MENU ─ ニュース
2023.03.29 選手強化

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
「令和4年度JOCインテグリティ教育事業 第8回基礎研修プログラム」を開催

 日本オリンピック委員会は3月16日、TEAM JAPANシンボルアスリートの阿部一二三選手(柔道)をゲストにお招きし、初めてオリンピック強化指定選手に認定された選手を対象にオンラインで、「令和4年度JOCインテグリティ教育事業 第8回基礎研修プログラム」を開催しました。
 本プログラムは、オリンピック強化指定選手としての資質、インテグリティ(誠実さ、真摯さ、高潔さ)を高め、自らの価値、オリンピックの価値を守る知識と手段、正しい倫理観や道徳心を有するアスリートを育成し、アスリート自らがあるべき姿に気付き、なりたい姿を描き、必要なスキルを求め習得し、自ら行動変容を起こすことを目的に実施します。第8回目のプログラムには、今年度から初めて強化指定選手に選ばれた36名が参加しました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
尾縣貢JOC選手強化本部長からビデオメッセージ

■尾縣貢JOC選手強化本部長からメッセージ

 プログラム実施に先立ち、尾縣貢JOC選手強化本部長から「スポーツは決してアスリートだけでできるものではなく、様々な人の支えの上に存在します。この事実をしっかりと胸に刻み、感謝の気持ちのもと、日本を代表する選手としての行動が求められています。本研修を通じて、改めて自分の人間力と向き合っていただき、日本を代表する選手に求められているものを手に入れていただきたいと思います」と、激励のビデオメッセージが寄せられました。
 続いて、オープニングセッションとして本研修の司会を担当する上田大介JOC選手強化本部インテグリティ教育ディレクターが、研修の目的やインテグリティの意味、日本代表選手団の編成方針など解説。「人間力を向上して社会から信頼されるためには、既に社会から信頼を得ているアスリートの言動から学び、そこからヒントを得て行動に移していくことで達成できると思います」と呼びかけました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
ゲスト出演の阿部一二三選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
集合写真を撮影

■「東京2020大会で絶対に金メダルをとる、と気持ちを切り替えました」

 次に、「Chat with Champions」と題し、TEAM JAPANシンボルアスリートで2020年東京オリンピック金メダリストの阿部一二三選手(柔道)がゲスト出演。
 阿部選手は柔道を始めたきっかけについて「テレビで柔道を見て、直観的に面白そうだな、と思ったことがきっかけで6歳の頃に始めました。小学校低学年の頃に試合で女の子に負けたのが悔しくて、その時に本気で勝ちたいという感情が生まれ、オリンピックを意識し始めました。高校2年生の時に講道館杯で優勝し、夢だったオリンピックが目標に変わりました」と話しました。
 「オリンピックが目標に変わってからはすごいプレッシャーを感じ、自分が納得するパフォーマンスができなかった」とリオデジャネイロオリンピックの選考に漏れた時の心境を話し、「自分の実力・実績が足りなかったと受け止め、東京2020大会で絶対に金メダルをとる、と気持ちを切り替えました。大学に入学して環境が変わり、強い人とたくさん練習できる環境に身を置いたことで自分自身のレベルは上がったと思います。大学時代のコーチと同じ目標に向かって二人三脚で四年間全力で頑張れたことは、自分の競技人生の中で分岐点であり、人生にとっても大事な四年間でした」と大学時代を振り返りました。
 「自分の信念を持って全力で柔道するという思いだったので遊びや誘惑に流されることはありませんでしたが、オンとオフの切り替えを大切にしてきました。競技をしている時は全力で柔道のことを考えていましたが、オフの時はなるべく柔道のことを考えないようにしていました」とオンとオフの時間の使い方について話しました。
 オリンピックに出場した時のことを聞かれると「オリンピック自体はそこまで緊張しませんでした。オリンピック代表決定戦の方がプレッシャーと緊張感が大きかったと思います。その時はオンとオフの切り替えができないほど毎日プレッシャーを感じていましたし、試合では足が竦むほど緊張しました」と話しました。
 「自分の夢であり目標だったオリンピックは何も考えずに“やるしかない”、と思いましたし、もし優勝できなかったとしても自分のやってきたことは間違いじゃなかったと思えるまで練習に励みました。オリンピックが無観客だったことで逆に集中して試合に臨めましたし、それがプラスに働いたかもしれません」と無観客の中で戦ったオリンピックの心情を振り返りました。
  「オリンピックで金メダルをとった後は、オリンピックの知名度と影響力の凄さを実感しました。周りに流されないよう、今までの自分を変えないという気持ちと、柔道あってこその自分だということ、柔道への感謝の気持ちを忘れずに持つようにしています」とオリンピックに出場したことで感じたことを話しました。
 講演の最後にはオリンピックを目指す選手たちに向けて「オリンピックという舞台は自分が出て経験してみないと分からない場所だと思います。皆さんも自分でそれを経験して感じたいという思いでやってもらうとワクワクが止まらないと思いますし、そのワクワクする感情をずっと持っていてほしいな、と思います。僕もパリオリンピックで二連覇を目指して頑張りますので、皆さんも頑張ってください」とメッセージを送りました。

 続いて、アスリートディスカッションと題し、各グループに分かれて、「(1)どんなアスリートになりたいか」「(2)それをどうやって実現するか」「(3)それはなぜか」をテーマに、選手同士のディスカッションを実施しました。

 最後に、クロージングセッションと題し、上田JOCディレクターが社会からの信頼を確保するための行動として、アンチドーピングへの意識向上や、成人年齢の引き下げに伴う注意点を説明。さらに、リスクマネジメントの徹底として「自分の判断基準を持つ」ことの重要さを述べた上で「いつか皆さんがその競技に憧れたように、また皆さんを通じてその競技に憧れを持つ人を生み出していかなければなりません。それがトップアスリートに求められる一つの大きな使命です。その行動は夢を与えられる行動かをしっかりと考えながら判断していただきたいと思います」とアドバイスを送りました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
阿部一二三選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
清水綾乃選手

■研修を終えた感想
 基礎研修プログラムの終了後、阿部一二三選手に本日の感想や研修に参加した選手に向けてのメッセージ、また研修に参加した3名の選手に本日の学びや今後の目標を語っていただきました。

■阿部一二三選手(柔道)
「オリンピックを目指すアスリートに対し、自分のことを喋るという機会はなかなかなかったので、東京2020大会を目指すために頑張っていた時の自分の感情を思い出すことができ、有意義な時間を過ごすことができました。東京2020大会は出場できて嬉しいという感情と共に優勝できてよかった、という安心感がありました。その感情を一番に感じたということは、小さい頃から少なからずプレッシャーがあったのだと思いましたし、独特な空気感の中でのオリンピックは自分にとって一番の大会で、偉大な大会だと感じられました。今後は、選手として強いだけではなく、人間的に成長してたくさんの人に尊敬してもらえるよう、人間力の向上に努めていきたいと思います。パリオリンピック開幕まで500日を切りましたが、自分自身もっと成長してパリオリンピックでの二連覇を目標に、最大の夢であるオリンピック四連覇に少しでも近付けられるよう頑張りたいと思います」

■清水綾乃選手(射撃/ライフル射撃)
「オリンピックと向き合う中で、阿部一二三選手の競技に対する意思の強さや自分の信念の強さを感じました。第一線で活躍する方のお話を聞き、想像以上にいろいろなものと戦っていると感じ、自分自身と戦ったからこそ勝ち得た芯の強さを持っている方だと感じました。自分自身、他のアスリートや競技をしていない人たちから憧れられるアスリートになりたいと思っています。競技に対する取り組みはもちろんですが、私生活においても自分の行動や発言に自覚を持って行動するようにしています。パリオリンピックに向け、目標を実現するだけでなく自分がどのようなアスリートになり、どうありたいかを考え、今までやってきたことに対して後悔がないよう一日一日を過ごしてオリンピックを迎えられればいいなと思います」

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
原田暁選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第8回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:阿部一二三選手)
金戸快選手

■原田暁選手(陸上競技)
「オリンピックチャンピオンである阿部一二三選手の『オリンピックがどういうところと聞かれても、そこに行かないと分からない、立ってみないと分からない』というお話を聞き、自分自身、選手としてオリンピックに参加したいという思いが一層強くなりました。来年度から社会人として、フルタイムで働きながら競技を続けることになるので、限られた時間の中で自分が競技に打ち込める時間を増やせるよう努力をしていきたいと考えています。私は人から応援され、それに応えられるような強い選手になりたいと思います。来年はオリンピックだけではなく、一つでも多くの国際大会、レベルの高く規模の大きい大会に出場できるよう競技力向上と共に、応援されるよう人間力も上げていきたいと思います」

■金戸快選手(水泳/飛込)
「大変貴重なお話が聞けて、とてもいい機会でした。また、グループディスカッションでは異なる競技の選手たちとお話する機会があり、自分がまったく知らなかった競技についてお話を聞くことができたことはとても面白かったですし、他の競技への関心や興味が沸きました。私は飛込競技を好きでやっているので、その好きな競技を極めていきたいと考えています。普段からアスリートとしての自覚を持ちながら、その上で結果を残せるようなアスリートになりたいと思います。今年の4月に福岡で開催される世界水泳の選考会で代表権を勝ち取り、世界水泳に出場してパリオリンピックの内定を勝ち取ることを大きな目標にして取り組んでいきたいと思います」

ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


選手強化 の最新ニュース

    最新ニュース一覧