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2021.08.02 オリンピック

【メダリスト会見】競泳・大橋選手「金メダルをとれた実感はなく、不思議な気持ち」

【メダリスト会見】競泳・大橋選手「金メダルをとれた実感はなく、不思議な気持ち」
会見に出席した(右から)平井伯昌監督、大橋悠依選手、本多灯選手(写真:フォート・キシモト)
【メダリスト会見】競泳・大橋選手「金メダルをとれた実感はなく、不思議な気持ち」
金メダル獲得を喜び合う大橋悠依選手と平井伯昌監督(写真:フォート・キシモト)

 東京2020大会の競泳女子200m個人メドレーと400m個人メドレーで金メダルを獲得した大橋悠依選手、男子200mバタフライで銀メダルを獲得した本多灯選手、チームを指揮した平井伯昌監督が2日、記者会見を行い、競技終了から一夜明けての心境を語りました。

■平井監督、大橋選手の金メダルに「万感」

――メダル獲得の感想をお願いします。

大橋選手 200も400もメダル獲得を目指していましたが、今もまだ2つとも金を取れた実感はなくて、すごく不思議な気持ちの中にいます。

本多選手 銀メダルをとれて、自分はすごくうれしい状態です。

平井監督 チームの目標といたしまして、複数の金メダル、その点に関しましては達成することができて大変安心しております。ですが、メダル数は今回明確に決められなかったのですが、全員決勝進出というもう一つの目標については、全く遠いものになりました。達成できて良かったと安心する面と、チーム目標が到達せずに大きく反省している、両方の気持ちでございます。

――大橋選手、本多選手、大会中のレース映像を見返して、改めて気づいたことは?

大橋選手 レース映像は何回も見ているのですが、特に今回良かった点は平井先生とも練習してきたように、ターンの前の部分で「もしターンが合わなかったら伸びるように」と言われていました。200の個人メドレーのバタフライ、400の個人メドレーのバタフライ、200の平泳ぎからクロールのところのターンが、自分でも冷静にできたと思います。

本多選手 自分のレースを見返して、1位の選手と比べてすごく差があって、前半も後半も全ての面で負けていたので、その悔しさが出てきました。逆に自分はいいところもあって、後半が今まで以上に伸びたので、良い泳ぎができたと思います。

――大橋選手、平井先生にメダルをかけたタイミングはいつでしたか? また、どういう言葉のやり取りがありましたか?

大橋選手 200も400も表彰式が終わったあとのサブプールで平井先生にかけました。「頑張ったね、おめでとう」と声をかけていただきました。

平井監督 オリンピックまで決して平坦な道のりではありませんでしたので、私も悠依も金メダルを取れたことに関しましてはずっと努力をしてきて、途中では目標が達成できないと感じたときもありましたけれども、続けてここまで来られたことが金メダルという最高の形で終えたことで、万感の気持ちでありました。悠依の顔を見ても全く同じ気持ちだったんじゃないかなと思いまして、悠依には「おめでとう、頑張ったね」と声をかけましたけれども、同時に自分にも言っているような気持ちでした。

――2024年のパリ大会も既に頭にありますか?

大橋選手 私は今のところはあまり先のことは考えていなくて、来年の世界水泳が福岡に来るのでそこに出るのは決めているのですが、パリまでということは考えていないです。

本多選手 自分は今回2位でしたが、大きく差をつけられてしまったので、3年後のパリでは1位の選手と熱いレースをしたいです。そして、今回以上に日本中・世界中を沸かせるレースをしたいなと思います。

――昨日の選手団本部会見で、福井烈団長がSNSでの誹謗中傷に関して「断じて許されることではない」とコメントしましたが、これを受けて思うことがあれば教えて下さい。

平井監督 競泳チームでは今のところ、そのようなことは聞いていないです。例えば大橋選手が400m個人メドレーから200m個人メドレーの間も相当集中できたと思うのですが、実際コーチ・スタッフも含めまして、我々が戦っているのは目の前の現実であります。インターネットやSNSの世界に神経を使いすぎますと、仮に誹謗中傷がなくても、ニュースの中にも書き込みがあったりします。それに過敏に反応して、誹謗中傷と考えてしまうケースがあるんじゃないかと思います。これはアスリートに限らないと思いますが、現実の目の前のことに目を向けて進んでいく姿勢が必要ではないかと思います。

【メダリスト会見】競泳・大橋選手「金メダルをとれた実感はなく、不思議な気持ち」
大橋悠依選手(写真:フォート・キシモト)
【メダリスト会見】競泳・大橋選手「金メダルをとれた実感はなく、不思議な気持ち」
本多灯選手(写真:フォート・キシモト)

■本多選手「数え切れないほどのメッセージ、うれしい」

――メダル獲得後、祝福のメッセージが寄せられたと思いますが、特にうれしかったものは?

大橋選手 たくさんの方からメッセージをいただいて本当にうれしかったですが、昨日自分のInstagramを更新して、一緒に泳いだ400m個人メドレー2位のアメリカの選手(エマ・ウェヤント選手)や他国の選手から「おめでとう」とコメントをいただいて、一緒に戦った者としてうれしかったです。

本多選手 自分も今までにないぐらい、数え切れないほどのメッセージをいただいて、うれしい気持ちになりました。会場で他国の選手から「キミ、200mバタフライの銀メダリストだよね。おめでとう!」と言われたのが、すごく印象に残りました。

――大橋選手、一時期は「泳ぐ楽しさを忘れてしまった」と話していましたが、今回は泳ぐ楽しさを取り戻せましたか? また、地元・滋賀県の子どもたちへのメッセージをお願いします。

大橋選手 本当に、始まる前まではこんなに楽しいオリンピックになると思っていなくて。楽しさもあり、冷静さもあり、すごく自分らしさが出せたかなとレースのあった5日間を振り返ると思います。リオ大会(2016年)に出られなかったですが、そこからの5年間苦しいことがたくさんありましたが、全てが生きたレースだったと感じることができました。

 滋賀県はいま、屋内の50mプールを作っている途中ですが、私が高校卒業するまではもちろん屋内のプールは長水路がなくて、短水路も試合ができるのは1つだけでした。環境という点では恵まれていないかもしれないですけど、そこで強くなることで全国大会に出たときに力が通用しやすかったりとか、こういう環境でも強くなれると自分では思っていました。なので、滋賀県の他にも環境として物足りないと思っている県はあると思いますが、そこで水泳やスポーツをする子どもたちに「自分もやってやるぞ」という気持ちになれるようなものが届けられたらいいなと思っています。

――昨日までは競泳チームの応援が残っていましたが、この先行われる他の競技で楽しみにしているものがあれば教えて下さい。

大橋選手 水泳チームとしては、これからアーティスティックスイミングさんとオープンウォーターさんが始まるので、ナショナルトレーニングセンターで練習されているのを見てるからこそ、応援しています。あとは、陸上競技で同郷の桐生祥秀選手が走るかもしれないので、楽しみにしています。

本多選手 自分は野球を見ることが好きなので、プロ野球選手がたくさん出場するのを見て、興奮したいなと思っています。

――大橋選手、海外選手の国内レースの記録などを見て、焦りや不安はありませんでしたか? 自分の成長を信じ切ることができたのでしょうか?

大橋選手 もちろんアメリカだったり、オーストラリアは特に選考会のレース結果をチェックしていましたし、速い選手が多かったので、自分自身焦りはありました。ただ、ランキングはランキングでしかないので、私自身が1位だったときもそのとおりにいかなかった結果もありましたし、事前のランキングは関係ないと思って挑んでいました。アメリカの選考会はプレッシャーがかかる場面で記録を出した選手がやって来るので、気を引き締めるものではありました。

――現時点で決まっている今後の予定は?

大橋選手 今後は8月末からインターナショナル・スイミング・リーグ(ISL)で東京フロッグキングスの一員として参戦する予定で、その順位によって予定も変わってきます。

本多選手 自分も大橋さんと同じく、ISLの東京フロッグキングスの一員として出場させていただきます。そして10月にあるインカレ(学生選手権)にも出場予定で、あとはISLの結果次第で予定が変わります。

――来年福岡で開催される世界水泳について、20年ぶりの日本開催に対する思いは?

大橋選手 今回の大会もそうですし、競泳は2018年にパンパシフィック選手権を東京で行っているので、その時も本当に東京なのかな? と思うくらいの人が辰巳に入ったので、満員のスタンドに私自身力をもらいました。来年は観客が入るのか、どういう状況になるか分からないのですが、今回も応援の力をたくさんいただいたので、日本の選手にはプラスになるんじゃないかと思います。

本多選手 自分も来年の世界水泳に出場できればと思います。今回は2位でしたが、1位の選手に勝てるかどうか分からないですし、他にも自分よりもベストタイムが速い選手がいっぱいいるので、世界ランキング2位の順位を下げないように頑張りたいです。

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