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「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を札幌で開催

カテゴリ:その他活動
2012.10.31
「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を札幌で開催
北海道札幌市で行われた「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」(アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は10月19日、JOCパートナー都市で多くの国際競技大会を開催している北海道札幌市との共催で、「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を札幌市教育文化会館で開催しました。スポーツ界における地球環境保全の必要性について考え、その活動をどのように実践に移していくかを学ぶことを目的に、当日は北海道地区のスポーツ関係者らが参加し、大変意義のあるセミナーとなりました。

 はじめに、JOCを代表して北海道出身の橋本聖子理事があいさつを行い、「札幌では40年前に冬季オリンピックを開催されました。また、2017年には札幌市と帯広市の共同開催として、冬季アジア大会を受け入れていただいています。昨今、大変な地球温暖化に関して、冬季スポーツというのは危機的な状況を迎えているのではないかと危惧をしております。今日はオリンピアンのみなさまから、これからのスポーツと環境があるべき姿のお話をしてもらいます。環境にスポーツが今、何ができるかということを考えていくいい機会にできればと思っております」と話しました。

 続いて、札幌市を代表して生島典明副市長が「札幌市はJOCとパートナー都市協定を結んで、オリンピック・ムーブメントの推進、競技力の向上、何よりも地域のスポーツ振興をJOCと協力をしながら進めています。札幌は四季の変化がくっきりしていて、192万人という大都市の近くに大きな自然が共存しているというのが魅力です。この環境を子どもたちのために残していかなければいけません。私たちの大切な地球環境の保全に向けて、スポーツの持つ力、みなさまの持つ力によって実現へ、今日がそのスタートになれば大変な喜びであります」とあいさつしました。

■第一部:基調対談「アスリートから見た環境問題」
 第一部の基調対談は、「アスリートから見た環境問題」というテーマで行われ、フィギュアスケートで冬季オリンピックに2回出場し、現在はJOCスポーツ環境専門部会部会員、国際スケート連盟理事を務める平松純子さん、バレーボールでオリンピック3大会に出場し、現在はJOCのスポーツ環境アンバサダーを務める大林素子さん、バルセロナオリンピック競泳金メダリストの岩崎恭子さん、スノーボードでトリノオリンピックに出場した鶴岡剣太郎さんという4人のオリンピアンと、IOCスポーツ環境委員会委員を務める水野正人JOC副会長がコーディネーターとして参加しました。
 
 冒頭、水野副会長から4人のオリンピアンの紹介、そしてIOCとJOCが環境活動に取り組むようになった経緯や現在行われている主な活動、さらに今年のロンドンオリンピックで行われた環境への取り組みについて写真などを交えて報告がありました。
 
 続いて、平松さんが自らの体験を振り返りながら、スケート競技は氷なしではできない競技という点に触れて、「できるだけ省エネでリンクを作れないかという問題があります。来年、私の地元・神戸にリンクができるのですが、そこは建物の屋根に太陽光発電設備を作り、その電気を売って、コストを下げていくということを考えています。よくフィギュアスケートの試合中などに登場する氷を掃除するマシーンがあるのですが、それもガソリンではなく電気やプロパンガスで動くようにしたりと、私たちもできるかぎり、効率よく実施できるようにがんばっています」と語りました。

 大林さんは屋外で行うビーチバレーについて、「選手の切実な問題として、浜辺などが温暖化で水位が上昇して、あと100年後にはプレーできる浜辺がなくなってしまうのではないかと言われています。さらに紫外線の問題もあります。女子選手が着用するビキニはルールで大きさが決まっていますが、普段の練習時には(紫外線から肌を守るために)長袖を着て練習しています。(オゾン層の破壊が進んでいる)オーストラリアはビーチバレー大国なのですが、選手は『地元の海岸では練習したくない』と言って、いろんなところに転戦するという大きな問題が起きています」と紹介しました。

 岩崎さんは「初めて、海外遠征に行った時に水道の水って飲んじゃいけないのだということを知って、日本は本当に恵まれているのだと知りました」と自らの体験を語り、マイ箸や競技プログラムのインターネット上での公開による紙の削減、ゴミの分別の徹底といった日本水泳連盟の取り組みを紹介しました。「最初は『どうしてそこまで?』という意識の人もいたのですが、当たり前になれば当たり前になるという環境ができているのではないかと思います。その影響もあり、日本水泳連盟は2011年にIOCから『スポーツと環境賞』という賞をいただきました」と話しました。

 スキー、スノーボード選手として海外へ合宿や試合に行くことも多い鶴岡さんは、18歳の夏にスキーの合宿で訪れたフランスの氷河地帯がその10年後、ほぼ同じ季節に再び訪れた時には、スキーができる状況ではなくなっていたという具体的な温暖化のエピソードと、一緒に生活をすることが多かったフランス人選手の環境への高い意識を紹介し、「その人は日本人が暗すぎると感じるほど、電気を消していました。われわれが今、住んでいる明るさは、そのフランス人からすれば『そんなに必要ないでしょ』と思うくらいなのでしょう」と海外の人たちの環境への意識の高さについて紹介しました。


「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を札幌で開催
札幌市の取り組みを紹介した札幌市環境局環境都市推進部の高木浩さん(アフロスポーツ)

■第二部:プレゼンテーション「スポーツを通した環境保全の啓発・実践活動」
「スポーツを通した環境保全の啓発・実践活動」というテーマで行われたプレゼンテーションでは、開催地の北海道で行われているスポーツと環境の取り組みについて、報告が行われました。

 まず、札幌市環境局環境都市推進部の高木浩環境計画課長が札幌市環境局と教育委員会が合同で行っている「かんきょうみらいカップ」という取り組みについて紹介しました。これはスポーツと環境について組み合わせたイベントとなっていて、自主的に子どもたちが環境について気づき、自発的な行動を喚起することを目的としていることが紹介されました。
 このイベントは地域の小学生が参加し、サッカー、環境クイズ、クイズリレーの3つでポイントを競うイベントとなっていて、成績優秀のチームはJリーグ・コンサドーレ札幌の試合会場で試合開催当日に行われるイベントに参加できるものとなっています。
 
 このイベントは単にサッカーが強いだけでは上位に進むことはできず「北海道の電力消費の中でもっとも多いものは?」などといった身近な話題などから作成した環境クイズに答えなければならないため、おのずと環境によい取り組みがどのような取り組みなのかを学ぶことができるものとなっています。また、環境に関する意識を高めるために、参加する子どもたちに普段取り組んでいる、あるいはこれからやってみたい環境活動に関する「環境体験活動カード」の提出というものを行っています。このカードを提出してもらうことで、コンサドーレ札幌の試合の観戦チケットがもらえます。
 これらのイベントは地元の企業などの協力で開催されています。年々、参加希望者も増加していて、今年は参加者を抽選で選んだとのことです。子どもたちの参加の動機はJリーグのグラウンドでプレーできるということが多かったものの、このイベントをきっかけに環境について知ることができたというアンケート結果が寄せられたそうです。


「第8回JOCスポーツと環境・地域セミナー」を札幌で開催
地元スポーツチームの取り組みを紹介した北海道日本ハムファイターズの三好健二さん(アフロスポーツ)

 続いて、北海道を本拠地とするプロ野球チーム・北海道日本ハムファイターズの取り組みについて、球団の管理本部総務人事グループの三好健二グループ長から報告がありました。
 2004年に東京から北海道にフランチャイズを移転した同球団は、職員だけでなく、監督・コーチ・選手にも徹底している企業理念の社会貢献の一環として、環境活動に取り組んでいることが紹介されました。
 環境活動として、スポーツ環境、生活環境、自然環境を守る活動を行っていて、なかでも北海道の自然環境を守る具体的な活動として身近なところでは、試合に来場した人へ「エコロジーポット」という紙でできた鉢とハーブの種を配布し、自然への意識を高めたり、レジ袋の削減を目指した「マイお買い物袋」の配布などの取り組みが紹介されました。

 また大きな活動としては、台風によって倒木被害を受けた支笏湖周辺の土地、約18.5ヘクタールを球団が借り受けて、2008年から毎年春と秋に100名ほどが参加する植樹イベントを行い、現在までに1万8500本の苗木を植え、現在はそれの維持管理に務めているとの報告がありました。そのイベントの際には「森の教室」として子どもたちに自然教室を行い、木製バットの原料となるアオダモの木を見せて「これが木製バットの主な材料である」ということを教えると、子どもたちは目を輝かせていたそうです。
 
 さらに今年からは地元のNPO法人と協力して、少年野球チームが練習をするグラウンドや本拠地・札幌ドーム周辺でもゴミ拾い活動を行い、それらの活動をまとめて札幌ドームや、選手のロッカーでも紹介したところ、選手にも好評だったとのことです。そのほか、新しい試みとして、古くなったユニフォームなどを再利用して製作したエコユニフォームを着用した試合を今季3試合行いました。
 これらの活動は、球団、ファン、選手が三位一体となって行っているもので、単純に野球の成功だけを選手に求めるのではなく、ファンへの感謝、社会貢献という意識も持ち合わせている強い存在感を持つ人間が球団の求める選手像であるとも紹介されました。

 最後に、水野副会長が2020年東京オリンピック・パラリンピック招致のPR映像を交えてあいさつし、「私たち日本オリンピック委員会はスポーツの力を信じています。私たちは日本に元気をということで、来年9月7日のブエノスアイレスでのオリンピック開催地の招致決定に向けてがんばっています。そのなかでも環境を大切にする活動を続けていければと思っております」とあいさつし、セミナーは終了しました。





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