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3mのジュラルミン製でできた飛板を使い、反発力を利用して演技を行う「飛板飛込」と、10m高さの台から飛び込む「高飛込」の2種類が行われます。演技は、踏切の方向と宙返りの方向、演技に捻りを加えたもの、逆立ちからスタートするものがあります。採点は、回転の型<伸型、蝦型(えびがた)、抱型>の3種類を組み合わせた演技の美しさや入水時の水しぶきの少なさなどを見ます。これに加え、シンクロナイズドダイビングは、2人でどれだけ演技が同調(シンクロ)しているかも採点されます。
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飛込の魅力は、演技がスタートして2秒弱で勝負が決まる「一瞬の美」にあります。5種類の踏切の方法と、前後の回転の方向に加えた捻りに、回転時の身体の形を組み合わせて演技を行い、その美しさとダイナミックさが採点されます。入水時の水しぶきをどれだけ抑えられるかも採点基準のひとつ。採点は10点満点からの減点法で行われます。
入水は見た目にも分かりやすく、オリンピックの決勝で戦う世界のトップ選手たちは、ほとんど水しぶきを上げません。特に、入水したかと思えば、全くしぶきが上がらず、ぼこぼこと泡が水面に見えるだけの「リップ・クリーン・エントリー」とよばれる入水は美しく、最も得点が高くなります。
以前は、3m飛板飛込では踏切から入水までの回転が、1回転半から2回転半が基本でした。近年では、飛板をしならせてその反発力を使って高く飛び上がることにより、3回転半から4回転半も回転するダイナミックな演技がメインになってきています。
近年の世界トップクラスの選手をみると、力を発揮し始めているのは、背が高く手足の長い選手。特に男子は手足が長いと空中での回転が大きくなり、演技がダイナミックかつ美しくみえます。
高飛込では台の反発力を得られないため、飛び上がることよりも、いかに入水までに素早く小さく回転することができるかがポイントになります。そのため、高飛込の上位には、背が小さく瞬発力の高い選手が多く見られます。
飛板飛込、高飛込ともに男子は6回、女子は5回演技を行い、その合計点数を競います。最後の演技の直前までリードを許していたとしても、最後の演技で逆転することもできる、1試合の順位変動が激しい種目です。事実、2008年北京大会の高飛込では、5本目まで地元中国の選手がリードしていましたが、最後の6本目でオーストラリアの選手が逆転してオリンピック史にのこる劇的な優勝を飾りました。演技は一瞬で決まるのに対し、勝負は最後の最後まで分かりません。そうしたスリリングな魅力が、飛込には詰まっています。
※東京2020大会組織委員会 公式サイトより