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レスリングの魅力は、何の道具も持たず、衣服をつかむこともせず、体同士がぶつかりあい、技を掛け合うシンプルな競技であること。その中でパワーとスピード、テクニックが激突します。2人の選手が互いに技を使って相手を組み伏せ、両肩をマットに押しつけようと競い合います。
古代オリンピックでも行われていて、人類最古の格闘技といわれています。近代オリンピックでは第1回の1896年アテネ大会から行われ、第2回の1900年パリ大会を除き、継続して実施されています。腰から下を攻撃と防御に使うことが禁止されているグレコローマンスタイルと、全身を攻撃と防御に使えるフリースタイルがあります。長い間男子のみの競技でしたが、2004年アテネ大会から女子も加わりました(フリースタイルのみ)。体重による階級別で試合が行われるため、体格の差に関係なく活躍できます。2016年リオデジャネイロ大会では男子グレコローマン、男子フリースタイル、女子フリースタイルとも6階級(6種目)で行われました。
試合は敗者復活戦のあるトーナメント方式で行われます。決勝に進んだ選手と直接対戦して負けた選手は敗者復活戦に出場できます。
Photo:フォート・キシモト
試合は直径9mの円形マットの上で行われます。現在のルールは、3分間×2ピリオドで、間に30秒のインターバルがあります。相手を組み伏せて両肩を同時に1秒間マットの上につけると勝ちとなり、試合は終了します。これをフォールといいます。フォールできない場合は、相手を不利な状況に追い込むことによって獲得できるポイントによって決まります。グレコローマンは8点差、フリースタイルは10点差がついた場合もその場で終了となります(テクニカル・フォール)。相手が警告を3つ受けた場合もその時点で勝ちとなります。警告は消極的な姿勢や反則に対して与えられます。
ポイントは技に応じて1点、2点、4点、5点があります。例えば相手の足が場外に出たら1点、寝技の状態で相手の背後に回り込んで、頭部、両手両足のうち3つをマットにつけると2点、腹ばいの相手に後ろから組みついて90度以上回転させると2点、立った状態からの投げ技は4点、寝技の状態からの投げ技は5点などがあります。
グレコローマンは、立ち技(スタンド)からスタートします。ここでいかに攻撃スタイルを行う事が重要で、相手選手が消極的と判定されたときは1点が与えられ、グランドからの攻撃権が与えられます。
グレコローマンスタイルは、上半身で組み合って投げ技などダイナミックな技が多く見られ、本来の格闘技らしい迫力が魅力。フリースタイルはタックルで相手のバランスを崩すことが基本で、スピード感あふれる技の攻防が見どころです。
負けている試合の残りあと数秒というところで、相手の一瞬の隙をついてタックルに持ち込み鮮やかなフォール勝ちを決めたり、投げ技でテクニカル・フォール勝ちになったりすると、観客から歓声と拍手がわき起こります。
※東京2020大会組織委員会 公式サイトより