日本オリンピック委員会(JOC)は、7月9日と10日の2日間、長野県の長野市立東北中学校にて、「JOCオリンピック教室」を開催した。JOCオリンピック教室は、オリンピック・ムーブメントの普及・啓発を目的とした取り組みで、オリンピアン(オリンピック出場選手)を講師として招き、オリンピズム(オリンピック精神)やオリンピックの3つの価値「オリンピックバリュー=卓越(Excellence)、友情(Friendship)、敬意/尊重(Respect)」を体験的に学ぶ授業だ。中学生を対象に、運動と座学を通して、オリンピックバリューを身近に感じてもらうことを目的としている。
挑戦する心と支え合う力
7月9日の1時限目は、フリースタイルスキーの髙尾千穂先生(ソチ2014冬季大会出場)の運動の時間。オリンピックバリューのエクセレンス、フレンドシップ、リスペクトを、全力で取り組むこと、チームワーク、ルールを守ることに置き換えて生徒に伝えた。準備運動では、股関節の可動域を広げるストレッチを中心に、ジャンプや回転運動を行い、その後、ラダートレーニングを実施。主運動は、新聞紙でボールを運ぶリレーをチーム対抗で行い、作戦タイムを挟みながら3回挑戦した。各チーム共に工夫や協力によってタイムを短縮し、最終的に全チームが記録を向上させることができた。髙尾先生は、順位やタイムの短縮以上に、全力、協力、ルールを守ることを意識して改善できた点を称えた。
昨日の自分を越えるために
座学の時間は、髙尾先生の競技の特徴や自身がオリンピックを目指すまでの歩みを紹介した。20歳で本格的にスキーを始め、仲間や指導者との出会いを通じて成長し、国際大会への出場を経て「勝ちたい」という思いを強めた。オリンピック直前には前十字靭帯断裂という大怪我を負ったが、最後まであきらめずにリハビリに取り組み出場を果たした。その経験から、挑戦し続けることやベストを尽くすことの大切さを伝えた。また、オリンピックバリューは、オリンピックのような特別な舞台だけでなく、学校生活や日常生活の中にも存在すると説明。生徒たちはグループワークを通じて、テスト勉強や学校行事、部活動、家族や友人への感謝など、自分たちの生活の中にあるオリンピックバリューを考え、発表した。髙尾先生は、これらの価値を意識することで日々の感じ方や行動が変わり、昨日の自分より少しでも前進するきっかけになると伝えた。
バイアスロンリレーで学んだ挑戦と協力
3時限目と5時限目はバイアスロン競技の目黒宏直先生(長野1998冬季大会、ソルトレークシティー2002冬季大会出場)の運動の時間。オリンピックを通じて平和やフェアプレー精神を広めるオリンピックバリューについて、オリンピアンだけでなく誰もが持つことのできる大切な価値だと説明する。準備体操とジョギングを行った後、バイアスロン競技をアレンジした「東北中学校バイアスロンリレー」に挑戦した。ペットボトルを的にした射撃とリレーを組み合わせ、的を外した分だけペナルティーエリアを走る。生徒たちは6つの班に分かれ、走る順番や作戦を話し合いながら、走る・射撃する・応援する・用具を元に戻すといった役割を協力して進めた。1回目の競争後には各班で反省点を確認し、2回目では全チームがタイムを短縮した。目黒先生は、短時間でも工夫や協力によって成長できることを伝えた。
夢をあきらめない心
4時限目と6時限目は、目黒先生の座学の時間。運動の時間に挑戦したバイアスロンリレーを振り返りながら、映像を用いて競技の魅力や緊張感を伝えた。オリンピックの歴史やピエール・ド・クーベルタンの理念、オリンピックシンボルに込められた平和や調和の意味について学んだ。また、自身がオリンピックに出場するまでの努力、挫折、家族や仲間の支え、夢をあきらめないことの大切さを話した。グループワークでは、生徒たちが夢や目標を達成するために必要なことを話し合い、「あきらめない」「全力で取り組む」「感謝する」「仲間を大切にする」などの意見を発表した。最後に目黒先生は、人生の主役は自分自身であり、夢に向かって本気で努力し続ければ必ず成長できると生徒たちに伝えた。
楽しみながら体を動かそう
7月10日はサッカーの酒井友之先生(シドニー2000大会出場)の授業。運動の時間は、スキップやサイドステップを混ぜながら体育館を走った後、2人組になり、相手の合図に反応するゲーム、じゃんけん追いかけっこ、ボールキャッチ、ボール取り競争など、サッカーボールを使って楽しみながら体を動かした。主運動は、班毎に輪になってサッカーボールを送りながらリレーを行った。作戦タイムを通して、どうすれば速く正確にボールをパスできるかを話し合った。最後はクラス全員でライン上を手渡しでボールを一周させ、タイムに挑戦。生徒たちは作戦を話し合い、距離感や役割分担を工夫しながらタイム短縮を目指した。仲間と協力し、意見を出し合い、目標達成に向けて挑戦する姿勢がオリンピックバリューにつながると伝えた。
困難を乗り越えた経験は自分を守る力になる
座学の時間は、自己紹介映像を通じて自身の競技歴やシドニー2000大会出場までの経験を話した。怪我を抱えながらも最後まであきらめずに努力を続けたことで代表メンバーに選ばれ、本大会でも出場経験を得ることができた。一方で、試合中の失敗により試合に負けてしまった悔しさや、それを支えてくれた仲間の存在から、友情やチームワークの重要性を学んだと話した。グループワークでは、運動の時間を振り返り、全力で取り組むこと、協力すること、ルールを守ることなどをオリンピックバリューと結び付けて考え、発表した。最後に酒井先生は、苦手なことにも挑戦し続けること、困難を乗り越えた経験は自分を守る力になること、周囲への感謝を忘れないことを生徒たちに伝えた。
オリンピック教室のページはこちら
お気に入りに追加
関連リンク
CATEGORIES & TAGS