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2016.07.09 選手強化

平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催

平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
尾縣貢NTC活用事業部門副部門長(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は6月3日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で、平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを実施しました。

 今年度第1回目は、「競技別NTCのこれまでとこれから」をテーマとし、ナショナルトレーニングセンター競技別強化拠点(競技別NTC)の意義や年間の流れについて理解を深めるとともに、各競技別NTCにおける特徴的な取り組み事例や実施のためのネットワークを共有することにより、競技別NTCの各種事業の円滑な運営と関係諸機関とのネットワーク構築の促進を図り、国際競技力向上につなげることを目的としています。NF、競技別NTC関係者、パラ競技別NTC関係者、など約100名が参加しました。

 開会式では、尾縣貢NTC活用事業部門副部門長から、「リオデジャネイロオリンピックまで残り2カ月となり、4年に一度の大舞台で選手が最高のパフォーマンスを発揮するための重要な要素の一つが選手の強化活動拠点の充実であり、競技別NTCは強化活動現場の中枢である。競技別NTC関係者全員がそれぞれの立場で取り組むべきことを再認識することは、最終的に選手の最高のパフォーマンスへと必ず繋がるため、今回提供する種々の内容がリオ大会での最高の結果、そして今後の国際競技力向上の一助となることを期待します。」と述べられました。

平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
第1部ではスポーツ庁とJOCの対談形式で競技別NTCの概要説明が行われた(写真:フォート・キシモト)
平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
参加者からも活発に質問が交わされた(写真:フォート・キシモト)

■競技別NTCの概要説明

 第1部では、スポーツ庁とJOCの対談形式で競技別NTCの概要説明が行われました。 味の素トレセン設立から競技別NTC指定の経緯や現在の競技別NTC指定数、委託事業(環境整備、情報収集及び発信、購入可能な物品、スタッフへの謝金など)について説明があり、参加者からは、物品の破棄手続きに関しての質問などがありました。

 第2部では、JOC拠点ネットワーク推進事業アシスタントディレクターの小口貴久氏より、JOC拠点ネットワーク推進事業の概要説明がなされました。

 事業目的として、味の素トレセンと競技別NTC間のネットワークを構築すること、さらには、各競技別NTCと近隣トレーニング施設、研究機関、医療機関とのネットワーク構築のための各種支援が説明されました。平成27年度に実施した味の素トレセンと競技別NTCにおける現状に関する満足度調査結果についてのフィードバックもなされ、競技別NTCの特性上、他の競技別NTCや競技団体との連携が希薄になりやすいとの結果が説明されました。

平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
夏季競技の6拠点の担当者から競技別NTCの取り組みが説明された(写真:フォート・キシモト)

■夏季競技の競技別NTCの取り組み

 第3部では、夏季競技の競技別NTCの取り組みとして6拠点の担当者から情報提供がなされました。以下は各担当者による情報内容です。

・ホッケーNTC(岐阜県グリーンスタジアム)管理室 土屋伸二室長
 選手の動きやゲーム展開を俯瞰的に情報収集するために、ビデオ撮影用やぐらを設置。撮影した映像データはゲーム分析ソフトを使用した後に選手やコーチへフィードバックしています。

・ライフル射撃NTC(埼玉県長瀞射撃場)マネジメントスタッフ 津場恭平氏
 同一タイプの弾であっても、ロットが異なることで弾道の安定性に微細な違いが生じることがあるため、ロットテストを行える環境を整備。これにより、パフォーマンスの高低にロットの違いが及ぼす影響を最小限に抑えることができ、改善すべき点を今まで以上に厳密に絞り込むことができるようになりました。

・近代五種NTC(自衛隊体育学校)日本近代五種協会NTC担当 手塚賢二氏
 特性上、各種目に応じて必要なパフォーマンス分析機器が大きく異なるため、水泳では映像分析、コンバインドでは心拍数計測、馬術ではウェアラブルカメラによる目線計測、フェンシングでは競技分析および映像閲覧を実施。5年程かけてこの環境を整えた一方で、各種科学サポートを行う人材の確保が課題となっています。

・馬術NTC(御殿場市馬術・スポーツセンター) 鈴木俊次課長
 騎乗者の動作分析として、手綱の張力測定を実施。張力センサーを手綱に設置し、選手の主観的な感覚を客観的に示すことに取り組んでいます。これは、これまでの馬術競技の世界でほとんど行われていなかった取り組みであり、現在はまだ試験的に実施している段階ですが、是非とも競技力向上につなげていきたい。

・ボートNTC(戸田公園漕艇場及び国立戸田艇庫)専任ディレクター 長内暢春氏
 トレーニング講習会を定期的に開催し、ナショナルレベルのトレーニング処方を拡大することと、選手個々が所属先に帰っても継続して質の高いトレーニングを実施できるようにする。定期的に開催することによって、選手のトレーニング効果を明確に評価することができるようになった。

・パラ自転車NTC(日本サイクルスポーツセンター)競技振興課長 野田尚宏氏
 パラリンピック選手に対するサポートとして、義肢装具士(メカニック)を配置。義手・義足の調整をミリ単位で行うとともに、データに基づいた品質改良、さらにはトレーニング中のトラブル対応(環境づくりなど)を行っています。一方で、義肢装具は高価であるため、パフォーマンス向上に必要な装具の開発費をいかに捻出していくかが今後の課題です。

平成28年度第1回競技別NTC合同ミーティングを開催
冬季競技の担当者からも競技別NTCの情報が共有された(写真:フォート・キシモト)

■冬季競技の競技別NTCの取り組み

 第4部では、冬季競技の競技別NTC、および高地トレーニングNTCの特徴的な取組みとして、5拠点の担当者から情報提供がありました。以下は各担当者による情報内容です。

・カーリングNTC(軽井沢アイスパーク)NPO法人スポーツコミュニティー軽井沢クラブ作業スタッフ 小泉聡氏
 ストーンを投げた際のフォームを後ろ、横、正面、氷上の4つのカメラで同時に撮影し、即座に1つの画面内に合成してその場でフィードバックするシステムを導入。ストーンを持つ手の動きや姿勢、後ろ脚の位置など多角的なチェックを行うため、4画面表示にこだわっています。以前より、映像フィードバックシステムを構築したいとの考えがあり、約2年の歳月をかけてこのシステムを作り上げました。

・ボブスレー・リュージュNTC(長野市ボブスレー・リュージュパーク)医科学情報スタッフ 小林大祐氏
 コース上に置かれた監視カメラで撮影した映像を、滑走後すぐにスタートハウスにて確認できるシステムを構築。拠点として指定されて映像分析サポートが行われた当初から、これまで一貫して同じシステムで稼動しています。

・スキー(ノルディック複合)NTC(白馬ジャンプ競技場及び白馬クロスカントリー競技場) 白馬村スポーツ課 松澤忠明課長
 コーチボックス等から撮影した映像を、ジャンプ後すぐにジャンプ台の下で閲覧できるシステムを構築。撮影エリアと閲覧エリア間で映像がスムーズに転送されるよう有線LANを用いています。今後は、撮影した映像をいかに分析するかが課題です。

・スケート(スピード)NTC(明治北海道十勝オーバル・長野市オリンピック記念アリーナ)(公財)日本スケート連盟 強化部委員・情報科学担当 紅楳英信氏
 映像のフィードバックとともに、映像から算出した滑走軌跡や速度をレース後にフィードバックするシステムを活用。レースでの撮影は様々な規制の中で行われることが多いため、テレビ局のIDを取得しての撮影や、テレビ局の撮影した映像を有効活用する等の工夫を行っています。

・高地トレNTC(蔵王坊平高地トレーニングエリア)医科学ディレクター 伊藤穣氏
 高地トレーニングに訪れる選手に対して、医科学サポートパッケージを提供。合宿中のサポートだけでなく、合宿前約1カ月に渡り、血液検査や体力測定、食事メニューの調整等を行い、良好なコンディションで合宿に入ることができるようサポートしています。これらの事前検査等の全てに高地トレNTCスタッフが対応することは難しいので、各選手の地元のドクター等に対応してもらっています。

※この活動はスポーツ振興くじの助成金を受けて実施されています。

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