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2005.11.25 お知らせ

スポーツと環境について学ぶ「第2回スポーツと環境担当者会議」を開催

平成17年11月25日(金)、日本オリンピック委員会(JOC)主催による「第2回スポーツと環境担当者会議」が開催された。
昨年スタートしたこの会議は、1年に1回のペースで継続開催される予定で、今年は昨年同様90名のJOCパートナーや加盟競技団体の担当者が出席した。
JOCにスポーツ環境専門委員会が設置されたのは平成13年。競技会場ではゴミの分別回収や、「この星にスポーツを」のポスターや緑の横断幕を目にすることが増えてきているのではないだろうか。JOCでは競技会で使用するこれらの環境ツールの貸し出しを行なっているが、貸し出し回数が年々増加していることから啓発活動が定着しつつあることがうかがわれる。
会議の冒頭で水野正人環境専門委員長は、かけがえのない地球が人間の手によって受けているダメージを、地球温暖化やオゾン層破壊、酸性雨などに分類して紹介。持続可能な開発(sustainable development)とは、資源の節約をして地球のための環境維持と人間の生活のための開発に折合いをつけること、と説明し、ゴミを徹底的に分別することで達成されるゼロ・エミッションを「混ぜればゴミ、分ければ資源」という言葉とともに紹介した。
国際的なスポーツと環境の関わりとしては、1990年代に当時のサマランチIOC会長が「環境」をオリンピックムーブメントに取り入れることを決定したことに始まり、それ以降アジェンダ21(1999年リオデジャネイロ)、長野宣言(2001年)、トリノ決議(2003年)、ナイロビ宣言(2005年)をIOCスポーツと環境世界会議で採択してきたこと、オリンピック憲章には2004年9月1日から第1章2条13項に記載されていることを紹介した。
JOCの今後の活動としては、2006年にパートナー都市である長野で「第2回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を開催(時期は未定)するほか、将来的にはオリンピアンのエコ・アンバサダーを育成し、啓発活動を推進するなどの構想もある。

地球温暖化防止に向けた国民運動 - チームマイナス6% -
 
政府が仕掛けた地球温暖化防止対策の1つとして、“夏の軽装”を提案した「クールビズ」が2005年の夏のシーズンに世代を超えて男性ファッションを中心にブームになった。この冬には、例えば普段より1枚多く着て温かさを工夫し、無駄な暖房を控えようという「ウォームビズ」が女性も巻き込んだファッションとなって浸透しつつあることをご存知の方も多いことだろう。これは個人レベルで地球温暖化を身近に考える国民運動だ。
会議に参加した環境省地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室長の土居健太郎氏は、政府が推進する国民運動「チームマイナス6%」が誕生した経緯についてつぎのように述べた。

「地球上の生物が快適に生きられるための温室効果ガスはCO2が0.03%、地球平均気温が15℃といわれています。このままCO2濃度が高くなると、2100年には気温は最大5.8℃、海面は88cm上昇すると予測されています。
大気中のCO2濃度は産業革命(18〜19世紀)以降急激に上昇していて、それは地球の年齢42万年のうちのわずか250年間で30%上昇したということを意味しています。
20世紀の100年間では平均気温が0.6℃上昇し、山岳氷河が大幅後退しています。このままでは2030〜2050年には標高の低いスキー場は経営が成り立たなくなるともいわれています。

1997年に京都で開催された『地球温暖化防止京都会議』において、先進国などが2008〜2012年で温室効果ガスの排出量を1990年のレベルより全体で5%以上削減することを約束しました。この会議で地球温暖化を解決するために世界が協力して作ったものが『京都議定書』です。この議定書での日本の約束はCO2総排出量を6%削減することです。
この京都議定書は2005年2月16日に発効しました。日本は2012年までの8年間で1990年のレベルからさらに6%のCO2を削減しなくてはならないというのに、実際には1990年比2003年のCO2排出量はオフィスビル等で36.1%、家庭で31.4%増加しているという結果となっています。
これは京都議定書の基準年(1990年)のCO2総排出量の12億3700万トンと比較して8.3%増加していますので、日本は実際には約14%削減を実現しないと、京都議定書の約束を達成できないということになります。
そこで国民と企業などが一丸となって京都議定書の目標を達成するための国民運動プロジェクトとして誕生したのが『チームマイナス6%』です。夏のクールビスでは約46万トンのCO2削減に成功しました。暖房にたよらず、着るもので調節しようというウォームビズでは断熱・蓄熱・発熱素材が注目されています。これらの素材はスポーツウエアに多いので、メーカーにはより効果の高い素材の開発を期待しています。
チームマイナス6%は現在企業や団体で4200、個人で15万6000人が参加していますが、個人の参加目標は100万人。今後も地下鉄などの交通機関にも、より積極的に参加してもらうよう働きかけていく予定です」

各競技団体が取り組む環境保全・啓発活動

全日本柔道連盟、日本セーリング連盟、日本山岳協会、日本トライアスロン連合から、競技団体として取り組んでいる活動について発表した。ここでは各発表内容の主旨をご紹介する。(敬称略)

全日本柔道連盟 JOCスポーツ環境専門委員・山口香

<リサイクル柔道着>1990年より発展途上国にリサイクル柔道着を送る活動を行ない、2005年までに131カ国へ31,313着を贈っている。これは、日本の学校の授業などで使用した柔道着で使われていないものを回収し、学生のボランティアでサイズ分けなどの整理をして国際柔道連盟(IJF)に申込みがあった国に贈るというものだが、それに加え、日本の海外青年協力隊やシニアボランティアを通じて、欲しい人に直接渡すという活動も始めている。
<柔道ルネサンス活動>柔道は本来武道だが、競技化するにつれてスポーツに変化してきている。柔道ルネサンス活動は人間性を取り戻し、原点に帰ろうというもので、教育や人づくりキャンペーン活動を行なっている。ここには競技会場のクリーンアップ活動も含まれ、強化選手が率先し、道場が入った時より出る時の方がきれいになるようにすることを常に心掛けている。2001年にはIJFからこの活動に対しフェアプレー賞が贈られた。
<課題と取組>柔道家がリーダーシップを執る意識革命と教育、人と環境に優しい柔道を中央から地方へ、日本から世界へ向けて発信する必要があると思われる。

日本セーリング連盟 広報委員・豊崎謙

<日本一周フラッグリレー>2002年5月から2003年1月まで行なった海の環境イベントで、海に囲まれた日本の港64港が参加し、1枚のフラッグを港から港へリレーでつなぎ、16,000人が参加した。
<環境委員会を設立>オリンピックの競技規則に「海にゴミを捨ててはいけない」という項目があり、今年環境委員会が設置された。連盟ではレース時にマストにつける環境のフラッグや船体用のステッカーを使い啓発活動に努めている。
<環境シンポジウム開催>2005年の日本のビッグイベント、「愛・地球博」を記念して蒲郡で行なわれた国際セーリングシリーズで、7月18日の「海の日」に環境シンポジウムを開催。シンポジウムのテーマは「次世代へ語り継ぎたい自然環境」。普段海に行かない人にも目を向けて欲しいという気持ちを込めて、あえて海ではなく自然環境とし、大自然を舞台に活躍する著名人を招いて行なった。
<ビーチクリーンの励行>海岸のビーチクリーンだけでなく、海上浮遊物の回収も行なっている。
<今後の課題>現在ほとんどの船体の素材として使用されている繊維強化プラスティック(Fiber Reinforced Plastics=FRP)の廃船処理問題、子どもの頃から環境意識を育てるジュニア育成が挙げられる。

スポーツと環境について学ぶ「第2回スポーツと環境担当者会議」を開催
セーリング連盟の環境用フラッグ。ボートのサイズで2種類を用意。

日本山岳協会 自然保護委員長・若月東兒

日本山岳協会には「自然保護委員会」が設置されていて、委員会は現在都道府県の山岳連盟から推薦された15人のメンバーで構成されている。
自然保護委員会では清掃登山などの日常的活動の他、2002年は国際山岳年であったことから、日本でも富士山シンポジウムや山の一斉ゴミ拾いを実施。
<自然保護指導員制度>現在約3,000人の自然保護指導員(任期5年)が活動をしているが、これは昭和50年代に高山植物の盗掘やゴミ放置など、目に余る問題が起きたため、山に常時行く人達で山の自然を守っていこうとして出来た制度。指導員は都道府県連盟からの推薦者で、腕章をつけて登山することで抑止力となっているが、今後は指導員の質をどう向上させていくかが課題。
<登山ブームによるし尿処理問題>平成になってから、百名山の登山ブームが中高年層を中心に起こり、登山者の増加にともなう山の水の汚染、し尿処理問題が深刻化している。山小屋のトイレの改善に努めているが管理や資金など問題は多い。そこで登山者が携帯トイレを持参するように呼び掛けている。山域によっては携帯トイレを登山口で無料配付しているし、スポーツ用品店などで購入することも可能。使用したものは下山時に回収し、燃えるゴミとして処分しているが、まだ回収方法が十分とはいえないので、このルールを確立することが携帯トイレの普及には重要。

スポーツと環境について学ぶ「第2回スポーツと環境担当者会議」を開催
これが携帯トイレ。登山だけでなく、長距離ドライブや防災にも役立つ。

日本トライアスロン連合 環境委員長・和田恵子

<2002年>環境委員会を設立。他の団体と同様、トライアスロンの場合も一番問題なのがゴミ。競技会後の会場はゴミだらけだったため、分別してゴミ回収を行なったが、自治体によっては一括処理される場合もあり、ゴミの持ち帰りの必要性を痛感した。
「水・風・大地との共生…トライアスロン」という環境スローガンを作成。
<2003-2004年>環境委員会の認知度が低いため、認知度を高める運動として、トライアスリートにアンケート調査を実施。
<2005-2006年>ヘドロ退治プロジェクトとして、埼玉スタジアム調整池の浄化に挑戦。
EM菌という善玉菌を使用し、微生物で水質浄化するという方法を5月29日から8月28日までの3カ月実施した。結果としては、水の透明度は開始時よりも終了時の方が透明度が悪くなったが、大腸菌は減少したというものだった。期待した結果にならなかった原因としては実施期間が短すぎ、暑い時期だったということが考えられる。今後は長期間で再挑戦したい。
<子どもたちへの環境教育>
子どもの頃から環境保全の教育を始めることが今後の課題。子どもたちの視点で一緒に取組んで行く方法を考えていきたい。

【個人でできる6つのCO2削減アクション】
1 冷房は28℃、暖房は20℃にしよう。
2 過剰包装を断りエコバッグを使おう。
3 エコ製品を選んで買おう。
4 エコドライブをしよう。
5 蛇口をこまめにしめよう。
6 コンセントをこまめに抜いて待機電力を削減しよう。

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