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2021.05.27 キャリア支援

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクター
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
小谷実可子さんが応援メッセージ

 日本オリンピック委員会(JOC)は5月12日、トップアスリートの就職支援ナビゲーション「アスナビ」の説明会を、オンライン形式により実施しました。

 アスナビは、アスリートの生活環境を安定させ、競技活動を続けることのできる環境を整えるために、アスリートと企業をマッチングする無料職業紹介事業です。年間を通じて「説明会」を複数回実施し、企業に対してトップアスリートの就職支援を呼びかけています。2010年から各地域の経済団体、教育関係機関に向けて本活動の説明会を行い、これまでに206社/団体、329名(2021年5月12日時点)の採用が決まりました。

 説明会は一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)の会員を対象に行われ、今回の説明会には25社27名が参加しました。

 最初に、中村裕樹JOCキャリアアカデミー事業ディレクターがアスナビの概要を説明。「東京2020大会開催まであと2カ月余りです。アスリートはもとより、先日も大会組織委員会に伺いましたが、現場のスタッフは本当に一生懸命準備を進めております。安心安全な大会運営を心から望んでおります」と述べると、映像、資料をもとに雇用条件、夏季・冬季競技それぞれの採用人数、採用された競技、アスリート活用のポイント、カスタマーサポートなどを紹介しました。

 続いて、オリンピアンからの応援メッセージとして、1988年ソウルオリンピックにおいて水泳・シンクロナイズドスイミング(現アーティスティックスイミング)のソロ、デュエットで銅メダルを獲得した小谷実可子さんがリモートでスピーチしました。
 小谷さんは「たくさんの人が苦しんでいる日々の中で、アスリートはさまざまな困難、逆境を乗り越えて前に進んでいます」と、選手たちがコロナ禍でも工夫をしてトレーニングを行い、新記録の樹立などにつなげたエピソードを紹介。そして、「困難の中で工夫をして前を向く、諦めずに前を向き続ける。そういう姿勢はどんな会社に行っても、周りの方に勇気を与え、そしてチームを明るく、そしてポジティブに導く素晴らしい存在になるのではないかと思っています。ぜひ説明会を通して素晴らしいご縁がつながり、これから日本をより元気にしていくための出会いとなることを望んでいます」と述べました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
新東工業株式会社の澤井実人事部長

 続いて、アスナビ採用企業事例紹介として、水泳・競泳の安江貴哉選手、難波暉選手を採用した新東工業株式会社の澤井実人事部長が、採用したきっかけや2人が従事する仕事の内容を始め、大会での応援体制、Instagramによる情報発信など両選手の同社での活動を紹介しました。
 産業用の設備機械などの製造を事業としている同社は、アスナビを通じて2018年4月に安江選手、翌19年4月に難波選手を採用。澤井人事部長は、同社の従業員の夢を応援する「活人主義」という人事制度を紹介し、「アスリートを応援することは自分たちを応援することと同じ。活人主義制度とも重なるので、採用してみよう」と背景を述べました。また、同社は「アスリートの社員を特別扱いしてはいけない。競技と仕事のどちらも一流になってほしい」と育成方針を掲げており、難波選手が今年4月に開催された日本選手権の男子100m自由形で4位入賞し、東京2020大会の400mリレー代表の内定を得た実績を説明する一方、両選手とも事業所への出社やテレビ会議への参加を通して業務に携わっていることを説明しました。
 同社では安江、難波両選手の存在が社内の一体感醸成に寄与しており、澤井人事部長は社内食堂でのパブリックビューイング実施や、試合会場での法被を着ての応援など、社員一人ひとりが応援することを楽しんでいると説明。さらに、映像による活動記録を残しているといい、「われわれ自身も彼らを応援したことを記録に残したいですし、彼らがいずれアスリートから引退するとなった時に、自分がこんな活動をしてきて、会社にどんな応援をしてきてもらってきたのか、改めて理解していただく意味もあって、映像を残しています」と述べました。

JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
蔦奎弥選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
宮本一平選手

 最後に、就職希望アスリート6名がそれぞれの場所からリモートでプレゼンテーションを実施。スピーチをはじめ、映像での競技紹介などで自身をアピールしました。

■蔦奎弥選手(水泳/水球)
「私の夢は水球日本代表となり、オリンピックでメダルを獲得し、水球というスポーツの認知度を向上させることです。また、私は東京2020大会代表メンバー候補22人に選考されていたのですが、16人に人数を絞る際に落選してしまいました。オリンピックに出るという夢が少し見えていたからこそ、とても悔しい思いをしました。しかし、この経験が私の中で2024年パリオリンピックに向けた大きな原動力となっており、次は絶対にチャンスをものにするのだと固く心に誓っております。大学卒業後、私の希望としましては、企業に所属しながら競技を続けるということですが、今まで以上に困難な課題や苦悩に直面すると思います。しかしながら、私が水球で培ってきた忍耐力とリーダーシップを生かして、企業の社員とチーム一丸となって困難な課題を乗り越え、デュアルキャリアとして仕事と競技を両立させていきます。ご採用検討のほど、よろしくお願いいたします」

■宮本一平選手(水泳/競泳)
「水泳で個人メドレーを専門としています。東京2020大会の代表選考会では予選、決勝ともに派遣標準記録を切ることはできましたが、順位は4番で、2枠しかない代表権を勝ち取ることはできませんでした。正直、悔しい気持ちはありましたが、目標に向かって努力してきたことが記録として出せたことや、私にはまだまだ伸びしろがあるということを前向きに捉えることができました。今後はがむしゃらに泳ぐだけでなく、レース展開や泳ぎをもっと考えながら、3年後のパリオリンピック代表に入ります。大学4年生となり、私は卒業した後は社会人として企業に所属し、競技を続けるという道を選びました。それは会社に入り、さまざまな経験をすることで自分の幅を広げ、人間として成長していきたいと思ったことと、社会の一員として企業の皆さまに私自身を応援してもらいたいと思ったからです。私の強みを生かし、どんな仕事に就いた場合でも一途に取り組み、企業に全力で応えていきたいと思っています。どうぞ、よろしくお願いいたします」


JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
桑江良斗選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
岡崎遥海選手

■桑江良斗選手(アーチェリー)
「大学2年生の時に東京2020大会の1次選考があったのですが、そこで落選してしまい、非常にショックを受けました。しかし、友人の言葉をきっかけに、次のパリオリンピックに向けて努力しようと決めました。その時にモチベーションの持ち直し方を克服することができ、2020年度全日本選手権大会で優勝し、今年の4月に行われた世界選手権大会の選考会では1位通過することができ、9月に行われる世界選手権に出場することが決定しました。今後の目標はパリオリンピックで金メダルを獲得することです。私の強みは冷静な判断力と対応力です。また、仕事においても多くの人との出会いがあると思います。この出会いを大切にして、競技だけではなく、仕事に対しても積極的に取り組んでいきたいと考えております。ご採用いただけましたら、競技を通して社内の活性化や、競技の成果で私も会社に勇気や元気を与え、社員の皆さんに応援していただけるような社員を目指します。どうぞ、よろしくお願いいたします」

■岡崎遥海選手(カヌー/スラローム)
「競技を始めて、今年で17年目になります。私の夢は17年間変わらず、カヌーでオリンピックに出てメダルをとることです。そのために日々トレーニングを重ねています。そして、明日はこうしていこうと常に目標に向かってひたむきに努力できるところが私の強みだと思います。企業に入社後は、競技はもちろんですが、仕事にも専念し、人との関わりを大切にして生活します。私はアスリートですが、一人の人間として、仲間として見ていただけるよう努力いたします。そして、ワールドカップやオリンピックに出場し、企業を世界にアピールすることで貢献いたします。先日行われた日本代表選考会で初めてシニアの日本代表に選出されました。また、その結果により東京2020大会の女子カヤックシングルの補欠にも選ばれ、大会にはデモンストレーターとして参加することになりました。4年後のパリオリンピックへ企業と一緒に歩んでいきたいと考えております。ご採用よろしくお願いいたします」


JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
松津秀太選手
JOCの就職支援「アスナビ」:経団連への説明会を実施
齋藤駿選手

■松津秀太選手(スケート/ショートトラック)
「私はロシアで行われた2019年ユニバーシアード冬季大会に日本代表として参戦しましたが、個人、リレー競技ともに4位という悔しい結果となりました。その悔しさを返上すべく、心・技・体すべてを見直すところから、自分の競技に対する取り組み方を考え直しました。私の目標は2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックにおいてメダルを獲得することです。採用していただいた際には、世界の舞台で活躍することにより社内を活気づけ、また、アスリートとしてだけではなく社会人としても模範となり、応援していただけるような選手として企業に貢献していけると確信しております。大学ではマーケティングを学んでおり、企業におけるマーケティング活動にも興味があります。また、競技や部の運営で学び、身についた知識は企業での通常の業務においても発揮できると考えております。ぜひ、採用していただき、ご支援のほどよろしくお願いいたします」

■齋藤駿選手(スケート/ショートトラック)
「私は小学校1年生のころ、ショートトラックをしていた姉、兄に憧れ、この競技を始めました。現在は北京冬季オリンピック、およびミラノ・コルティナダンペッツォ冬季オリンピックに向けて練習をしています。この競技を続ける理由はただ一つ、達成したい目標があるからです。それは世界一小さな世界チャンピオンになるということです。ショートトラックを通して、私はこの小さな体で今まで多くの目標を達成してきました。目標を達成する中で、不利な状況でも諦めず、自分の持っている知識や技術を駆使し体現してきました。その経験は、物事を違う視点から見ることで絶えず工夫し続ける力を私に与えてくれました。どのような環境に置かれても自分を成長させ、結果を出すことで、逆境の中でも企業に貢献していきたいと思います。所属させていただく企業のためにも、自分で掲げた目標を達成できるよう一生懸命頑張りますので、ご採用のほどよろしくお願いいたします」

 説明会終了後には、選手と企業関係者との座談会、交流会がオンラインで行われ、企業と選手がそれぞれ交流を深めました。

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