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2020.11.05 選手強化

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
尾縣貢JOC選手強化本部長
東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
福井烈JOC専務理事(上)、村尾崇スポーツ庁競技スポーツ課長

 日本オリンピック委員会(JOC)は10月23日、「令和2年度JOCコーチ会議」をオンラインで開催しました。JOCの役員、選手強化本部をはじめ各専門部会の部門員や、ナショナルコーチ・専任コーチ等、国内競技団体(NF)の関係者ら、選手強化に関わる約300名が参加。新型コロナウイルス感染症に関する情報や、東京2020大会と北京2022大会に関する最新情報の共有のほか、コロナ禍での国内大会の開催・国際大会への派遣に関するNF事例の紹介、スポーツ・インテグリティに関する情報共有などが行われました。

 プログラムの実施に先立ち、オープニングセッションとして尾縣貢JOC選手強化本部長が今年度のコーチ会議の主旨、概要を説明。「私たちに今何が求められているか、そして、アスリートのために私たちは何ができるかということを考える機会にしたい。今後の強化活動や準備に役立つ、そうした機会にしていただければと思います」と述べました。

 続いて、福井烈JOC専務理事が「東京2020大会まで273日、その半年後には北京2022が迫っています。JOCは今後も関係各所と連携し、適切な情報をスピード感をもってお届けします。JOCとNFの皆さんが連携し、日本代表選手団一丸となってこの難局に立ち向かい、我々ができる最高の準備をして、自国開催のオリンピック、そしてつづく北京冬季オリンピックに臨みたいと思います」と挨拶。また、スポーツ庁を代表して村尾崇競技スポーツ課長が「来年度は夏冬のオリンピックが行われる稀に見る1年となります。スポーツ庁としても、各NFが十分な強化活動が可能となるように、できる限り支援してまいりたいと思います」と挨拶されました。

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
新型コロナウイルス感染症の影響に関するアスリート調査結果に関する報告が行われた
東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
アスリートのストレスに関する調査結果についても各情報が共有された

■新型コロナウイルス感染症の影響に関するアスリート調査結果について

 今年度の最初のプログラムは、JOC情報・医・科学専門部会 情報・科学サポート部門より「新型コロナウイルス感染症の影響に関するアスリート調査結果について」の発表が行われました。

 同部門では今年8月に全オリンピック強化指定選手を対象に、新型コロナウイルス感染症が選手にあたえている影響についてアンケート調査を実施。集計結果や、そこから得られた傾向などを杉田正明JOC情報・科学サポート部門長、土屋裕睦部門員が速報として報告。今回の調査から明らかになったこととして、練習への制限・影響については緊急事態宣言解除後も約40%強の選手が中等度以上の制限を感じており、回答者の半数近くが「コミュニケーション不足」を感じている一方、約70%近くの選手が様々な工夫をしながらトレーニングを続けていることなどを解説しました。
 また、この環境下においては、大会延期や活動自粛はアスリートにとって大きなストレスになっているものの、その悪影響が緩和でき、メンタルヘルスが維持されていることが分かったと報告しました。
 最後に、まとめとして「今後もJOC情報・科学サポート部門として、引き続き情報・科学面からのアスリート支援のための取り組みを充実させていく予定です」と述べました。

 続いて、JOC事務局より「新型コロナウイルス感染症に関する情報提供」が行われました。ここでは、JOC、日本パラリンピック委員会(JPC)を通じて今年10月9日付でNFに通知された「オリパラに向けた日本人選手及び選手関係者における『帰国後14日間待機』に対する条件付き緩和について」に関する詳細な説明が行われました。

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
東京2020大会に関する最新情報を提供
東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
北京2022大会に関する最新情報提供も同時に行われた

■東京2020大会、北京2022大会に関する最新情報提供

 次に夏季競技、冬季競技に分かれて、各組織委員会からの情報をもとに、分科会形式で行われました。

「東京2020大会に関する最新情報提供」では、大会延期後の簡素化、新型コロナウイルス対策検討の状況と、大会組織委員会が各国・地域の国内オリンピック委員会(NOC)向けに10月12日に実施した東京2020団長Webinerから、主に選手団・NFに関する部分を抜粋して報告。選手村、開・閉会式などのセレモニー、輸送、宿泊施設、スポーツエントリーなど、東京2020大会延期前と延期後の変更点や日本代表選手団に影響するルールなどが説明されました。

 一方、「北京2022大会に関する最新情報提供」では、10月14日に大会組織委員会が実施したJOC北京2022対策プロジェクト向けのプレゼンテーションから抜粋して報告。競技関係、競技会場、選手村、渡航・輸送関係、医療関係の5項目に分けて、それぞれ実施競技・種目、出場選手数、日程、テストイベント、各競技会場や選手村の施設、それぞれの交通手段、また、新型コロナウイルス対策などについて、現時点で想定する範囲での大会準備の情報が共有されました。

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
日本陸上競技連盟の吉澤永一事業課長が陸上の国内大会に関する事例を紹介
東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
国際大会への派遣については日本テニス協会の土橋登志久強化本部長が事例を報告した

■国内大会の開催、国際大会への派遣に関する事例

 次に、「国内大会における大会開催~セイコーゴールデングランプリ、日本選手権の事例~」と題し、日本陸上競技連盟が報告。同連盟では緊急事態宣言解除後の活動再開、大会開催に際してガイダンスを策定し、「最大限の感染防止策」と「クラスターを発生させない」という目標のもと実施した、新型コロナウイルス感染予防対策マニュアルの作成、体調管理チェックシートや体温記録活用アプリを導入した水際対策などの取り組みを紹介しました。
 一方で、大会開催にあたっては何よりも地域住民の理解を得ることが重要と述べ、説明にあたった日本陸上競技連盟の吉澤永一事業課長は「大会を開催できている競技が感染拡大防止に十分配慮することで、スポーツが安全に実施できていることを世の中に伝えていくことが、これから本格的にスタートする競技にもプラスになるのではないかと思います。陸上だけでなく、これから皆さんで力を合わせて、スポーツが安全に実施できていることの積み重ねをしていきたいと思っています」とまとめました。

 続いて、「国際大会への派遣~全米オープン、全仏オープンの事例~」と題し、日本テニス協会が報告。実際に大会会場、宿泊ホテルなど現地で撮影された写真なども合わせて紹介しながら、両大会で実施された感染対策について、同協会の土橋登志久強化本部長が説明しました。総括として、全米オープン、全仏オープンともにガイドラインはしっかりしていたものの全米オープンの方がより徹底されていたこと、また、日本人と外国人の間に感染防止への意識の差があったこと、外出が制限されホテルで過ごす時間が多くなるため、リラックスするための持ち物や日本食などの補食を準備すると良いことなどが述べられました。
 一方、2021年1月開催予定の全豪オープンの翌週に、日本で女子の国別対抗戦が開催される予定であることから、土橋強化本部長は「もし全豪オープンの日程後半まで日本人選手が勝ち残った場合、現在の緩和措置では対応できない」と課題を挙げました。

■スポーツ・インテグリティに関する情報共有

 次に、JOCインテグリティ教育事業より「スポーツ・インテグリティに関する情報共有」が行われました。不祥事が続くスポーツ界が社会からの信頼性を確保するための取り組みとして、上田大介JOC選手強化本部インテグリティ教育ディレクターは「機会、動機、正当化を揃えない」「予兆、前兆、兆候を見逃さない」「学ぶことをやめない」という3つのポイントを紹介。「これら3つを総点検して、スポーツの価値を取り戻す行動をぜひお願いしたいと思います。スポーツには見る人、する人、支える人がいます。する人である我々は、見る人へ勇気と希望を届けましょう。支えてくれる人へ感謝の気持ちを伝えましょう。そして、若い力、アイデアを生かした取り組みを1つでも実施していただければと思います。スポーツには世界と未来を変える力がある。これを信じて、『人間力なくして競技向上力なし』のスローガンのもと、一体となって取り組んでいきましょう」と呼びかけました。

東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
「令和元年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」を実施
東京2020大会、北京2022大会の成功へ向け「令和2年度JOCコーチ会議」を開催
籾井圭子JOC常務理事が「暴力・体罰」についての報告を行った

■令和元年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式を実施

 次に、「令和元年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」が行われました。星野一朗JOCナショナルトレーニングセンター委員長が令和元年度の修了者36名を紹介した後、修了者を代表して日本バスケットボール協会の恩塚亨さんに尾縣JOC選手強化本部長から修了証が贈られました。
 恩塚さんは感謝の言葉を述べるとともに「今回、この修了証をいただいて、これは私たちにとって先人から受け継いだ大きなバトンだと思っています。過去の自分にとらわれることなく、なりたい自分、託された未来に向かって、精いっぱい努力していくことを誓います」と今後に向けた抱負を語りました。

 続いて、ハイパフォーマンススポーツセンターにおける感染症対策についての説明が行われました。

■「暴力・体罰」についてJOCの取り組み、姿勢を報告

 全てのプログラムが終了し、クロージングセッションではまず籾井圭子JOC常務理事が「暴力・体罰」について報告。国際オリンピック委員会(IOC)と共同で発信したステートメントを含め、暴力とハラスメントの根絶に向けたJOCの取り組みと姿勢を説明するとともに、「皆さんもご自身が指導される場合はもちろんのこと、関係者に対しても機会をとらえて、暴力やハラスメントの根絶に向けた意識を高めていただくよう、ぜひご協力をお願いいたします」と述べました。

 最後に、尾縣JOC選手強化本部長が閉会の挨拶に立ち、「本日共有された情報を参考に、皆さまには『元気なスポーツ』を日本国民に発信していただきたいと思います。それが東京2020大会の開催につながるものと信じております。アスリートたちが不安なく、思う存分に競技ができる、そんな環境をまず私たちが作りましょう」と述べ、関係各所とのさらなる連携を呼びかけました。そして、東京2020大会のビジョンである「スポーツには、世界と未来を変える力がある」を挙げ、「このビジョンの通り、東京2020大会の成功は大きな価値を持ちます。開幕まで残り273日となりましたが、チームジャパンを強固なものにして大会に臨んでいきましょう。そして、夏季競技と冬季競技の連携をしっかりとし、確実にバトンを受け継ぎ、北京2022大会を成功させたいと思います」と締めくくりました。

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