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2018.12.26 その他活動

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催(写真:アフロスポーツ)
「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
齋藤泰雄JOC副会長・国際専門部会長(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は12月13日、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催しました。

 JOC/NF国際フォーラムとは、JOCが推進する国際連携に関する最新情報を各国内競技団体(NF)に提供するとともに、各国際競技団体(IF)において日本に求められる役割を再認識し、2020年以降を見据えた国際スポーツ界における日本の国際力の更なる向上を目指すものです。また、IOC主催の「オリンピズム・イン・アクション」フォーラムの取り組み等をNFへ提供することも目的に行われ、今年度は各NF等から167名が出席し、登壇者の講演、ディスカッションに熱心に耳を傾けました。

 最初に、齋藤泰雄JOC副会長・国際専門部会長が開会の挨拶に立ち、11月26日〜30日に第23回ANOC(国内オリンピック委員会連合)総会が東京で開催されたことを報告するとともに、トーマス・バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長が東京2020大会について「オリンピック開催の1年6カ月前でこれほど準備が進んでいる大会は見たことがない」と話したことを紹介。バッハIOC会長の言葉が「我々にとって大きな励みになりました」と語った齋藤JOC副会長は、本フォーラムで行われるプログラムの主旨を解説するとともに、「本日のフォーラムを通じて、NFの皆さま方がスポーツ界における国際連携を一層推進していくために、本フォーラムを大いに活用していただきたい」と述べました。

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
公益財団法人フォーリン・プレスセンターの赤阪清隆理事長(写真:アフロスポーツ)

■国際機関の日本人幹部と職員を増やすために

 続いて、基調講演「国際機関の日本人幹部と職員を増やす方策」が行われました。公益財団法人フォーリン・プレスセンターの赤阪清隆理事長が講師を務め、経済協力開発機構(OECD)事務次長、国連広報担当事務次長(広報局長)を歴任した自身の経験をもとに、なぜ国際機関に日本人幹部・職員が少ないのか、国際機関に日本人幹部がいることのメリット・いないことのデメリット、国際機関幹部に求められる資質などを説明。これらをスポーツ関連の国際機関にも当てはめ、現在、日本人のIOC委員が竹田恆和JOC会長、渡辺守成国際体操連盟会長の2人であることを「これで満足してはいけません」と強く述べました。そして、国際機関の日本人幹部を増やす方策として、選挙による場合と、長による任命の場合に分けて紹介し、「IOC会長を目指す日本人がいてもいいと思います。日本ではトップを目指す人を育てる文化に欠けているので、ぜひそういう文化をもっと作っていただきたい」と呼びかけた赤阪理事長。最後に、国際機関においては日本人幹部・職員数が少ないながらも、良い点として女性職員の比率が多く、活躍が目立つことを挙げました。

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
平成30年度JOC国際人養成アカデミー修了式(写真:アフロスポーツ)

■JOC国際人養成アカデミーを43名が修了

 次に平成30年度JOC国際人養成アカデミーの修了式が行われました。各NFから推薦を受けてアカデミーを受講し、本年度修了した43名(うち出席者27名)に、齋藤JOC副会長から修了証が贈られました。

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
上田大介JOCインテグリティ教育ディレクター(写真:アフロスポーツ)
「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
高橋睦雄NF総合支援センター室員(写真:アフロスポーツ)

■「インテグリティ」と「ガバナンス」について

 続いて「インテグリティについて」「ガバナンスについて」の2つのテーマに関する講演が行われました。「インテグリティについて」では上田大介JOCインテグリティ教育ディレクターが講師を務め、JOCの教育プログラムやスポーツ界で昨今起こっている問題などを参加者に共有。それらを踏まえ、「アスリートを取り巻く環境は目まぐるしく変化し、その周囲にはリスクがたくさんあります。スポーツ界が生き残るためには、この変化に対応しないといけない」と訴えた上田ディレクターは、今考えるべきこととして「なぜ教育が必要か?」「日本ではどのような教育が必要か?」「スポーツの価値とは?」「誰が何をやるべきか」を挙げると、「競技団体としてどこを目指すのか、競技を通じてどのような世界を作りたいのか、そのビジョンをしっかり作って、一人ひとりが与えられた役割・使命を認識し、それを具体的にかなえるための行動・戦略プランに落とし込んで、実現可能性のあるものを立ち上げていただければと思います」と呼びかけました。

「ガバナンスについて」では、高橋睦雄NF総合支援センター室員が講師を務め、社会的責任を果たせないNFに対して想定されるリスクの種類、法律上における理事・監事・評議員の責任、NFが整備すべきガバナンス7原則、また、営利企業から学ぶ事業の変革などについて説明。これらをもとに、高橋室員は「残念ながら、今のNFの中では中・長期計画を作っているところは少ない。5年後、10年後、自らの団体はどうなればいいのかというビジョン、あるべき姿をぜひとも作ってほしい。中・長期計画は極めて大事」と、上田ディレクター同様に将来のビジョンを具体的にする重要性を述べました。そして、JOC将来構想にある「JOCの使命を達成するための5つの活動」のうち「活動5 自律・自立」を挙げ、「皆さまの組織の社会的責任を果たすために何をするべきか、自覚・認識し、ガバナンス、コンプライアンスの適切で効果的な構築をお願いしたい」とまとめ、この講演を締めくくりました。

「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
「オリンピズム・イン・アクション」に関するパネルディスカッションではアスリート果たす社会的貢献について様々な意見が交わされた(写真:アフロスポーツ)
「平成30年度JOC/NF国際フォーラム」を開催
村津敬介JOC理事・国際専門部会副部会長(写真:アフロスポーツ)

■「オリンピズム・イン・アクション」に関するパネルディスカッション

 本フォーラム最後のプログラムでは、「オリンピズム・イン・アクション」に関するパネルディスカッションが行われました。「オリンピズム・イン・アクション」とは、オリンピズムに則りスポーツを通じてより良い世界を実現するため、スポーツ以外のあらゆる分野の意見を取り入れ、議論を通して革新的な考えを生み出すことを目的とし、今年10月に第3回ユースオリンピック競技大会に合わせてブエノスアイレスで初めて開催されたフォーラムです。
 本プログラムでは、「オリンピズム・イン・アクション」に参加したJOC国際専門部会の荒木田裕子部会員、有森裕子部会員、田中ウルヴェ京部会員、JOCアンチドーピング委員会の土肥美智子委員がパネリストとして参加。モデレーターの竹内浩JOC国際専門部会員による進行のもと、それぞれの立場から「オリンピズム・イン・アクション」で得た知見、考えなどを議論しました。

 まず土肥委員はスポーツ医学の観点から、アンチドーピングを徹底するために「若い時期から選手への教育は必要で、その周囲への教育も非常に大切」と説明。また、田中部会員は「オリンピックの価値における光と影」をテーマとしたグループワークに参加したことを紹介し、NF・NOCが行えることとして「それぞれのNF・NOCによって違う課題を具体化すること、行動を起こすこと、そしてその行動の全てにおいて透明性を出すこと、この3つを大きなまとめとしていた」と報告しました。
 一方、有森部会員は2016年リオデジャネイロオリンピックに出場した難民選手団に関するグループワークに参加。自身もアンコールワット国際ハーフマラソンを通じたチャリティー事業などに携わっている経験から、「スポーツをすることはどういう意味なのか、そして何ができるのかを考えたフォーラムだった。これから私たちオリンピアンも含めて社会的な課題をいっしょに考え影響力を発揮出来るアスリートを作っていくことが大事」と感想を述べると、参加者に向けて「アスリートだけでこうした意識を自分で探すことは難しい。NFの皆さんにはぜひ、そういった意識、社会性をより推奨する指導者を一緒に育成してほしい」と訴えました。

 そして、この3人の報告を聞き、それらについて意見を述べてきた荒木田部会員は、スポーツが社会に貢献できることとして「NFももっと世界に目を向けて、我々ができる支援を行うべき。アスリートを絡めながら何ができるかをもっと考えるべきである」と語り、国際人養成アカデミー修了生たちと国際的なネットワークを今以上に構築していけばさらに社会貢献活動の幅が広がっていくとまとめました。

 全てのプログラム終了後、村津敬介JOC理事・国際専門部会副部会長が閉会の挨拶に立ち、まず平成30年度JOC国際人養成アカデミー修了生へ祝辞を送ると、各NFに向けて「ビジネスの世界だけではなく、スポーツの世界も間違いなく変わってきています。その中でNFも世界の流れ、環境の変化を理解して、思い切ってチャレンジして欲しい」と期待の言葉を述べて、本フォーラムを締めくくりました。

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