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「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催

カテゴリ:選手強化
2018.08.14
「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催(写真:フォート・キシモト)
「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
挨拶に立った高橋尚子アントラージュ専門部会長(写真:フォート・キシモト)

 日本オリンピック委員会(JOC)は7月28日(土)、味の素ナショナルトレーニングセンター(味の素トレセン)で「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催しました。

 このセミナーは、ジュニア期のアスリート(10歳〜18歳)の保護者を対象に行われ、家庭で多くの時間を共有し、大きな影響力を持つと考えられる保護者が、ジュニアアスリートへの正しい関わり方、助言の仕方を学ぶことによって、親子がスポーツを通じて実りある人生を実現する可能性を高め、競技力の高いアスリートの育成を目指しています。

 JOCアントラージュ専門部会の主催で行われた今セミナーには、ジュニアアスリートの保護者70名が参加しました。

 冒頭に、高橋尚子JOCアントラージュ専門部会長が登壇し、趣旨説明を行いました。「アントラージュ」とは、監督・コーチや保護者、メディアなど選手を取り巻く人々のことを指します。高橋さんは、東京2020大会へ向かってアスリートたちがまい進している一方で、「皆さんの中には『こんな時、他の親御さんはどうしているんだろう?』と日頃悩んでいらっしゃる方も多いと思います」と話しました。そして、「今日は皆さんで和気藹々(あいあい)と日ごろの悩みを解消しながら、楽しい時間を過ごせればと思っています」と呼びかけました。


「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
スポーツ栄養士としても活躍するエームサービス株式会社の高橋文子さん(写真:フォート・キシモト)

■家庭でも実践できる食事学

 この日最初のプログラムは、「トップアスリートに育てるための食事学(スポーツ栄養学)」と題して、エームサービス株式会社の高橋文子さんが講義を行いました。味の素トレセンの「サクラダイニング」で管理栄養士/公認スポーツ栄養士として活躍する高橋さんは、ジュニアアスリートへの栄養指導も行っています。その中で、高橋さんが選手たちに伝えているのは「主食、主菜、副菜、汁物、乳製品・果物の5つをそろえてください」ということ。講義では、実際のメニュー写真や献立例などを挙げながら、ジュニアアスリートが1日に必要なエネルギー量とそれを補うための食事の摂り方、家庭での食事での注意点などを紹介。また、食事内容を通知表形式でフィードバックしたり、サラダビュッフェではオリンピック・エンブレムの5色を意識して取り合わせるといいとアドバイスするなど、楽しくバランスよく食事を指導するための工夫が紹介されました。

 続いて昼食では、この講義内容を踏まえて用意された、バランスのそろった弁当をいただきました。参加者は、高橋さんからメニューの解説を聞きながら、じっくりと味わっていました。


「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
髙木愛徳さん、寺尾正見さん・摩里子さんの3名が体験談を共有(写真:フォート・キシモト)
「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
話の内容をまとめる「グラフィック・ファシリテーション」も行われた(写真:フォート・キシモト)

■トップアスリートの保護者が体験談を共有

 午後の最初のプログラムでは、「トップアスリートの保護者体験談」と題した座談会が行われ、スピードスケートの髙木菜那選手・美帆選手姉妹の父である髙木愛徳さん、ショートトラックの寺尾悟さんの父である寺尾正見さんと母・摩里子さんの3名が登壇し、スポーツ心理学が専門の大阪体育大学・土屋裕睦教授も同席。話の内容をイラストでまとめる「グラフィック・ファシリテーション」を用いながら、それぞれの子どもとの接し方やしつけ、競技との関わり方などの体験談を共有しました。

 その中で、3名に共通していたのが、子どもに何かを押し付けるのではなく、子ども自らが考え、決断させてきたこと。髙木さんの場合は、菜那選手、美帆選手ともスケートと並行してサッカーをしており、スケートクラブのコーチからは「1本に絞ってほしい」と言われたそうですが、2人の希望で中学までサッカーを続けました。「本当に1つの競技だけを長く続けていけるかと、子どもたち自身が(壁に)ぶつかりながらも考えたのではないかと思います。私どもも、その子にどういう才能があるのか分からないので、いろいろなことをやって選択肢を増やした方がいい、本人が好きなものは本人にやらせるという考えでした」と話しました。また、寺尾摩里子さんも「高校の時にアルベールビルオリンピックをテレビで見てすごく感動したみたいで、『オリンピックに出る』という気持ちだけで向かってきて、他のスポーツには目もくれませんでした。『こうしたほうがいい』とこちらが言ったことは一切ありません』と寺尾選手のエピソードを語りました。


「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
土屋裕睦大阪体育大学教授(写真:フォート・キシモト)

 続いて、土屋教授による「アスリートの成長を支える保護者の役割」をテーマにした講義が行われ、スポーツ心理学の観点から、スポーツと人格形成の関係性や、アスリートを取り巻くアントラージュについて、選手の成長を支える保護者の役割などを、ワークを用いながら説明しました。スポーツを行うことで、心身の発育・発達に必要な「身体的活動」「意思的活動」「情緒的活動」「知的活動」「社会的活動」を体験できるとした土屋教授。一方で、アスリートの成長は「一直線で上がるのではなく、山あり谷ありです。特に谷になったところでわれわれがどう支えるか、次の過程にどうつなげるかといったことも、アントラージュの役割だと思います」と説明。そして、コーチや地域の方々など、選手を支えるさまざまなアントラージュの中でも、「変わらないのは家族。家族はずっと見守る立場としての役割を果たすことが大事」と、集まった保護者に呼びかけました。

 この後、参加者はサクラダイニングへ移動し、午前の講義で学んだ内容を踏まえながら、ビュッフェ形式の食堂を見学しました。


「平成30年度ジュニアアスリート保護者向けセミナー」を開催
JOCエリートアカデミーについて講義を行った城所寿子AD(中央)と宮崎明美RA(右)(写真:フォート・キシモト)

■JOCエリートアカデミーが実践するアスリートの育て方

 次のプログラムでは、JOCエリートアカデミー(EA)の城所寿子アシスタントディレクター(AD)と宮崎明美レジデントアシスタント(RA)が登壇し、「JOCエリートアカデミーの取組み」として、EAの理念や目指すアスリート像、各種教育プログラムの内容、EA生の日常生活の様子などを紹介しました。EAは将来オリンピックをはじめとする国際競技大会で活躍できる選手を育成するための事業で、現在7競技36名が味の素トレセンを生活拠点にしながら、学業と競技の両立に取り組んでいます。多忙な日々を送るEA生ですが、「普通の部活動の子達とあまり変わりません。ただ、寄宿していますので、競技に集中できる環境になっています」と城所AD。そんなEA生を寮母として支えてきた宮崎RAは、そのやりがいを「子どもの成長」と話し、入校したばかりのEA生に洗濯を教えたり、時には話の聞き役として精神面のケアをしてきたエピソードを紹介。そして「アスリートとして成功するだけでなく、人としていろいろな人から信頼されて、社会に貢献できる人に成長してほしい」とEA生にエールを送りました。

 最後に高橋部会長が、「ラップアップ」としてこの日の1つ1つのプログラムを総括。そして、自身が高校まではトップレベルではなかったものの、成長を続けてシドニーオリンピックで金メダルまでたどり着いた自身の体験を踏まえて、「皆さんのお子さんは、私の高校時代のはるか先を行っていますので、そんなお子さんたちが活躍するのを私も心待ちにしたいと思います。これから子供たちが笑顔になれるような支援を、皆さんにお願いしたいと思います」とまとめて、セミナーを締めくくりました。





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