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2026.03.06 オリンピック

【メダリスト会見】堀島選手「プロセスにすごく満足する大会になった、悔しさを力に4年後へ」

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メダリスト会見に臨んだ堀島行真選手(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

 ミラノ・コルティナ2026冬季オリンピックのフリースタイルスキー男子デュアルモーグルで銀メダル、男子モーグルで銅メダルを獲得した堀島行真選手が17日、記者会見を行い、メダル獲得の心境を語りました。

――大会を通じて得た一番の収穫と、自身で掲げたコンセプトについて教えてください。

堀島選手 昨年4月に行われたJOCのチームビルディング研修の際、私は最後まで会場に残り、自分自身のコンセプトについて考え抜きました。そこで導き出したのが「目標が見つかれば叶える方法もきっと見つかる」という言葉です。今回のオリンピックではその言葉通り、準備の段階から非常に力を入れることができました。2月2日に現地入りし、公式トレーニングを経て、2月15日のデュアルモーグルが終わるまで非常に計画的にプランニングを行い、集中力を途切れさせることなくキープできたと感じています。また、今大会での私の滑りや、高難度技である「コーク1440」に果敢にチャレンジする姿、そしてデュアルモーグルで最後まで諦めずにゴールを目指す姿を見てくださった方々が、「明日から頑張ろう」という思いを抱いてくれたり、誰かに力を与えることができたのであれば、それは私にとって非常に大きな意味を持ちます。振り返れば過去に出場した北京2022冬季大会や平昌2018冬季大会では、どうしても結果に左右されてしまい、自分のやるべきことを見失ったり、やりたかったパフォーマンスができなかったりという悔いが残る場面もありました。しかし、今大会に関しては立てたプラン通りに自分自身をコントロールし、競技を進めることが実現できました。結果として、求めていた色(金メダル)ではなかったかもしれませんが、そこに至るまでのプロセスや過程については非常に満足できる大会になったと実感しています。自分が目指してきた滑りや思い描くイメージを、自信を持ってスタート地点に持っていくこと。それこそがオリンピックという大きな舞台で実力を発揮し、心を強く持つための最大の要因になると気づけたことが今大会の一番の収穫です。この経験は、今後の大会や次のオリンピックに向けた大きなモチベーションとなり、これからの歩みを支える力になると確信しています。

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2025年4月に実施したTEAM JAPAN Building Up時に決めた堀島選手のコンセプト(写真:JOC)

「TEAM JAPAN Building Up for ミラノ・コルティナ2026」のニュースはこちら

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デュアルモーグルで攻めの滑りを見せる堀島選手(左)(写真:松尾/アフロスポーツ)

――2つのメダルを見ての実感と率直な感想を教えてください。

堀島選手 北京2022冬季大会からのこの4年間、自分一人の力では決してこの舞台には立てなかったと、今改めて強く感じています。入賞してからも、JOCの方々や所属先の方々を含め、本当に多くのサポートがあったからこそこの場所に立つことができました。そうした周囲の支えを実感せざるを得ない状況の中で大会が始まりましたが、その感謝の思いを「メダル」という一つの形にできたことは良かったと思っています。メダルがなければ、この先の歩みに対して応援が集まらなかったり、支援を得られなかったりするかもしれません。「応援したい」と思ってもらえる選手で居続けることが、私がさらに次の4年間を頑張り抜くための条件の一つになると考えています。そうした意味でも、応援してくださる方々の期待に応え、感謝の気持ちを形として残せたことは、私にとって本当に誇らしいことです。

――ご家族のサポートについてはどのように感じていますか。

堀島選手 私は2022年に結婚し、その後子供を授かり現在は3人家族で過ごしています。父親としての自覚を持つ中で、24時間をどう使いどう生活を作っていくかという点には常に気を配ってきました。妻のサポートをしつつ子供の成長を見守るという家庭での役割と、モーグル選手として世界を目指すという役割の両立には、難しさを感じる時期もありました。睡眠時間の確保や、競技への集中のしづらさに悩むこともありました。しかしその反面、子供と触れ合う時間は競技について考えすぎてしまう「オーバーシンキング」を防いでくれましたし、オリンピックに向けた緊張感の中で、家族と過ごす時間が心からのリラックスに繋がり、本当に大きな力になっていたと実感しています。

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雄大な雪山を背景に、ダイナミックなエアを決める堀島選手(写真:ロイター/アフロ)

――すべてが終わった直後に、すぐ「4年後」という言葉が出ました。そのモチベーションはどこから来るのでしょうか。

堀島選手 デュアルモーグルや、銅メダルだったモーグルの時も含めてですが、ゴールエリアで結果を待つ瞬間に、他の選手が表彰台の自分より高い位置に立っている姿を目の当たりにしました。観客席からの割れんばかりの大歓声が、自分ではなく勝っている選手に向けられている。その瞬間の光景や悔しい思いというのは、今後一生私の心に残るものだと感じています。その悔しさを感じた時、やはり「自分が目指していたのはあの場所だ」と強く再認識しました。勝者を祝福しつつも、次の4年後には自分がその姿になりたい、あの歓声を浴びる存在になりたいという思いがすぐに湧き上がってきました。今大会、私自身にもチャンスはあったと思っています。そのチャンスを掴みきれなかった自分をもう一度見つめ直し、やるべきことをやっていくしかない。そう思ったことが次へ向かうきっかけになりました。この2日間の経験は、この先にどんなに辛いことがあってもあの時の悔しさを思い出せばまた頑張れるという原動力になりました。むしろ、その悔しさが私をポジティブに次の歩みへと進ませてくれる、そのような瞬間になったと捉えています。

――拠点をノルウェーに移したことの影響や、今後の強化プランを教えてください。

堀島選手 ノルウェーという環境は現在の私にすごく合っていると感じており、今後も拠点はそこに置きたいというプランを持っています。今回のオリンピックでは、日本のファンの方々だけでなく、ノルウェーでお世話になった方々も現地で応援してくれたりテレビで見守ってくれたりしました。日本という枠を超えて、世界中からの応援を感じられる大会になったことは大きな変化でした。ノルウェーでの生活を通じて、時差調整や練習時間の管理といったフィジカル面の調整だけでなく、英語でのコミュニケーションの重要性も痛感しました。オリンピックで金メダルを取った時、世界に向けて何を表現し、何を伝えられるのか。英語環境で生活することで、そうした発信力やアプローチも含めて準備していく必要があると感じています。

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ゴール後、力強く右拳を突き上げ喜びを爆発させる堀島選手(写真:AP/アフロ)

――日本チームの今後について、また共に戦った仲間への思いを聞かせてください。

堀島選手 現在、17歳や18歳の北海道出身の若い選手たちが非常に頑張っており、彼らを含めて日本チームは今後さらに成長していくと確信しています。また、私と同級生の選手や後輩たちも、仕事を続けながら競技に取り組むなど、決して恵まれた環境だけでなくともオリンピックに向けて時間を割いて努力してきました。同じ部屋で過ごし彼らの姿勢を間近で見てきたからこそ、モーグルは若い選手だけでなく、誰にでもチャンスがある競技だと改めて感じています。オリンピックの出場枠を巡って切磋琢磨し、私がトップで走れるうちは日本チーム全体が世界トップレベルになるよう、意識を高め合いたいと考えています。怪我のリスクを減らす取り組みや様々なサポートを受けながら、私自身が先頭を切って歩んでいくことで日本チーム全体が強くなっていく。そう信じているので、日本チームの未来に心配はしていません。

――ノルウェーでのメンタル面での気づきはありましたか。

堀島選手 現地で子供たちがスポーツに取り組む姿を見て、新たな気づきもありました。私の知人の8歳のお子さんはサッカーをしていますが、そこではゴールを何点決めても優勝者を決めず、全員にメダルが与えられます。純粋にスポーツを楽しむ姿勢やモチベーションのあり方が進んでいると感じました。一方で、ノルウェーは大人のオリンピック選手となると、夏冬問わず多くの金メダリストを輩出しています。こうした文化の違いに触れることで、私自身の結果に対する捉え方も変わってきました。今大会、プロセスを重視したことで、メダルがあってもなくても満足して帰れたと自信を持って言えます。しかし、メダルという結果が伴ったことで、次のステップへよりスムーズに進める助けになる。勝利至上主義だけでなく、そうした冷静な視点を持てるようになったのは、現地の経験があったからこそだと感じています。

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華麗な空中演技を披露する堀島選手(写真:青木紘二/アフロスポーツ)

――高難度の技「コーク1440」への挑戦について、どう感じていますか。

堀島選手 今大会に関して言えば、あの挑戦は「最善」であったと思っています。予選や決勝の滑りで順位が5位だった状況において、「コーク1440」への挑戦なしには銅メダルにも届かなかったでしょうし、金メダルのチャンスも生まれなかったと感じています。もちろん、プラン通りにいかず追い込まれた状況で挑戦せざるを得なかった点については反省もありますが、それでもチャレンジをしつつ最低限の結果であるメダル(銅メダル)を確保できたことは大きいです。チャレンジすれば全てが良いわけではなく、失敗してメダル圏外に落ちれば悔いだけが残ることもあります。今回リスクを負って挑戦し、それでもメダルを持ち帰れたことは、今後チャレンジをする人たちにとっても「最低限の結果を確保しながら挑戦すること」の重要性を示す良い指標になったのではないかと感じています。このメダルが、また前を向いて歩き出すための力を貸してくれると信じています。

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