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2026.02.11 Special Interview

【ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピック 特別インタビュー】氷上の熱気は変わらない。5大会を戦い抜いたレジェンドが語る、今大会のTEAM JAPANへの期待(長野1998冬季大会 スピードスケート 銅メダリスト・岡崎朋美)

岡崎 朋美(スピードスケート・北海道出身)

スピードスケート短距離の第一人者として、冬季オリンピック5大会連続出場、そして長野1998冬季大会の女子500mで日本女子短距離史上初となる銅メダルを獲得した岡崎朋美さんに、ご自身のオリンピックの思い出、そしてミラノ・コルティナ2026冬季大会の見どころを聞いた。

観客との「一体感」がパワーに。長野1998冬季大会で感じた、自国開催ならではの熱狂

――冬季オリンピックに5大会連続出場されていますが、特に思い出深い大会はありますか。

 やはり唯一メダルを獲得した長野1998冬季大会です。自国開催ということもあり、様々な部分でたくさんの力をいただき、いつも以上にパワーがみなぎったオリンピックでした。応援してくださった皆さんと一体になれたと感じることができ、この長野1998冬季大会でのレースが一番の思い出として残っています。

――自国開催と他国開催の大きな違いは何でしょうか。

 やはり時差がないことです。小さい子どもからお年寄りまで同じ時間帯を共有できることが一番かなと思います。当時は、外に出たら応援してくれる日本の方がたくさんいて、テレビでもすごく応援してくれていたのを覚えています。今大会は時差があり、日本時間の夜中に競技が行われるため、リアルタイムで応援することが難しいと思います。長野1998冬季大会の時は、応援が直に耳に入ってきたため、自分一人ではないなと感じることができ、応援に後押しされながら日本を盛り上げたいという一心で滑りました。張り詰めた空気の中スタートし、そのスタートと同時に応援のウェーブが始まります。私はそのウェーブを追いかけるかのように、観客の皆さんと一体となって滑っていました。このような経験は長野1998冬季大会でしかなく、自国開催ならではの特徴だと思います。

――特にスタートする瞬間は集中されていると思いますが、そんな中でも応援の声を身近に感じることができていたのですね。

 そうですね。応援も日本語が多かったので、すぐ耳に入りますし、小さな子どもが自分の名前を一生懸命呼んでくれ、心に熱いものを感じました。

――リレハンメル1994冬季大会からバンクーバー2010冬季大会まで出場されましたが、今のオリンピックと出場した頃のオリンピックでは何か違いはありますか。

 当時はSNSで自分から発信するということはなかったので、今はそういった発信力がすごいと感じます。アスリートたちが発信することによって、スポーツに興味を持ってくれる人が増えていると思うので、いいことだなと思います。またアスリートのグッズもあり、ちょっと羨ましいなと感じることもあります(笑)そして、日本はサポート体制も非常に充実しており、今のアスリートはすごく恵まれていると感じます。データ管理など日々進化しており、これからもたくさんの子どもたちがオリンピックに挑戦して、さらに下の世代に継承していくといういい流れが今はあると思います。

――メダルを取ったアスリートが、一夜にしてフォロワーが10倍になったという話もありますが、メダルを獲得した時にそういった反響はどのような時に感じられていましたか。

 イベントや挨拶に行ったときにたくさんの方から声をかけてもらいました。また、取材などに応じた際にメディアの方から評判が良かったと聞いたことがあります。

――今大会はイタリア開催ですが、現役時代にミラノで食べたかったものはありますか。

 イタリアといえばピザが美味しいので、ピザが食べたいです。現地の方は、大きなピザを1人で食べるので、とても贅沢だなと感じます(笑)

――海外での試合が終わった瞬間に食べたいと思うものは何ですか。

 日本食です。特に北海道出身なので、ジンギスカンが食べたいと思っていました。

――オリンピックが開幕して、アスリートたちはプレッシャーも感じていると思います。オリンピックならではの独特な緊張感の中で、どのように自分を落ち着かせていましたか。

 各アスリート、絶対に緊張はすると思いますが、『良い緊張』というのは絶対に必要だと思います。ドキドキしつつも、常に平常心を保ち、いつもと変わらないルーティーンをすることが大事だと思います。ただ、いつもと同じルーティーンをしてもうまくいかない時はあると思うので、その時は臨機応変に対応する柔軟性も必要だと思います。きっちりやらなきゃと思いすぎて時間が過ぎていくのはもったいないので、次のステップにシフトチェンジをして、やるべきことをしっかりと頭で考えつつ、集中力を切らさないようにスタートしてほしいと思います。

――岡崎さん自身は、どのようなルーティーンをやられていましたか。

 いつも通り取り組むことを心がけていました。その時の体調次第で少し休む時はありますが、基本は全く一緒です。オリンピックだからと言って慌てず、心に余裕を持って準備をしていました。

レジェンドが語る、スピードスケートを「100倍」楽しむ視点

――今大会スピードスケートを初めて見る方もいらっしゃると思います。そんな方々に向けてどういった部分に注目すると良いか教えてください。

 それぞれポイントは異なり、短距離の場合はスタートがポイントとなります。少しでも指が動いたらフライングとみなされるので、スタートの音に対するアスリートの反応を見ていただけるといいと思います。スタートを失敗するとそこから挽回するのがなかなか難しいため、スタートから30mくらいは失敗しないように心がけていると思います。さらにスタートだけでなく、後半のクロスするところでどれくらいの差がついているかにも注目していただきたいです。時速50~60kmの速さでカーブを曲がる際に、アスリートがバンクを作り、耐えながら曲がっていくスピード感や臨場感を楽しんでいただけたらと思います。長距離はラップタイムを電光掲示板で確認しながら見ていただけると、アスリートと一体となって応援することができると思います。

――短距離や中長距離、パシュートといった種目による違いやそれによって生まれる見どころなどはありますか。

 今はチームパシュートというのが、皆さんの耳にも残っていると思いますが、この3人の隊列は世界一だと思います。ただ少しでも乱れると空気抵抗が大きくなってしまうので、しっかりと最後まで隊列を崩さずに滑り切れるかが重要になってきます。さらに1500mはスプリント能力と持久力の両方が必要であり、中でも一番体力的にきつい種目だと思います。そのため、最後の1周でどれだけ力を出し切れるかが見どころになってくると思います。

旗手から旗手へ。熾烈な争いを勝ち抜いた誇りを胸に、ミラノ・コルティナを駆ける後輩たちへのメッセージ

――バンクーバー2010冬季大会で旗手を務めていましたが、どのような気持ちで務めていましたか。

 日本の代表として、どこの国にも負けないように旗を振り、力強い姿勢で自分を大きく見せるように心がけていました。

――今大会の旗手はスピードスケートの森重航選手が務めましたが、森重選手に競技面で注目・期待するポイントはどこでしょうか。

 以前メダルを獲得していますが、それから4年間で悔しい思いもして、いろいろな経験を積んできているので、前回大会より気持ちの強さが増し、自信に満ち溢れているように見えます。そして今回旗手を務めたことにより、それもまた自分の力に変えてくれていると思うので、今大会とても期待しています。

――髙木美帆選手が4大会目のオリンピックに出場します。髙木選手の見どころや注目ポイントを教えて下さい。

 今シーズンの前半戦は、自分の思い描くスケーティングができず、ブレードを変えるなど試行錯誤をしていたようですが、ここにきてしっかりと修正し安定してきたように感じます。これだけの修正力はさすがだなと思います。ここまで辿り着くのに様々な逆境を乗り越えてきているので、果敢に攻める様子や上体がぶれていないかに注目しながら声援を送っていただけるといいなと思います。またゴールした後の表情も見どころかなと思います。1つ1つの種目をしっかりと自分のスケーティングができれば、おのずと結果がついてくると思うので、本人が納得のいくレースをしてもらいたいです。

――スピードスケート以外に注目している競技があれば教えて下さい。

 日本カーリング協会の理事を務めているので、特にカーリングはメダルを獲得してほしい気持ちが強いです。前回大会まで、ロコソラーレが連続でメダルを獲得しているので、いい流れを止めずに、フォルティウスならではの味を出しつつ、メダルに向かってほしいなと思います。

――カーリング競技について教えてください。

 簡単そうに見えて、手元で少しでも狂ってしまうとうまくいかない難しさがあります。スイープの仕方が変更されるといったこともあったため、ミスがないように国際ルールを見直して、修正していく必要があると思います。

――最後にスピードスケート競技含め、TEAM JAPANの後輩たちへメッセージをお願いします!。

 これまでの選考会で熾烈な争いをして、この舞台に立っていると思うので、やるべきことはしっかりと頭に入っていると思います。あとはそのパフォーマンスをどれだけこの大舞台で出せるかだと思います。緊張やプレッシャーもあると思いますが、リラックスして楽しんで、思う存分に戦ってきてほしいなと思います。頑張って下さい!

■プロフィール

岡崎 朋美(おかざき・ともみ)
 1971年生まれ、北海道出身。スピードスケート短距離の第一人者として、1994年リレハンメルから2010年バンクーバーまで冬季オリンピック5大会連続出場。1998年長野大会では女子500mで日本女子短距離史上初となる銅メダルを獲得。2010年バンクーバー大会では日本選手団の旗手も務めた。現在は後進の育成やスケート普及活動、日本カーリング協会理事など多方面で活躍中。

注記載
※本インタビューは2026年2月8日に行われたものです。

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