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1チーム5人ずつで、パス、ドリブルなどでボールをつなぎ、相手コートのリングに投げ入れる競技。男子では平均身長が2mに迫る体格の良い選手たちが10人、屋内28m×15mのコートの中で、まるで火花が散るようにスピーディーな接近戦を繰り広げ、また不可能とも思える体勢からここしかないと思うポイントに打つ針の穴を通すようなショット。相手を翻弄するようなトリックプレーがゴールに結びつくシーンは痛快そのものです。
1891年に、アメリカ・マサチューセッツ州の国際YMCAトレーニングスクールに在籍していたカナダ出身のジェームズ・ネイスミス博士が考案し、体育の授業に取り入れたことから広がったバスケットボール。オリンピックでは、1904年セントルイス大会でデモンストレーション競技として実施され、1936年ベルリン大会より正式競技となっています。
アマチュア規定撤廃後の1992年バルセロナ大会では、NBAのスター選手たちが集結した「ドリームチーム」と呼ばれるアメリカ代表が格の違いを見せつけて金メダルを獲得し、大会に大きな華を添えました。以来、アメリカ代表チームは歴代NBAの花形選手を集め世界中のスポーツファンの注目の的になっています。
なお、女子種目は1976年モントリオール大会からオリンピック正式種目となりました。また東京2020大会では、新たに1チーム3人同士で得点を競う「3×3(スリー・エックス・スリー)」が正式種目に採用され、5人制、3人制、それぞれ男女合わせて4種目が実施されます。
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5人制バスケットボールの攻防は全員攻撃・全員守備。プロスポーツとして発展してきただけあって、観客を楽しませるためのルールが多く存在します。ボールの扱いや接触プレーには細かく反則が設けられており、反則を避けながらオフェンス(攻撃)側はいかに相手ディフェンス(守備)をかいくぐって相手ゴールにたどりつくか、またディフェンス側はいかに相手の攻撃にプレッシャーをかけてオフェンスからボールを奪い取ったり、シュートミスを誘って自分たちの攻撃に転じるか、という攻防が展開されます。オフェンスになったチームは一定時間以内にショットを放たなければならないというルールも試合をスピーディーで魅力的なものとしています。
ポイント数は、ショットのやり方によって違います。3ポイントラインよりも外側からショットすれば3ポイント、それよりも内側からショットすれば2ポイント、反則などで一度プレーが切られ、ディフェンスのない状態で決められた場所からショットする「フリースロー」は1投1ポイント。4クォーター、合計40分間で2桁、3桁まで得点が争われますが、接戦の終盤にはショットの一本一本が、打つ手の指が震えるほどプレッシャーのかかるものとなります。特にそれが見えやすいのは、ショットを打つ選手以外の動きがないフリースローの場面。ショットが得意とされている選手がプレッシャーからショットミスをしたり、逆にひとつのショットをきっかけに勢いづいた選手が神がかったように連続ポイントをしたりと、アスリートの精神状態が手に取るように伝わってきます。
攻撃のカギを握るポジションのひとつは、技術と俊敏性と戦術眼を高レベルで必要とされる「ポイントガード」。チームの強さはポイントガードの質によって左右されるといっても過言ではありません。このポイントガードの選手に注目してみると、いかに広い視野で戦況を見極め、コートの至るところに顔を出し、指示を飛ばし、攻守の切り替えや鋭いアシストなどでゲームメイクしているかがわかるはずです。
東京2020大会からの新種目3×3バスケットボールは主にストリートシーンで発展してきたスポーツ。バスケットボールの歴史のなかでは新しい形式ですが、全世界での競技人口はすでに40万人を超え、世界大会には180以上の国と地域が参加する人気スポーツです。通常のバスケットボールコート(縦28m×横15m)の約半分(縦11m×横15m)を使用し、3人で試合に臨みます。コイントスで攻撃側・守備側を決め、ゲーム開始。10分一本勝負で、通常のバスケットボールの3ポイントラインが2ポイントラインとなり、その外側からであれば2点、内側が1点(フリースローも1点)となります。どちらかのチームが21点先取した場合はその時点でゲームが終了。5人制よりもさらにスピーディーな攻防が繰り広げられるため、スリリングで目の離せない観戦体験になります。また、試合中でもMCや音楽など、エンターテイメントでゲームを盛り上げるのが大きな特徴です。
※東京2020大会組織委員会 公式サイトより