MENU ─ ニュース
2025.11.14 選手強化

ミラノ・コルティナ2026冬季大会、愛知・名古屋アジア大会へのカウントダウン「令和7年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催

image01
令和7年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティングを開催(写真:アフロスポーツ)

 日本オリンピック委員会(JOC)は10月20日、「令和7年度JOCコーチ会議及び情報・医・科学合同ミーティング」を開催しました。JOCの役員、選手強化本部の各専門部会の部会員をはじめ、ハイパフォーマンスディレクター(HPD)やナショナルコーチ等、また、国内競技団体(NF)の関係者ら、強化に関わる約260名が参加。新体制となったJOC選手強化本部の基本方針や、NFのHPDたちによるパネルディスカッションのほか、ミラノ・コルティナ2026冬季大会、愛知・名古屋アジア大会に向けた情報共有、JOC選手強化中長期戦略プロジェクトの取り組みについて説明されました。

image02
橋本聖子JOC会長(写真:アフロスポーツ)

 開会に先立ち、主催者を代表して橋本聖子JOC会長が挨拶。冒頭では「鈴木大地初代スポーツ庁長官、室伏広治前長官といったオリンピック金メダリストのご尽力により、日本のスポーツ界は発展を遂げてまいりました。そして今回、パラリンピック金メダリストである河合純一さんがパラリンピアンとしては初めての長官にご就任されたことは、JOCにとりましても大変心強いことです。JOCは、『オリ・パラが一体となり、多様性と調和に満ちた社会を築く』という基本方針のもと活動しております。今後、河合長官とより一層連携を強化し、オリ・パラ一体のスポーツ環境の整備と、地域社会の発展に努めてまいります」と、来賓である河合純一スポーツ庁長官との連携強化について述べました。続けて「JOC Vision 2064で掲げる『スポーツの価値を守り、創り、伝える』の実現に向け、憧れられるアスリートを育成し、スポーツを通じて、よりよい社会作りに貢献していく。そして、『ともに、一歩踏み出す勇気を。』のコンセプトのもと、TEAM JAPAN一体となり、やるべきことを進めていき、現場の皆様方をサポートする体制をしっかりと取らせていただきたいと考えておりますので、ぜひ忌憚のないご意見を頂戴できたらと思います」と呼びかけました。

image03
河合純一スポーツ庁長官(写真:アフロスポーツ)

 続けて、来賓としてスポーツ庁の河合純一長官が挨拶し、持続可能な国際競技力向上プランの改定版やスポーツ基本法の改正などについて説明。そして、「誰一人取り残されることなく誰もがウェルビーイングな生活を営むためにはスポーツが必要なのだと思っていただけるために、我々スポーツ庁もJOCやJPC(日本パラリンピック委員会)、NFの皆様とともに取り組んでいきたいと思います。予算の確保を含めて全力でサポートしてまいりますので、ぜひとも皆様もそれぞれの立場でできるベストを尽くし、そして最大の成果を上げていただきたいとお願い申し上げます」と述べました。

■JOC選手強化本部基本方針について

image04
井上康生JOC常務理事兼選手強化本部長(写真:アフロスポーツ)

 最初のプログラムでは、井上康生JOC常務理事兼選手強化本部長が登壇し、「私たちが目指すのは勝つためだけの強化ではありません。スポーツの持つ多様な価値を社会に還元し、人々の心を動かす存在として日本の未来に貢献することです。スポーツは希望であり、教育であり、平和の力だと信じています。全ての仲間とともに、信頼で結ばれたTEAM JAPANを築いていきます。私はその覚悟をもって責任を果たしていきたいと思います」と、所信表明を述べました。続けてJOC選手強化本部の基本方針の説明、JOC選手強化本部が目指すビジョンとして「競技力向上×社会価値創造」を紹介した上で、強化戦略プランの重点戦略軸や選手強化本部の体制などを説明し、最後に「現場の皆様の努力がTEAM JAPAN全体の未来を創ると強く思っています。皆様方と力を合わせながらTEAM JAPANをさらなる発展へと導いていきたいと思っておりますので、何卒よろしくお願い申し上げます」と結びました。

■JOC選手強化中長期戦略プロジェクトについて

 次に「JOC選手強化中長期戦略プロジェクト」について、「憧れられるアスリート」を継続的に育成するためのJOC選手強化本部としての目標の方向性や目指す姿、各ワーキンググループやそれぞれのアクションプラン、実施計画などについて、井上選手強化本部長が説明。続けて、現在実施している3つのワーキンググループ(アスリート、指導者、データ&テクノロジー)における施策について、渡邊将広サービスマネージャー、中竹竜二サービスマネージャー、皆川賢太郎サービスマネージャーがそれぞれ説明しました。

image05
渡邊将広サービスマネージャー(写真:アフロスポーツ)

 まずアスリートワーキンググループについて、担当の渡邊サービスマネージャーがJOCアスリートアカデミーを軸としたアスリートサポートプログラムを紹介。強化指定選手によるアンケート結果から導き出された「環境」「社会価値」「文化」の3つのキーワードを意識してほしいと呼びかけた上で、「指導者・スタッフ全員が『メンター』としての役割意識を持ち、アスリートからの相談の最初の窓口になっていただけたらと思います」と語りました。

image06
中竹竜二サービスマネージャー(写真:アフロスポーツ)

 続いて指導者ワーキンググループの中竹サービスマネージャーが登壇。指導者ワーキングのスローガンである『対話と共創』を紹介した上で、会場に多く集まったHPDやハイパフォーマンスアシスタントディレクター(HPAD)に向けて具体的な役職の役割と責任などについて解説。そして「皆様の役割の一つに指導者の評価というものがあります。数値で一方的に評価をするのではなく、指導者との対話を通じて、本人の自己内省を踏まえた成長への支援をしていただけたらと思います」と述べました。

image07
皆川賢太郎サービスマネージャー(写真:アフロスポーツ)

 最後にデータ&テクノロジーワーキングを担当する皆川サービスマネージャーが登壇。「アスリートとの接点構築」「業務効率化」「データ連携強化」「マネタイズ・収益化」の4点を主軸にシステム構築を進めている「JOC365プロジェクト」について全体像やフェーズごとの実施計画、スケジュールについて説明した上で、「皆様の業務を支援できるシステムとなるように進めておりますし、各自にとって有限である『時間』を有効活用できるようなものにしていきたいと思います」と語りました。

■パネルディスカッション

image08
公益社団法人日本フェンシング協会の青木雄介ハイパフォーマンスディレクター(写真:アフロスポーツ)

 続いて、公益社団法人日本フェンシング協会の青木雄介HPD、公益財団法人全日本スキー連盟の上島しのぶHPAD、公益財団法人日本レスリング協会の吉村祥子HPADが登壇し、パネルディスカッションが行われました。JOC選手強化本部指導者ワーキンググループの中竹サービスマネージャーが進行役を務め、「持続的な強化サイクルの構築に向けて」というテーマについて議論しました。

image09
公益財団法人全日本スキー連盟の上島しのぶハイパフォーマンスアシスタントディレクター(写真:アフロスポーツ)

 まず、オリンピックを起点とした4年サイクルについて上島HPADは「日本の会計年度は3月に期末を置くことが主流ですが、我々は夏が期末となっています。したがって冬の結果を見てからゆっくりしている時間がなく、コーチの設置や強化費の配分などを早回しで行う必要があります。ミラノ・コルティナ2026冬季大会が終わると次のオリンピックに向けた4年間が始まりますが、そこに向けても早回しで動いています」と、全日本スキー連盟における実状を語りました。

image10
公益財団法人日本レスリング協会の吉村祥子ハイパフォーマンスアシスタントディレクター(写真:アフロスポーツ)

 また、吉村HPADは「東京2020大会時は3種目(男女フリースタイル・男子グレコローマン)合わせて全40回で延べ367日、パリ2024大会に向けては25回147日をNTCで合宿させていただきました。レスリングは階級制の競技ですので増量や減量しなければならないアスリートが多い中、サクラダイニングで素晴らしい食事を摂れるということは選手たちからも非常に評価が高いです。まだ怪我が身近な競技ですので、合宿中の怪我やリハビリでクリニックにご対応いただけるという面もNTCを活用する利点だと感じています」と、ナショナルトレーニングセンター(NTC)の活用状況について紹介しました。

 そして情報・医・科学サポートとの連携については、「フェンシングはプロテクターやマスクなど非常に着込むものが多い競技なのですが、夏の暑い中でもしっかりとパフォーマンスを発揮するためにどうすれば良いかというところでデータをとっていただき、アドバイスをいただきました。また海外遠征も多いのですが、時差や長距離移動の中でのコンディショニングという部分でもアドバイスをいただくなど、選手たちのパフォーマンスを支えていただいております」と青木HPDと語りました。

 最後に青木HPDが「現場の方々にとっては思うように成果が出ず苦しいときもあると思いますが、そういったときに一緒に挑戦していけることや現場を支えられるということが自分にとってのHPDとしてのやりがいだと感じています」と、上島HPADが「選手やスタッフがこの組織で活動してよかったなと思っていただけたら嬉しいですし、アスリートたちが将来また戻ってくるような循環というものを、組織内部はもちろんのこと競技や種目の中でも作っていけたら良いと思っています」と、吉村HPADが「選手やコーチたちとともに目標達成した瞬間は最高の幸せですし、仮に目標に届かなかったりその人の役割が終わったとしても、その後の人生を一緒に楽しめるというのが私にとっての現在のやりがいです」と語り、パネルディスカッションが締めくくられました。

■第25回オリンピック冬季競技大会(2026/ミラノ・コルティナ)に向けて

image11
伊東秀仁TEAM JAPAN団長(写真:アフロスポーツ)

 休憩を挟み、ミラノ・コルティナ2026冬季大会の伊東秀仁TEAM JAPAN団長が登壇。ミラノ・コルティナ2026冬季大会について大会概要や公式行事、コンセプトといった情報のほか、TEAM JAPANの一体感醸成やアスリートを守るための取り組みが紹介されました。

■誹謗中傷対策(インテグリティ統括事業)に関する取り組みについて

image12
八木由里JOC常務理事(写真:アフロスポーツ)

 続いて八木由里JOC常務理事が登壇し、誹謗中傷対策(インテグリティ統括事業)に関する取り組みとして、東京2025世界陸上競技選手権大会における公益財団法人日本陸上競技連盟との連携体制や、大会時に実施したSNSモニタリングの概要やその結果を報告。またミラノ・コルティナ2026冬季大会における対策案を紹介しました。

■第20回アジア競技大会(2026/愛知・名古屋)に向けて

image13
公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会の小林亨事務局次長(写真:アフロスポーツ)

 その後、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会の小林亨事務局次長が登壇。愛知・名古屋アジア大会について、大会概要やスケジュール、競技施設や宿泊施設の準備状況などについて説明しました。

■令和6年度NCA修了式(NTC事業紹介)

image14
柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター(写真:アフロスポーツ)
image15
伊藤リナディレクター(写真:アフロスポーツ)
image16
公益財団法人日本水泳連盟の下山好充さん(写真:アフロスポーツ)
image18
NCA修了式

 NTC事業紹介として柴真樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターが「アスナビ」について説明し、連携や活用を呼びかけました。続いて伊藤リナディレクター進行のもと「令和6年度JOCナショナルコーチアカデミー修了式」が行われ、令和6年度の修了者36名を代表して公益財団法人日本水泳連盟の下山好充さんに、井上選手強化本部長から修了証が贈呈されました。下山さんは、「約8週間のプログラムを通して、超一流かつ個性豊かな講師の方々から、超一流の講義を受けることができました。そしてここにいる仲間との出会いからも多くのことを学ぶことができました。例えば自分のNFにおける悩みを、その悩みを解決しているNFの方からアドバイスをいただいたり、それぞれの大会に応援に行ったりなど、多くの人たちと交流をすることができました。ここで得た学びを活かし、TEAM JAPANの一員として今後も精進してまいりたいと思います」と想いを語りました。

■クロージングセッション

image17
伊東秀仁選手強化本部副本部長(写真:アフロスポーツ)

 最後に、クロージングセッションとして伊東秀仁選手強化本部副本部長が閉会の挨拶に立ち、ミラノ・コルティナ2026冬季大会、愛知・名古屋2026アジア競技大会、さらには開幕まで1000日を切ったロサンゼルス2028大会に向け、「各NFの皆様とJOCがそれぞれの役割を果たし、相互に連携しながら、スポーツ界全体で『スポーツの価値を守り、創り、伝える』というビジョンの実現に向けて一致団結して歩んでいければと思います」と呼びかけ、今年度のコーチ会議を締めくくりました。

お気に入りに追加

お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
お気に入りに追加するには
会員ログインが必要です。
ログイン会員登録はこちら
ページをシェア

関連リンク


CATEGORIES & TAGS


選手強化 の最新ニュース

    最新ニュース一覧