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2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講

カテゴリ:選手強化
2020.09.28
2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
「2020年度JOCナショナルコーチアカデミー開講式」を実施(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は9月14日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「2020年度JOCナショナルコーチアカデミー開講式」を行いました。

 JOCナショナルコーチアカデミーは、オリンピックで活躍できるアスリートを育成・指導するワールドクラスのコーチ及びスタッフの養成を目的に、JOC専任コーチングディレクターや各競技団体の強化スタッフ等を対象に実施。平成29年に策定された「第2期スポーツ基本計画」に明示され、JOCの長期的国際競技力向上計画の一環として位置づけられており、今年度は各競技団体から新たに43名の指導者が正規コースを受講します。


2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
田嶋幸三JOC副会長(写真:フォート・キシモト)
2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
スポーツ庁の村尾崇競技スポーツ課長(写真:フォート・キシモト)

 はじめに、主催者を代表して田嶋幸三JOC副会長が登壇。自身も指導者養成を担ってきた経験を踏まえながら「20年、30年、40年、50年、あるいは100年前から変わらないものがあります。それは指導者の皆さんが本気かどうか。本当にこの選手、チームを向上させようと思っているかどうか、メダルをとらせようと思っているかどうか。これは全く変わりません。もしも、いい加減な気持ちでそれを望んだら、選手はすぐに分かるでしょう」と、指導者としての心得をアドバイスしました。
 一方で、変化しているものとして、暴力・ハラスメントに対する社会の評価やスポーツ科学を挙げると、「情熱はマストです。でも、そこに新しい論理やロジックを重ねて、いかにバランスをとっていくかが重要です。論理だけでは選手はついてこないし、情熱だけでもついてこない。この2つをバランスよく保ち、いかに選手に納得してもらい練習に励んでもらうか。そのことを皆さんにここで学んでいただきたいと思います」と述べました。そして、社会の変化に合わせて、受講者自身も変わるチャンスであり、その変化を意識して受講してほしいと呼びかけました。

 続いて、来賓を代表してスポーツ庁の村尾崇競技スポーツ課長が登壇。新型コロナウイルス禍の中でも、今ある環境でできる選手強化に取り組んでいることに感謝の言葉を述べるとともに、「ぜひこの機会に、他競技のコーチ・スタッフと競技の枠を越えた交流、連携をしていただいて、あるいはコロナ禍であるからこそ、制約を受けた中でのトレーニング方法の共有、情報交換をしていただいて絆を深めていただきますよう、よろしくお願いいたします」と挨拶しました。


2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
前原正浩JOCナショナルコーチアカデミー事業ディレクター(写真:フォート・キシモト)

 次に、前原正浩JOCナショナルコーチアカデミー事業ディレクターが本アカデミーの概要説明を行い、その目的や位置づけ、創設の経緯といった基本的な情報に加え、目指すべき人材像、プログラムの考え方、どのようなカリキュラムが用意されているか、過去の受講者の声など、映像を用いながら紹介しました。

 また、新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの講習を初めて採用することから、「これはナショナルコーチアカデミーにとっても新たな挑戦です」と述べた前原ディレクターは「従来のコーチングと、それにプラスしてオンラインコーチングをどのように活用していくか、このオンライン講習から学んでいってほしい。コロナ禍の研修は初めてですが、開拓していくんだというチャレンジする気持ちで常にポジティブに向き合っていただければありがたいと思います」と呼びかけました。そして最後に、「学ぶことをやめたら教えることをやめなければならない」というサッカーの元フランス代表監督のロジェ・ルメール氏の言葉を紹介して、開講式を締めくくりました。


2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
柔道男子日本代表の井上康生監督(写真:フォート・キシモト)
2020年度JOCナショナルコーチアカデミーが開講
オンラインを併用した方式で開講式、講義が行われた(写真:フォート・キシモト)

■井上康生監督による「コーチング論」

 引き続き、今年度最初のプログラムとして、柔道男子日本代表の井上康生監督による「コーチング論」の講義が行われました。

 井上監督は「強化現場の現状」、「柔道界の取り組み」の2つのテーマに分けて講義を実施。まず「強化現場の現状」においては、東京2020大会の日本代表に内定していた13選手がそのまま内定維持となった経緯、緊急事態宣言以降の全日本柔道連盟や日本代表選手の活動状況、また国内・国際大会の開催に関する見通しなどを説明しました。

 これらのことを踏まえ、「私自身も現場の人間として、ぜひとも東京2020大会が開催されることを信じて日々を送っています。現実的にどのような形になるか分からないと認識していますが、大会があるという前提のもとで我々は一日、一日を動いていかなければいけません。そのように自分自身と選手たちに言い聞かせながら、同じベクトルに向きながら進んでいるところです」と井上監督。一方、この新型コロナウイルス禍で改めて感じたこととして「一つひとつのことを大事に過ごしていくことの大切さ」を挙げ、「世の中において自分が変えられることと変えられないこと、できることとできないことがあると思います。ですから、今我々ができることを一つひとつ大事にクリアしていきながら、一日、一日を過ごしていくこと。それが大切だと思いますし、その先に未来があるという考え方を持たなければいけないと強く思っています」と述べました。

 また、「柔道界の取り組み」においては全日本柔道連盟が実施している「#今もっと強くなれる」プロジェクト、選手がSNSでトレーニングなどを配信する「Stand Up Judo」、令和二年七月豪雨復興支援チャリティーオークション、その他配信中のコンテンツなどを紹介。井上監督は「オリンピックでの成果をどう上げていくかという目線は、スポーツの価値を高めるためにはとても大事な視点だと思います。でも、果たしてそれだけでいいのか。そうではないと私自身は感じております」と話すと、スポーツ界の一層の発展のために社会のニーズに応え、新しいものをどんどん取り入れた取り組みが必要になると強調しました。
 そして、今後のスポーツ界においては各競技団体だけで活動していくのではなく、「競技間を越えた横のつながりが大きな力、総合力になる。ぜひともそういう視点を持ちながらこのナショナルコーチアカデミーを有意義な時間にしていただければと思います」と、受講者にアドバイスを送り、講義を締めくくりました。

 本アカデミーは、(1)オリンピック日本代表選手団の一員としての品性・資質を兼ね備えた真のトップコーチを養成する『エリート(Elite)』、(2)職業観・倫理観・社会的責任において、専門家としての誇りを持つトップコーチを養成する『プロフェッショナル(Professional)』、(3)日本としての戦い方を追求するとともに、「国際基準」を踏まえた戦略、強化指導を行うことができ国際舞台で勝負ができるトップコーチを養成する『グローバル(Global)』、(4)知識や情報の一方通行ではなく、受講者と講師、受講者間の双方向による情報交換を主体とし、また指導現場において選手及び指導者間との双方向を意識できるトップコーチを養成する『インタラクティブ(Interactive)』、(5)競技及びスポーツの枠を超えた交流・連携を通し、日本スポーツ界及び日本社会の発展を目指す『チームニッポン(Team NIPPON)』の5つのコンセプトを掲げており、今年度は同日から11月19日の期間で実施されます。





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