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長野1998


採れたて長野通信

長野市の中心部では連日、オリンピック関連のイベントが開催されています。毎日19時からは「セントラルスクエア」という会場でその日に勝者が決まった競技の表彰式もあり、競技会場に負けない盛り上がりを見せています。今日の「採れたて長野通信」では、長野の町を歩いて集めた楽しい情報を大公開。日曜日(15日)には、世界中の人気者、ジャマイカのボブスレーチームに街角で遭遇するなど、うれしいハプニングもありました。さらにNHLスタープレーヤーがゲームにどしどし登場し始めたアイスホッケー決勝リーグの盛り上がりと、スタープレーヤーが数多く参加したロシア対チェコ戦の観戦レポートをお伝えします!

ワンダフル・オリンピック NAGANOで見つけたおすすめ情報

ジャマイカのボブスレーチーム
15日の日曜日。歩行者天国になって大賑わいのセントラルスクェア前を歩いていると、なんの変哲もない町の金物屋さんに人だかりを発見。不思議に思って近寄って見てみると、映画「クールランニング」で大人気になったジャマイカのボブスレーチームの選手たちが来訪していたのです。一店一国運動でジャマイカの応援をしている「堀田金物店」でピンズなどのジャマイカグッズを委託販売してもらうために、彼ら自身がもってきたというのです。突然の人気チームの登場で、店内は身動きできないほどの大混乱でした。
創業100年になる老舗の堀田金物店。長野市内で「ひとつのお店がひとつずつの国を応援しよう」という一店一国運動が決まってからは、東京までジャマイカグッズを買いに出かけるなど大忙しだったそうです。店主の堀田恒雄さんは「どうやって盛り上げようか心配だったけど、すごい人気だね。まあ、店の品物は売れないけど、人が大勢いるのは楽しいね」と目を細めていました。堀田金物店には、オリンピック直前にジャマイカ大使夫妻も訪れています。町の金物店の善意は本国まで届いているのです。

中央通りに神輿が出現
30分ほど続いたジャマイカ・フィーバーの人混みを過ぎてセントラルスクエア前に戻ると、この日2回目の大混乱が待ち受けていました。オリンピックを記念して、長野県内から4基、東京から1基、計5基の御輿があおりをくれていたのです。御輿をかつぎ上げるのは、日本全国から集まった56団体1139人の偉丈夫たち。風が少しあって肌寒い中、善光寺まで続く中央通りを、勇ましいかけ声をあげながら長野善睦会の万灯御輿を先頭に数百メートル練り歩き、観客の喝采を浴びていました。雪を踏んだせいで少し湿っている足袋で道路の上を歩く姿はちょっと寒そうに見えましたが、そんなことは気にしないフンドシ一丁の人もいて、御輿のまわりは熱気にあふれていました。

この日はジャンプとスピードスケートで日本選手のメダルラッシュ。街角に置かれた大モニター前は、原田の大ジャンプ、船木の20点満点ジャンプ、清水の2個目の銅確定の瞬間が流れるたび、会場に負けないくらいの盛り上がり。会場に届けとばかりの声援と拍手がわき起こっていました。オリンピックもいよいよ後半戦。長野を包む感動と熱気は、日を追うごとに熱く大きくなり続けています。

歴代オリンピックのアート展
華やかなスポーツ競技の影に隠れて目立ちにくいのですが、オリンピックを満喫するためには欠かせないのが文化プログラム。長野県を中心にさまざまなイベントが行われています。今日の取材班は、メインプレスセンター近くの県民文化会館で開催されている「オリンピックアート展」を見てきました。
展示ホールには、近代オリンピックの歴代公式ポスターやリトグラフなど73点が展示されています。展示作品の中でもっとも古いものは、スイス・ローザンヌのオリンピック博物館に所蔵されている、1900年にパリで行われた第2回オリンピックの大きなポスター。大人の身長ほどもある大きさです。また、1964年の東京オリンピックや1972年の札幌冬季オリンピックなどが、当時の印象的な名場面の写真と一緒に展示されています。感動の名場面を思い出す人も多いのでは。
係の人に話に聞くと、オリンピックとポスターなどのグラフィックアートは、ちょうど同じくらいの歴史があるとのこと。オリンピックの歴史を追いながら、アートの変遷を楽しめるのです。中には、アンディー・ウォーホールやリキテンスタイン、ピカソなど有名な画家の作品もあって、スポーツと芸術とを結び付ける展示会だと感じました。開催期間は3月15日まで。

ファクスサービスで選手のサイン
ジャマイカチームのような人気選手に町中で会えるチャンスがあるのはオリンピックだからこそ。歩くときは目を皿のようにしている必要があるかも? メダリストと記念撮影でもできれば、長野の冬の思い出に最高の一枚が加わるに違いありません。
でも、すべての人が長野に来られるわけではありませんよね。日本全国のそんな大勢の人たちに朗報をお伝えしましょう。ファクスを利用した日本オリンピック委員会の「メッセージ・サインサービス」がそれ。下記の番号に電話して案内に従って番号を押せば、日本選手全員116人の直筆メッセージやサインがファクスで取り出せます。日本選手がメダルを獲得したり入賞した場合は、選手自筆の喜びのメッセージも手に入ります。
利用法はカンタン。初めてアクセスする場合は、競技別やメダル別の情報番号が出ている総合案内を取り出してから、改めて目的選手のサービス番号に進んでください。
情報を取り出すには1件につき200円の料金がかかりますが、その一部は選手の強化費用にあてられます。
「金メダル、応援ありがとうございました」という清水選手のメッセージなど。長野に観戦に来ても普通じゃ手に入らない情報がゲットできます。

−メッセージ・サインサービス−
TEL 0990-58-1998(現在はサービスを行っておりません)
(サービス利用には、1件につき200円の利用料と、1分約30円の通話料がかかります)

情報の中心地「MPC」
オリンピックには各国の選手たちだけでなく、数多くのボランティア、観客、協力機関、地元の人たちなど、数え切れないほどの人たちが参加しています。そんな多くの人たちの感動、奮闘の様子を世界中に伝えるのが報道機関の大切な役目。今回は、私たち「採れたて長野通信」スタッフも含め、世界中の報道関係者が24時間利用している「メインプレスセンター(MPC)」の紹介をしましょう。
ビッグハットのすぐ横にあるMPCは、新聞・雑誌などの記者、カメラマンらが、毎日の競技結果などの情報や写真などを収集するための拠点です。全世界30億の人々が注目しているオリンピック。MPCではパソコン通信による競技結果や選手のコメントが24時間取り出せるサービスをはじめ、記事発信のための機材やシステムなどを提供することで、記者たちが一刻も早く記事を発信できるようサポートしています。

そのため、金メダリストの会見などが行われる600席のメイン記者会見室やフィルムの現像ができるイメージセンター、メディアごとの専用ブースなどがすべてMPC内に集まっているのです。
またMPCには記者のほか、運営のためのボランティアなど24時間を通して多くの人が働いているため、医務室や銀行、郵便局、レストラン、バーなどさまざな設備が整い、まるで小さな町のようになっています。その規模の大きさに、オリンピックが世界的な大イベントであることを実感している現地取材班なのでした。

日本選手団のことならJOCブース
日本選手166名を派遣している日本オリンピック委員会(JOC)のブースもMPCの中にあります。このホームページの作成はもちろん、メディアに向けてさまざまな情報の提供をしていくことで選手が競技に集中できる環境をつくり、日本選手団を側面から援護しています。メダリストの記者会見の設定や、選手のテレビ出演などのスケジュール調整もここで行われています。
ところで数日前からこのJOCブースがとても「目立って」います。というのも、ブースの壁に、メダルを取った日本選手の名前と花が飾ってあるからです。日本選手のメダルラッシュでその数が一気に増えました。はたして、あといくつの花が並ぶのか。オリンピック後半戦が楽しみですね。

現地直送!観戦レポート アイスホッケー決勝ラウンド(ビッグハット)

本場のNHLプレーヤーが続々登場!
オリンピックが中盤を迎えた頃、長野には世界でもっとも金を稼ぐ男たちが続々と集まってきました。そう、アイスホッケーの最高峰、NHL(北米アイスホッケーリーグ)のメンバーを含む各国の代表チームです。プロであるNHL選手のオリンピック参加が解禁されたのは88年のカルガリー五輪の時。しかし今まで、NHLではレギュラーシーズンを優先させてきたため、実際に選手が参加することはありませんでした。それが長野では、NHLはシーズンを一時休止してまで選手を送り込んできたのです。
とくに注目を集めているのは、カナダ、アメリカ、スウェーデンなど。チームのすべて、もしくはほとんどがNHLプレーヤーが占めている国です。スウェーデンは前回リレハンメル大会のチャンピオンで、アメリカは96年ワールドカップのチャンピオン。カナダはそのどちらも2位に終わっているため、今回は背水の陣で挑んできています。その意気は最終予選で早くも現れ、アメリカ、スウェーデンを連破。決勝トーナメントに向けて勢いがついてきました。
選手の中で最大の注目を集めているのは、なんといってもカナダ代表のウエイン・グレツキーでしょう。「NHLの至宝」、「グレートワン」とまで呼ばれる史上最高のプレーヤーで、生涯得点やアシスト数をはじめとする61個のNHL記録を持っています。すでに年齢は37歳。全盛期のスピードこそありませんが、技術は世界最高峰。戦いが厳しさを増すにつれ、すばらしいプレーを見せてくれることでしょう。
アイスホッケーの各会場には、NHL選手たちが繰り広げるオリンピックでの激戦を見ようと、世界中から多くの人が集まってきています。

本場の迫力はケタ違い
期待感まんまんで「ロシア対チェコ」のゲームを観戦にでかけた取材班。実際に見たNHLプレーヤーの迫力は想像以上でした。アイスホッケーの道具はスティックだけかと思っていたら、全身が道具になっているのです。空中に浮いたパックは手ではたき落とし、足下はシューズでけり出す。猛烈なスピードのパックを、いともカンタンに操つります。シュートへの執念もすばらしく、たとえ倒れ込んだ態勢からでも、パックにスティックが届けば目の覚めようなシュートを放ちます。
またパックを奪ってからのターンオーバー、パス、シュートのどれをとっても、アマチュア選手とのスピード差は歴然。ものすごい迫力です。
この試合、結果は2対1でロシアの勝利。この2点はわずか10秒の間に入ったものです。そのスピード感には、驚くばかりでした。
注目の決勝戦は最終日の閉会式直前に開催。今世紀最後のオリンピックは、今世紀最高のプレーヤーたちによって締めくくられるのです。

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