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2023.02.22 選手強化

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
「令和4年度JOCインテグリティ教育事業 第7回基礎研修プログラム」を開催

 日本オリンピック委員会は2月9日、TEAM JAPANシンボルアスリートの金城梨紗子選手(レスリング)をゲストにお招きし、初めてオリンピック強化指定選手に認定された選手を対象にオンラインで、「令和4年度JOCインテグリティ教育事業 第7回基礎研修プログラム」を開催しました。
 本プログラムは、オリンピック強化指定選手としての資質、インテグリティ(誠実さ、真摯さ、高潔さ)を高め、自らの価値、オリンピックの価値を守る知識と手段、正しい倫理観や道徳心を有するアスリートを育成し、アスリート自らがあるべき姿に気付き、なりたい姿を描き、必要なスキルを求め習得し、自ら行動変容を起こすことを目的に実施します。第7回目のプログラムには、今年度から初めて強化指定選手に選ばれた84名が参加しました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
尾縣貢JOC選手強化本部長からビデオメッセージ

■尾縣貢JOC選手強化本部長からメッセージ

 プログラム実施に先立ち、尾縣貢JOC選手強化本部長から「スポーツは決してアスリートだけでできるものではなく、様々な人の支えの上に存在します。この事実をしっかりと胸に刻み、感謝の気持ちのもと、日本を代表する選手としての行動が求められています。本研修を通じて、改めて自分の人間力と向き合っていただき、日本を代表する選手に求められているものを手に入れていただきたいと思います」と、激励のビデオメッセージが寄せられました。
 続いて、オープニングセッションとして本研修の司会を担当する上田大介JOC選手強化本部インテグリティ教育ディレクターが、研修の目的やインテグリティの意味、日本代表選手団の編成方針など解説。「人間力を向上して社会から信頼されるためには、既に社会から信頼を得ているアスリートの言動から学び、そこからヒントを得て行動に移していくことで達成できると思います」と呼びかけました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
ゲスト出演の金城梨紗子選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
集合写真を撮影

■金城梨紗子選手「オリンピックをきっかけに人生が大きく変わった」

 次に「Chat with Champions」と題し、2016年リオデジャネイロオリンピック金メダリスト、2020年東京オリンピック金メダリストの金城梨紗子選手(レスリング)がゲスト出演。
 レスリングの選手だった両親の影響で小学生の頃から競技を始めたという金城選手は「もともとオリンピック出場を目指してレスリングを始めたわけではなかったけど、2004年に女子レスリングがオリンピックの正式種目になり、テレビで見るようになってから憧れを抱くようになりました」と話し、続けて「高校に進学して吉田沙織さんと同じチームに所属し、間近で世界一の選手を見て、自然といつかはそうなりたいという思いが芽生えてきました」とオリンピックを目指したきっかけを振り返りました。
 学生時代の誘惑にどのように向き合ったのかという質問では「学校帰りに友達と遊びたい時もあったけど、その気持ちをすべて押し殺して練習をしていたわけではなく、遊ぶ時間も作りながらメリハリをつけて練習に励んでいました」と話しました。
 オリンピック代表選手に内定してから開催までの期間の過ごし方については「大きな怪我をしない事を一番に考え、出たくても出れなかった人たちに恥じない結果・成績を出すことを意識して過ごしていました」と話し、日本代表としてオリンピックに出場することの重責を感じていたのかという問いに対しては「初めてオリンピックに出場したリオデジャネイロ大会では先輩方に付いていく立場だったのであまり感じませんでしたが、東京2020大会で連覇を目指す立場になった際は、SNSの投稿含め、周りの目を気にするようになりました」と話しました。
 オリンピックで金メダルを獲得した後は「自分が思ってた以上に見てくれた人が多かったんだな、と感じました。帰国してからはいろいろな人から話しかけられたり、周りの見る目も変わり、オリンピックをきっかけに人生が大きく変わったと思います」と自身を取り巻く環境の変化について振り返りました。
 オリンピックという大舞台で結果を出すための取り組み方や気持ちの持ち方については「意気込んで集中してやるのが向いているアスリートもいると思いますが、私は意気込みすぎずにいつも通りでいることが自分に合っていたので、試合前も周りの人と会話したりしながら、日常の中の一つに試合がある、という感覚で過ごしていました」と話しました。
 選手村での思い出として「TEAM JAPANのサポート体制の設備が素晴らしく、自分のコンディションを整えるための補食なども充実していて安心できる環境でした。その時は日本で良かったな、と思いましたしすごく楽しい場所でした」とエピソードを話しました。
 講演の最後にはオリンピックを目指す選手たちからの質問に答え、「競技によって代表の選考方法は異なりますが、みんな同じオリンピックを目指していると思うので、一緒に頑張っていければと思います」とメッセージを送り、「Chat with Champions」のセッションが終了しました。
 続いて、アスリートディスカッションと題し、各グループに分かれて、「(1)どんなアスリートになりたいか」「(2)それをどうやって実現するか」「(3)それはなぜか」をテーマに、選手同士のディスカッションを実施しました。
 最後に、クロージングセッションと題し、上田JOCディレクターが社会からの信頼を確保するための行動として、アンチドーピングへの意識向上や、成人年齢の引き下げに伴う注意点を説明。さらに、リスクマネジメントの徹底として「自分の判断基準を持つ」ことの重要さを述べた上で「いつか皆さんがその競技に憧れたように、また皆さんを通じてその競技に憧れを持つ人を生み出していかなければなりません。それがトップアスリートに求められる一つの大きな使命です。その行動は夢を与えられる行動かをしっかりと考えながら判断していただきたいと思います」とアドバイスを送りました。

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
金城梨紗子選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
山崎佳蓮選手

■研修を終えた感想
 基礎研修プログラムの終了後、金城梨紗子選手に本日の感想や研修に参加した選手に向けてのメッセージ、また研修に参加した3名の選手に本日の学びや今後の目標を語っていただきました。

■金城梨紗子選手(レスリング)
「前回(第2回基礎研修プログラム 2022年7月6日実施)とまた違った質問があったり、私も東京2020大会のことを今思い出すこともあまりなかったので、懐かしい気持ちにもなったり、私よりも若い子たちが何を思っているのか分かった気がしてすごく嬉しかったです。参加した選手からの質問は私がオリンピックを目指してる時に思っていることと似たようなことも多く、どんなアスリートも必ず通る道だと感じました。私は東京2020大会の代表選考の時にすごく厳しい戦いを乗り越えたということが自信になりました。それがあったからこそ自分のことを客観視できるようにもなり、人の意見も受け入れられるようになったので、人が強くなるためには経験が一番だなと思います。育児をしながらの競技生活は大変なのではないかと言われますが張本人の私は大変とか辛いと思うことが本当に一つもなくて楽しくて仕方がないですし、子どもがいない時よりも、今の方が周りに対する感謝の気持ちは強いです。娘はまだ1歳にもなっていないので現役生活が記憶に残る年齢ではないですが、試合結果や写真、映像が残ることによって、ママが頑張っていたんだなと思ってもらえることを一番の目標にやっています。日本のレスリング界で出産してすぐに復帰して競技を続ける人がなかなかいないので競技復帰できるのが当たり前のスポーツにするために頑張っていきたい思います」

■山崎佳蓮選手(水泳/競泳)
「金城選手が東京2020大会でメダルを獲得するまでの経験談を聞いて、自分がオリンピックで成績を残すにはまだまだだということを知ることができました。普段話すことのない他競技の選手とディスカッションしてみて、誰も知らない場所で話しかけることや積極性など、コミュニケーション能力は今後非常に大切になってくると感じました。今後はこのような機会が与えられたときに自分から積極的に人に話しかけたり、自分の考えを人に上手に伝えることができるように経験を積んでいきたいと思います」

【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
松永美穂選手
【JOCインテグリティ教育】令和4年度第7回基礎研修プログラムを開催(ゲスト:金城梨紗子選手)
北田琉偉選手

■松永美穂選手(ラグビーフットボール)
「金城選手はその場で起きていることを全て受け入れて行動していると思いました。私は試合前に緊張してどうしようと思ってしまうタイプですが、金城選手は緊張するのは当たり前で相手も緊張していると思えると話していたことが印象的で、今度の試合ではそう考えてみようと思いました。グループディスカッションでは他競技の選手と話し、普段は関わる機会がなかったため率直に楽しかったです。話し合いが終わってからもどんな練習してるよとか、どんな怪我が多いよとか、普段話せないことをたくさん話すことができました。今後は研修で学んだリスクについて意識し、毎日の行動の一つひとつに責任を持って競技活動をしていきたいと思います」

■北田琉偉選手(陸上競技)
「金城選手の話を聞いて試合前のコンディショニングや意識の仕方、周りの目線にどのように対処するかなど、オリンピック選手としてどうあるべきなのか知ることができました。参考にできる部分が多くて自分も似ている部分あるのかなと思いながら真剣に聞いていました。他競技の方とのディスカッションでは、私の2、3年年上で社会人として活動している方からいろいろな話を聞かせてもらい、これから大学生になってどうするべきかを学びました。このような交流をしていくことが今後、オリンピックに出場した時、選手村などで出会った時にこの人もいるんだという安心感を持てるため良いことだと思いました。今後はオリンピックで優勝を目指していくうえで、優勝するための準備が必要だと感じました。特に人間性や日頃の行い、練習などの質、行動を改めて頑張っていけたらと思います」

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