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“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表

カテゴリ:その他活動
2017.01.31
“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表
竹田恆和JOC会長によるプレゼンテーション(写真:フォート・キシモト)
“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表
会見には多くの報道陣が集まった(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は1月24日、「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表しました。本構想は東京2020大会を通じてJOCが社会や未来に何を残すのか、また大会後にどのような姿を目指すのかを検討し、理想の実現に必要な取り組みをまとめたものです。

 都内での記者発表にはJOCの竹田恆和会長、平岡英介専務理事をはじめ、本構想の策定にあたってきたJOC将来構想プロジェクト座長の田嶋幸三常務理事、同副座長の松丸喜一郎常務理事、同メンバーの大塚眞一郎理事、小風明理事が出席。はじめに竹田会長がJOCの理念と、本構想をまとめた背景ついて概要説明を行いました。

■スポーツの持つ力は社会を変える大きな原動力に

 竹田会長はまず、「オリンピック日本代表選手の挑戦や活躍が、東日本大震災からの復興途上にある国民の心を1つにし、社会に明るい灯をともして希望ある未来を届けてくれた」と語り、国際オリンピック委員会(IOC)が採択した改革案「アジェンダ2020」やトーマス・バッハIOC会長の言葉を挙げながら、オリンピックやスポーツの力が社会にもたらす影響の大きさを示しました。
 その上で東京2020大会、さらにはその先の未来を見据え、スポーツを通じて世界平和の構築に貢献するという国内オリンピック委員会(NOC)としての使命をJOCがどのように果たしていくか、そのためにどのような役割を担っていくのかを明確にして、変革を伴いながら実行に移すための「道しるべ」が本構想であるとし、「新年度を待たず、役職員一丸となって、関係団体とともに早々に取り組んで参りたいと思います」と述べました。


“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表
プロジェクトの座長を務めた田嶋幸三JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)

■JOCの使命を果たすための「3つの役割」

 続いて田嶋常務理事が、JOCの使命を果たすための役割として掲げた、(1)アスリートの育成・強化、(2)国際総合競技大会の派遣・招致ならびに国際化の推進、(3)オリンピズムの普及・推進について、3つ目の「オリンピズムの普及・推進」を中心に構想策定の経緯を説明しました。
 田嶋常務理事は、JOCが「選手を派遣・強化する団体」「国内競技団体(NF)にお金を配分している団体」というイメージは持たれていても、オリンピック・ムーブメントという言葉やオリンピック憲章については選手を含めて認知が広まっていないという現状を指摘。「実際は、オリンピックの素晴らしさを多くの国民に伝えることで子どもの教育などにも関与していきたいと思っていますが、それらを広めていくための活動をしっかりとやってこなかったから、(イメージの)誤解を招いていたんじゃないかと。それをしっかりとやっていこうというのが、今回のプロジェクトの最初のスタートです」と述べ、「“ポスト2020”から始まったプロジェクトではありますが、2020年までは待てません。できるだけ早く、日本のすべての方々、NFの方々、選手たちに伝えていきたい」と訴えました。

■3つの役割を具現化する「5つの活動」

 最後に、上記の「3つの役割」を具現化するものとして掲げた「JOCの5つの活動」(選手強化、アスリート支援、オリンピック・ムーブメント推進、国際連携、自律・自立)について、松丸常務理事が詳細説明を行い、「JOCの職員が一生懸命考えて、将来構想を事務局としてしっかり果たしていくために作ったものです」と述べて、本構想を踏まえた「JOCの行動指針」を紹介しました。「5つの活動」の主な内容は以下の通りです。


“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表
プロジェクトの副座長を務めた松丸喜一郎JOC常務理事(写真:フォート・キシモト)
“ポスト2020”を見据えた取り組み 「JOC将来構想 〜人へ、オリンピックの力〜」を発表
JOCの理念(JOCの使命、役割、活動の概念図)

(1)選手強化
・強化部の再編成による効果的な支援体制作り
・競技の枠を超えた知見の共有・活用
・PDCAサイクルを回し強化費が効果的に生かされているかチェックを行う

(2)アスリート支援
・反社会的勢力、賭博、八百長などに巻き込まれないための「危機管理教育」の実施
・アスリートが競技に専念できる環境づくりとして現役選手のための「アスナビ」に加え、引退選手のための「アスナビNEXT」を本格稼動させる

(3)オリンピック・ムーブメント推進
・現役アスリートとアントラージュ(指導者、家族など選手を取り巻く人々)に対するオリンピック教育の推進と学校教育への導入推進
・オリンピックデーランをはじめとした「ハローオリンピズム事業」や日本独自のイベントである「オリンピックコンサート」などの拡大
・2019年完成予定の「日本オリンピックミュージアム(仮称)」をオリンピック・ムーブメントの発信拠点とする
・表彰制度を拡大し、競技成績に対してだけでなく、オリンピズムを体現したアスリートやそれを支えたアントラージュに対する表彰制度を導入する

(4)国際連携
・国際競技団体(IF)やアジア競技連盟(AF)などの国際組織における役職員を増やすべく「国際人養成アカデミー」をブラッシュアップする
・政府による国際貢献事業「スポーツ・フォー・トゥモロー」との連携によるスポーツ発展途上国への指導者派遣、選手の受け入れを推進
・各種国際競技大会の招致・開催と、NFの国際競技大会招致・開催に対する支援

(5)自律・自立
・NF総合支援センターによる各NFの経理処理支援を拡大し、コンプライアンス(法令遵守)やガバナンス(企業統治)についても支援を行う
・JOCの組織力強化により指揮命令系統を明確にする
・JOCとNFの関係を明確にする(定款の改定)
・加盟団体規定を改定し、加盟団体の権利と責任・義務を明記する
・2021年以降の財政的な自立を目指し、「TEAM NIPPON」等のブランドを用いたマーケティング戦略を推進する
・NFに対するマーケティング支援の推進。JOCのパートナー企業等と各NFをマッチングさせる仕組みを作る

 今回の発表を起点として、JOCは本構想に紐付いたさまざまな取り組みをできるところから実施して参ります。詳細をまとめた冊子データは、JOCの公式サイトまたは下記のダウンロードリンクからご覧いただけます。


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