(価値)」が、生徒の日常生活にも生かすことができるものであることを伝えました。

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
靴を脱いで体育館を走る生徒たち(写真:アフロスポーツ)

 最初の授業は、体育館での「運動の時間」です。笑顔で登場した上田選手は、はじめに「これからチャレンジしてもらうことは単純なようで良く考えなければできません。ひとりひとりが考えたことをチームの皆で共有して、そこで感じたことを次の授業(座学)でしっかり振り返ります」と授業の目的を確認。また、「ケガをしないようにしっかり準備運動すること、また、分からないことがあったら『分からない』と言ってください」と呼びかけ、生徒の緊張をほぐしていました。

 上田選手の丁寧な指導で入念に準備運動を済ませた生徒たちは、6つのグループに分かれ、3種目を続けて行うトライアスロンの“トランジション(種目間の切り替え)”を体感できるリレーゲームに挑戦。3パターンのチーム対抗リレーを行い、その順位を競いました。

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
生徒たちも積極的に意見出し(写真:アフロスポーツ)

 1回戦では、走者は靴を手に持って走り、折り返しポイントで靴を履いてから走って戻り、バトン代わりにハイタッチをして次の走者につなぎます。ルール説明が終わったところで、まずは練習を兼ねて試走を実施。速く走りたい気持ちがはやって、うまく靴が履けず悪戦苦闘する生徒たち。そんな仲間の姿を見て、チームメートから自然と「頑張れ!」の声が沸き起こっていました。試走後には、良かった点や課題をチームで話し合う作戦タイムを経て、上田選手のホイッスルで1回戦がスタート。生徒たちは靴の持ち方や距離をロスすることなく折り返しで止まる走り方など、意見交換から生まれたアイデアを生かして、全力で走っていました。

 2回戦では靴を履く動作に加えてバスケットボールのドリブルを、3回戦ではドリブルを片足でケンケンしながら走る動きに変えて、リレーゲームを行いました。各チームとも、お互いに声を掛け合い、声援を送るなどして仲間を気遣い、協力し合って取り組んでいました。運動の授業を終えて、上田選手は「(チームで作戦を考え)話し合ったことは“オリンピックバリュー”の考え方にもあることです。みんなが何気なく経験していることが、実はオリンピックの価値の中に入っています」と説明。「エクセレンス」「フレンドシップ」「リスペクト」の3つの価値が書かれたカードを指差し、「これだけ見ると難しい言葉だなと思うかもしれませんが、次の授業(座学)で話し合う中で、分かりやすく説明していきたいと思います」と予告し、運動の授業を終えました。

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
グループワーク時の机間指導(写真:アフロスポーツ)

 後半は教室での「座学の時間」です。まずは、上田選手から自己紹介を兼ねて、昨年の日本選手権の映像をみながら、トライアスロンについて学びました。運動の時間でも“体験”したトランジッションの実際の様子を見た生徒たちは、トップアスリートのすばやい転換に驚いている様子でした。

 続いて、上田選手がオリンピックの価値を説明。中学時代は水泳部、高校では陸上部に所属してトライアスリートとしての下地を積み上げた上田選手にとって、「エクセレンス」とは、その時々であきらめることなくベストを尽くした結果が今につながったこと。「フレンドシップ」は、運動の時間で生徒たちが実践したように、皆で意見を出しあって協力すること。「リスペクト」は、自分を取り巻く環境や人との出会いに感謝すること、スポーツマンシップを守ることと、自身の体験も交えて伝えました。そして、「『オリンピック=メダルを取る』というイメージが強いかもしれませんが、そこまでの過程が大切です」と語り、皆が行っている普段の練習や日常生活の中にも、3つの価値があることを伝えました。

平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
上田選手と2年A組との記念撮影
平成28年度「JOCオリンピック教室」 千葉市立磯辺中学校で開催
上田選手と2年B組との記念撮影

 自身の経験を語った上田選手は、グループディスカッションの課題として、「自分たちの身近に、この3つの価値がどう存在しているか話し合ってください」と発問しました。ひとりひとりが過去の経験をふまえて、時には上田選手から助言をもらいながら活発に議論を交わす生徒たち。「合唱コンクールで考えて、エクセレンスは毎日の練習を大事にすること。フレンドシップは皆で意見を出し合うこと。リスペクトは教えてくれた実行委員と先生に感謝すること」など、各グループがまとめた意見を発表しました。

 上田選手は最後に、「今日学んだことを少しでも心にとどめてもらい、自分たちが目標や夢を持った時に、それを達成するための土台にしてもらえたらうれしいです」とコメント。また、「2020年のオリンピックでは、ここ千葉市でレスリング、フェンシング、テコンドーなどの競技が開催されます。いろんな形で関わるだけでなく、もちろんトライアスロンも応援してほしい」とメッセージを送り、座学の授業を終えました。

 生徒たちは授業を終えて、「みんなで協力をすることの大切さを学べました。また、体を動かしていい汗をかいたので楽しかったです」などと笑顔で語りました。また、「(種目の切り替えを体験して)僕はバスケ部なので、試合でオフェンスとディフェンスの入れ替えをするなどの切り返しの時に、この経験を生かしたいです」と、意欲的なコメントも聞かれました。

 上田選手は「オリンピックを少し遠い存在に思っている子が多いと思いますが、それを身近に感じていただければと思いながら授業をしました」と思いを語りました。そして「授業の最後には、オリンピックの価値を身近に、学校や家族など自分の生活の中にあるということを感じてもらえたので、うれしかったです」と充実した表情で、2クラスでの“先生”としての1日を締めくくりました。

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